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弟の恋模様(2)

 

「で、レオナルドの相談事への、俺の考えだが」

「はい」

「まず聖女育成に力を入れてはどうだろう。デュレオには俺から話すから、俺がソーフトレスとコルテレに行っている間、デュレオに聖女を教育してもらうといい。ハニュレオの聖女たちは、デュレオに教えを受けてかなり力が増したそうだ」

「え! そ、そのようなことがおできになるのですか!?」


 らしいよ。

 スヴィア嬢が複雑さに悶絶していたけれど。


「聖殿の長として、聖女候補たちの力を底上げしておくのは十分レオナルドの実績になるだろう。彼女たちにお金をかけるようにして、地方の小聖殿も設備を整えるといいと思う。そうすれば地方からも寄付金が増えるはずだ」

「わかりました!」

「俺の留守中に守護神教を布教するのはレオナルドに任せなければいけないから、頑張ってくれよな」

「は、はい! お任せください!」


 うーん、素直で頼もしい。

 ……あ、そうだ。


「それと、マリヤのことなんだが」

「マリヤ!」


 相変わらずすごい食いつきがいいな。


「レナ仕えだったんだが、ディアスがあっさり目の上の傷跡を消してくれたんだ」

「!」

「レナと俺の結婚話が進んでいて、母上はライモンドの子育てで忙しいから侍女を増やすと言っている。マリヤの身内を起用する予定だそうだから、お前もライモンドをよく見てやるといい。来月誕生日だしな」

「え? な、なぜ僕がライモンドを——」


 お、わからんか?

 よーし、ではお兄ちゃんが教えてやろうではないか。


「いいか? レオナルド。母上はマリヤの家族。母と姉を起用する」

「は、はい」

「子育てをマリヤの母と姉が手伝い、そこへお前が異母弟の世話を焼きにくる。するとマリヤの母と姉と遭遇する」

「は、はい」

「お前が異母弟を世話して可愛がる話を、母と姉経由でマリヤが聞く。マリヤはさぞ、お前の優しさに感動するはずだ」

「!?」


 まあ、マリヤ自身がどうやら俺に対しても強火みたいになっていたからな。

 ……あれ、本当になんで?

 いつの間に?

 レナとパティがコツコツ育てたとしか思えないよね。

 でも俺に強火みたいになるのやっぱりおかしくない?

 一度ちゃんと話してみた方がいい?

 でもなー、レナの侍女に話しかけていいのか、ちょっと悩むよね。

 ジェラルドを間に挟んでみるか?

 いや、あんまりいい結果にならなさそう。

 あれかな? ディアスをうちの国に呼んだのが俺だから?

 なんにしても、傷跡が消えてよかったよね。

 これでかなり前向きになったと思うんだよ。


「な、なるほど……直接ではなく、周りから……外堀を埋めるのですね!」

「あと、マリヤは子爵家だろう? お前と結婚するには身分が足りない。だからランディの家——アダムス侯爵家に養女として入ってもらえないか、それとなく打診しておくんだ。もちろん宰相のルディエルにな? 先にそっと話しかけて、相談、って感じで。ルディエルは元々身分違いの恋を叶えるために宰相まで上り詰めた男だから、きっと相談に乗ってくれるはずだ」

「な! なるほど!」


 ランディの父、ルディエル侯爵は、奥さんであるエミリア夫人に一目惚れし、身分の違う侯爵家に通い詰めた。

 当時の侯爵である、エミリア夫人の父親とうちの父上の助力で無事に結婚し、現在は宰相の地位にいる。

 なのでルディエルは絶対にレオナルドの味方をしてくると思う。

 アダムス侯爵家にとっても、第二王子のレオナルドと養女の結婚は悪い話ではない。

 レオナルドはアダムス侯爵家にとって甥の立場だが、メリリア元妃が色々やらかしているせいで何度も綱渡りのような目に遭っている。

 レオナルド自身も聖殿の管理を自ら行うことで、自分は王家の者であると周囲に喧伝しているような状況だ。

 そこで俺がマリヤをアダムス侯爵家に養子入りさせ、レオナルドと結婚させればアダムス侯爵家にとってもレオナルドにとっても揺らいでいたところをがっちり安定させることができる。

 ……まあ、宰相はずっと父上派だしランディが俺の側近としていい働きをしているので、アダムス侯爵家自体は割と土台がしっかりしているんだけど。

 結構王家と近しいし、レオナルドが婿入りすればアダムス侯爵家は公爵家に陞爵(しょうしゃく)されても問題はない。

 若干王家並みの権威に成長してきているから、そこは別に考えた方がいいかもしれないけどなぁ。

 貴族間でもあんまり発言権に偏りがでかいと大変なんです。

 とはいえリーンズ先輩は家と疎遠すぎて、もうリーンズ先輩個人に爵位を与える話も出ているし、ミラー家の伯爵家陞爵は内定済みだし……一気に偏ることはないだろう、多分。

 もしくは——もう少しレオナルドが実績を積んだらレオナルド個人を公爵にしてマリヤを妻にする、とか?

 いや、それは厳しいな。

 領地はこれから広がり、増えていくからアリといえばアリなんだが領地運営未経験者が増えるということでもあるし。

 可能ならミドレと同じく、セドルコに面するところに国がもう一つ欲しい。

 レオナルドを大公にして、国境を任せられたら——……。


「マリヤと結婚できるのなら、僕はなんでもします……!」

「うん、でも、彼女の気持ちを最優先にな」

「はい! がんばります! マリヤに好きになってもらえるように! ライモンドを構い倒しますね!」

「う、うん……」


 兄としてもしっかりしてほしい感はある。


裏設定(王家の話なのでこの裏話をば)


ソレイヴ・キーマはアスメジスア基国第四軍事主要都市ベイギルートの都市長です。

アスメジスア基国でもっとも領土の小さな軍事都市で、ソレイヴが権力に興味のない性格だったため全都市中でももっとも平和な地と言われていました。

ある意味、七つある軍事都市の中で一番治世が上手かったともいえます。

しかし、以前記述した通りソレイヴは「十五歳以下の少年少女にしか、性的興奮を覚えない」と明言する変質者だったため、リーマルドは非常に頭を抱えてロニーに相談、ディアスを副官につけました。

リーマルドがソレイヴを気にかけていたのは、ソレイヴが当時の王、クローディオス王の八番目の子であると知っていたためです。

なお、他の子は子ども嫌いのクローディオス王の命により殺処分されています。

あまりにもクローディオス王が自身の子を殺すため、リーマルドが延命を申し出て保護したのがソレイヴでした。

そのため気にかけていたのですが、それが逆にソレイヴへクローディオス王の子であると気づかせるきっかけとなってしまいました。

ロニーもなんとなくソレイヴがクローディオス王の子であると気づいていましたが、都市長として十分な能力を持っていたので彼が王に立候補したら支持するつもりだったようです。

性癖はちょっとあれですが。

都市長として統治が上手かったのもソレイヴなりの父への復讐のつもりでしたが、自分のあとに生まれた子たちも殺処分していたことを知り「ああ、こいつは生かしておかない方がいいな」と決断し、ラウトを誘って反逆を起こしました。

ラウトもセクハラされまくってたのによく話に乗ったな。

弟妹を殺したことへの復讐というよりは、十五歳以下の子どもの命を粗末に扱ったのが逆鱗に触れたのでしょう。

そこだけはソレイヴ・キーマという変態……一人の男の責任と覚悟だったのです。


なお、割と本当に手を出していました。

お巡りさんコイツです。


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