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ファントム(3)

 

「貴様結婚していたのか!?」

「嘘でしょ!? 行方不明になってそのまま死んでおけよ!」


 一番驚いているのはディアスとナルミさんだしナルミさんはなんか酷いことさらっと言ってるー!


「俺じゃない。三号機の登録者の主人格の方だ。俺は戦後、人格データをエアーフリートの中に保存して体を主人格に返している。アレンがそのあと普通に結婚して子を作ったんだろう。俺は知らねーよ」

「「な、なんだ……」」


 安心してるし。

 しかし、なるほどねぇ。

 ジェラルドは三号機の登録者の“身内”の子孫。

 ミレルダ嬢は三号機の登録者の子孫。

 直系か。

 なんかすごいところでジェラルドの遠い親戚に出会した感じか。


「だからボクに三号機ちょうだい!」

「やらん。……だが、なるほど? お前アレンの姉の子孫か。へー?」

「っ」


 三号機の登録者——主人格はアレンさんっていうのかぁ。

 今度は逆にジェラルドが面白そうにファントムに見下ろされている。


「血が近いのは可能性になりえる。お前も適性はあるようだな」

「へぁ?」

「っ! 三号機はボクがもらうんだから! キミはダメだよ!」

「勝手に決めるな」


 ……今、なんか薄寒いことを、しれっと言ってなかったか?

 ジェラルドに、三号機の登録者になる適性がある?


「あ、あのー」

「それより動き出すまで時間はあるんだろう? ちょっと石晶巨兵(クォーツドール)とやらを見せてもらうぜ」

「え! あ、あの!?」

「おい、子孫のガキ、さっきのじゃ足りん。もう少し詳しく説明しろ」

「あ、は、はい! 石晶巨兵(クォーツドール)のことですよね! えっと、まず使われている素材なんですが……」

「ちょ、ちょっと!」


 ダメだ、完全に俺の話は無視!

 意識が石晶巨兵(クォーツドール)に持って行かれている!?


「……ザードは単純にメカ好きだったからな」

「ああ、そういえばメカオタクの武器オタクの兵器オタクだっけ」

「えっ!? 石晶巨兵(クォーツドール)は兵器じゃないんですけど!?」

「しっかり見張っていろ、ヒューバート。やつに触らせたら最後、好き勝手に改造されるぞ」

「はぁ!? ちょ、ちょっと! 勝手に改造しないでください! 石晶巨兵(クォーツドール)は平和的利用してこそ価値があるんですからーーー!」




 ***




 はい。聞きしに勝るヤバさです。

 誰がって、三号機の登録者だよ。ザード・コアブロシアの人格データを持つ“ファントム”が、だよ。

 なんでって、石晶巨兵(クォーツドール)を兵器に改造しようとしやがるんだよ。

 ヤバすぎんだろあの人ぉ!

 ジェラルドと石晶巨兵(クォーツドール)の改良で盛り上がってると思うと、じゃんじゃん武器や兵器が追加されそうになるんだわ!

 ヤバすぎるんだわ!

 マジで迂闊に目が離せない!

 ジェラルドはサラッと言いくるめられそうだし、本当に!

 その上いくら操縦補助があるとはいえ、初見で俺やジェラルドよりも軽々動かされて度肝を抜かれた。

 運動性能が、俺やジェラルドが操作した時よりも段違いなのだ。

 なにあれ、どうやってんの!?って思ったらなんてこともなく「は? 駆動箇所への魔力循環を強化すればいいだけだろう?」と言い放ちおる。

 宇宙猫になったよ、俺。

 駆動箇所ってさ、肘とか膝とか手首足首とか、そういうレベルじゃねーんだよなぁ。

 “駆動箇所”と言っていることから、人体で骨がゆるく緩衝する箇所なども含まれているらしく、たとえば二の腕の横の力が加わる部分などを魔力で柔らかくして柔軟性を上げているらしいのだ。

 誰が考えるよ、そんな無茶。

 っていうか、そんなことできんのかよ?

 マジかよ?

 なんかもう一発で動きがギア・フィーネ並みになったの、怖すぎるんですが?


「この地尖(チセン)という機体は面白いな。しかし四足獣型ならもう少し骨格を真似た形にしてもよかったんじゃないのか?」

「ギギが提供してくれた骨格イメージの図面通りに一度作って、そこから不要箇所と必要箇所を足していったんです。今の形が一番バランスよく魔力が流れるので、弄るのは難しいですね」

「魔力循環をよくしたいのなら、動力魔力の他に駆動用魔力を流す核を点在させておけばいい。同質魔力を受信する形にすれば、より滑らかに動くようになる。万が一破壊されても動力魔力で最低限動くようになるしな」

「そ、それは考えたことなかった……! 小型の結晶魔石(クリステルストーン)を使えばできそうかも……!」


 あああああ、面白そうな話してるぅ!

 じゃ、なくてジェラルドがあっさり取り込まれているっー!


「それにしても、本当に来ますかね?」

「神を名乗る者とギア・フィーネ、そして二人の聖女とヒューバートとの連名が書かれた親書。どちらにしても無視はできないだろう」

「なるほど?」


 さて、俺たちがいるのはソーフトレスとコルテレの国境ど真ん中。

 さっきラウトとディアスが帰ってきて、両国の偉い人たちが来るのは多分三日か四日後。

 それまではのんびり待つつもりなんだけど……。


「あの、ヒューバート様」

「なんでしょうか、シャルロット様」

「また数日時間があるのでしたら、コルテレの東の結界を補修したいのですが」

「ああ、なるほど。いいですよ。えーと……」


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