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コルテレ到着

 

 てな感じで、弥生の末。

 レオナルドとレナに見送られて、ジェラルド、ナルミさん、ディアス、ラウトと共にソーフトレスとコルテレへと発つ。

 持っていく石晶巨兵(クォーツドール)地尖(チセン)と量産型の気焔(キエン)

 地尖(チセン)はジェラルド、気焔(キエン)はナルミさんが乗っている。

 ナルミさん、操縦できたの……と思うだろ?

 俺も思ったよ。

 でもそもそもナルミさんが研究塔を造ってるので、操縦も最低限はできるらしい。

 戦うのは無理って言ってたけど。


『ヒューバート』

「あ、はい? なんですか、ディアス」

『徒歩で行くのは面倒なので、石晶巨兵(クォーツドール)たちを抱えて飛んでもいいだろうか?』

『賛成』

「え」


 ——と、いうディアスとラウトのお願いにより、地尖(チセン)は一号機に、気焔(キエン)は飛行練習も兼ねて俺が運んで飛ぶこととなった。


『ソーフトレスとコルテレはミドレ公国のさらに西だったか』

「うん。そう」


 ラウトの言葉に頷く。

 ちょうどミドレを通り過ぎたところだ。

 ソーフトレスとコルテレは、かつて西方諸国と数えられていた国々である。

 ミドレよりさらに西にあり、元々はそれなりの広さを持つ同盟国同士であった。

 今は亡き西方諸国の多くの国々は、滅びるその瞬間まで戦争をしていたらしい。

 だが、千年前軍事国家であったアスメジスア基国を祖とするのであれば、ある意味その血が正しく受け継がれている——のかもしれない。

 そうして上空を飛ぶこと約八時間。

 おそらく俺の飛行が下手くそでとても気を使われたと思うが、なんとか森林が見え始めた。


「ここがコルテレか」


 ザクザクと結晶化した大地(クリステルエリア)の地面が波打っているのだが、多分森林続きだったのだろうな。

 コルテレからさらに北西がソーフトレス。

 森林を進んでから、今度は山。

 緑が豊かな国だなぁ。


『なるほど。ダイグロリアの名残が残っているな』

「そうなんですか?」

『ダイグロリアは海沿いで、海産物の他に海風から土地を守る山が多かった。……どう思う、ラウト』

『残っているだろうな……』

「な、なにが?」


 ディアスとラウト——元アスメジスア基国国民にしかわからない会話やめて!

 気になるんですけど!

 怖いんですけど!


『ハニー・J・ヘリス……ダイグロリアの都市長だった女が、山に大量破壊兵器を秘密裏に製造して隠していた——という話があるんだよ』


 二人の代わりに教えてくれたのはナルミさん。

 え、つまり、俺たちが今見ているあの山?


『待て。熱源反応が多数。山を跨ぐ前に一度降りよう』

「あ、は、はい!」


 ディアスの提案にゆっくりその場に着地する。

 ナルミさんに「へえ、上手く降りられたじゃない」と褒められた。

 や、やったぁ!

 上手に着地ができたぞぉ!

 じゃ、なくて!


「えーと……」

『熱源反応って、[索敵]魔法で感じるこの人間の反応?』

「うん。でもちょっとそれだけじゃないんだ。ごめん、ジェラルドちょっと待ってて」

『うん、待ってる』


 石晶巨兵(クォーツドール)と魔法ではわからない、熱源反応探知。

 ギア・フィーネだと人間かロボットかそれ以外とか、色々わかる。

 山の向こう側は多分軍のキャンプ地になっているみたいだ。

 難民ではない、と判断した理由は馬の反応が多いため。

 難民ではこれほど多くの馬の反応は感知できないだろう。

 それに、山の中にも見張の兵のような反応が点々としている。

 それによると山の中は十階建ての建物のようになっていて、その中も人が歩き回っているみたいだ。


「ディアス、これって俺たちの存在も向こうにバレてる可能性ありません?」

『どうだろうか? 現代人がこの規模の施設を使いこなせるだろうか?』

『さぁな……ルオートニスの技術力を思うと、不可能に思うが』

『そう? 私は可能性があると思うよ。腐ってもアスメジスア人の末裔だろう? 認めるのは癪だけど、アスメジスア人とカネス・ヴィナティキ人は優秀だからね』


 なるほど。

 基本スペックがジェラルドばっかり的な感じか。

 それは、ヤバいな。

 それなら確かにこっちの存在がバレてる可能性もあるのか。うーん。


『ギア・フィーネは感知されていないかもしれないけれど、石晶巨兵(クォーツドール)はバレてるかもよ』

「無視して進みますか」

『それもそうだな。どちらか片方に肩入れするつもりはないのだろう?』

「はい。俺の目的はあくまで両国に休戦してもらい、石晶巨兵(クォーツドール)への技術提供と和平条約の締結ですから」

『ならばもうトニスとの合流地点に行くか』

『そう、だな……山の中というのが気になるが』

『まあな。だが、使いこなすにもエネルギーが足りないだろう。今は気にすることはない……はずだ』

「も、ものすごく含みのある言い方だなぁ。ここの兵器ってそんなに危険なの?」


 二人の様子がなんとなく不穏。

 もし使えるのなら、なんとかしておいた方がいいのかな?

 戦争で使われたら危ないかもしれないし?

 でもなんとかできるかな?


『そうだな。危険なものだ』

『衛星兵器だからな』




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