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ハニュレオ国とのこれからを(1)

 

「殿下のため、粉骨砕身の思いでお勤めを果たします!」

「ん? うん? うん、まあ、でもほどよく休めよ。体は資本だからな」

「は、はい!」


 さて、居残りにランディは決定。

 一番困ってる問題……俺への過度すぎる評価。

 これはどうしたもんだろうな!?

 なにかしらで好感度マイナスにしておかないと、ハニュレオの王家がこれから困る。

 待てよ?

 ここはエドワードを使うべきではないか?

 あいつを使って俺の好感度を下げよう!

 たとえばあいつのことを虐げてみるとか!

 ……ダメだな、本来極刑なやつを虐げたところで「ザマァ」としか思われない。

 じゃあランディの抜けた穴を、きっちり埋めてもらうよう再教育を頑張ってみる?

 ……ダメだな、「あんなクズにも教育を受けさせて」ってヨイショされる未来しか見えない。

 エドワードをこの国に放置するしてみるとか!

 ……ダメだな、奴隷紋が入っている者は一定以上主人から距離が離れると死ぬらしい。

 さすがに殺すのは可哀想。


「……。……もしかして手遅れ?」

「俺としてはお前への面会はソードリオ王の許可を得てから、というやり方にしてもらうべきではないかと思う」

「……ディアスの案でいってみる……」


 他に手がないということですね!

 はぁぁぁぁぁぁ! 手遅れーーーー!




 ***




 と、まあそんな感じで手遅れな中、晩餐会に出席した翌日から少しずつ外に出るようになったのだが、それは俺とエドワードの再会でもあった。

 ずーっと不満げに睨まれて、めちゃくちゃ面倒クセェ。

 今朝もソードリオ王とマロヌ姫との朝食に招かれたのでご一緒してるんだが、ランディには今日からマロヌ姫の後ろについてもらうようにした。

 で、エドワードはランディのいた位置に立っている。

 それはもう妬ましい憎らしいと隠しもしない表情で。

 なーんとしたもんかねコイツ。


「ごちそうさまでした」

「大変お上手ですね、マロヌ姫様。食事のマナーは問題ないかと思います」

「あ、ありがとうございます、ランディさま。オズが……あ、デュレオがたくさんれんしゅうにつきあってくれたのですよ」

「そうなのですね。教え方が上手いとは聞いていましたが。それでは本日は昼食までお勉強の進み具合を拝見させていただきますね」

「はい、がんばります!」


 ランディとマロヌ姫の方はあんなにも平和なのに……!

 あ、そうだ。


「デュレオ、マロヌ姫の勉強や教育がどこまで進んでるのか、ランディに引き継ぎを行ってくれ」

「あー、それもそうだね。いいよ」

「あと、お前の人食衝動って今どうなんだ?」

「基本一ヶ月に一度強くなるんだけど、先週シズフの魔石を直接胃の中に突っ込まれて以来抑え込まれてるね。とても不本意だけど」


 可哀想。


「っていうか、それって本当に結晶魔石(クリステルストーン)で抑えられるもんなんだ?」

「みたいだねぇ。不思議だねぇ」

「シズフさんの結晶魔石(クリステルストーン)、もったいないけど仕方ないな……! 人の命には代えられない!」

「人外の俺からしてもシズフの吐いた結晶魔石(クリステルストーン)を、普通の結晶魔石(クリステルストーン)みたいに利用しようと考えてるお前らの方が頭おかしいわ。マジドン引きなんですけど〜〜〜」


 失礼な。


「時にヒューバート王子や」

「はい、なんでしょうか。ソードリオ王」

「我が国の技術は石晶巨兵(クォーツドール)開発の役に立っておるか? 報告は聞いておるのだが、儂にはいまいちわからんでな」

「ああ、それでしたらご安心ください。ジェラルド——石晶巨兵(クォーツドール)開発第一人者の報告を聞く限り、この国の遺物が役立ってくれているようです」

「この国の遺物? はて?」


 ソードリオ王は首を傾げる。

 存外、自国にしかないものでそれが当たり前にあるものというのは希少価値に気づきづらいものだ。


「銃ですよ。エドワードの率いていた反乱軍の者が数名、そして騎士団にも数名の者が持っていましたよね。現役の遺物銃は初めて見ました」

「あれか。いや、しかし、あんなものが石晶巨兵(クォーツドール)の役に立つのかね?」


 その疑問はごもっとも。

 俺も聞いた時は「え? なんの役に立つの? 武装はなしだよ?」とジェラルドに言ったのだが当然武装云々ではない。


「駆動部分。それから、装甲部分ですね」


 装甲に関してギア・フィーネは参考にならん。

 晶魔獣を倒したあとに手に入る素材は、どれほど形が綺麗に残っていても金属の割合が雑で脆い。

 そのため、リーンズ先輩が装甲内部に魔樹の皮を全面に貼りつけて魔力で補強している。

 しかし、この国に残っていた“遺物”である銃——あいつらが持ってたのはライフル銃がほとんどだが——その当時のままの姿を保つ銃を調べて、金属配合の割合を知ることができた。

 ハニュレオの技術者に金属加工工場を紹介してもらい、今まで晶魔獣の素材をカットしてそれっぽく整えていた装甲を、きれいに整得られそうなのだ。

 ルオートニスの研究塔は設計が中心で素材を発注、取り寄せて組み立ていたのでここで金属配合の割合を知り、加工の技法が学べたのは大きい。



小ネタ〜暇人ヒューバートの療養期間 レナ編〜


デュレオ「聖女の歌って体内結晶魔石(クリステルストーン)を使って音を反響させて相乗効果を自力で生み出して高め、体外に音として排出し空気中の自然魔力に振動で伝えることで結晶化している部分を砕いているんだよ。つまり体内の結晶魔石(クリステルストーン)に強い音を反響させれば、強い聖魔力が使えるわけ。強い音を出すには体内結晶魔石(クリステルストーン)が大きく強い必要があるんだけど、これは普通の人間の体内魔力のように使い切って量を増やして成長させることができるわけね。それ以外だと体の筋力を鍛えて、伸びのある声を出せるようになるといいと思うのよ。女性の筋肉はしなやかで柔らかな筋肉がつくから、ボイストレーニングしながら全身の筋肉を鍛えつつ柔軟性も上げて——おいコラ寝るんじゃないよ!」

スヴィア「んぁ……!」

レナ「ふぁ、ふぁ……す、すみません……」

マロヌ「オズ、はなしがながい」

ディアス「上等だよ実践で体に覚えさせたるわ」

三人「ウ」


このあとめちゃくちゃ地獄を見る。

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