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ハニュレオ国の変化(2)

 

「ちなみにソードリオ王はディアス殿の手厚い治療に大変感動なされて、ハニュレオでもルオートニス守護神を信仰するとお決めになられたそうです! もちろん、ヒューバート殿下もその信仰の中心です!」

「ブフォ!?」

「シズフさんもルオートニスに帰ったら正式にルオートニス守護神の一柱になる予定だよって言ったら、城の中に神殿入れるって今作ってたよ〜! 急ピッチで作ってるから、ヒューバートが元気になったら見に来てくださいだって!」

「ふぉおぉ!?」

「城の騎士団の施設はシズフさんが壊してしまいましたけど、改修してから戦神のラウトと武神のシズフさんを祀る小神殿をいれるんだそうです! 元気になったらヒューバート様にも見に来てほしいって、騎士団の皆さんに頼まれました」

「ゴッフ……!」


 恐る恐るラウトとディアスを見る。

 深く頷かれる。

 ……なるほどね!

 外に出ると俺は大人気アイドルみたいにもみくちゃにされちゃうのね!

 主にハニュレオ王家を見放そうという不届きな貴族からは、伝手を作っておくためにハニートラップ地獄!

 体調が悪いならなおのこと、俺に媚を売ってゴマを擦ってあわよくば娘を看病につけて既成事実を作ろう的な——。

 ゥオエェェエエエエェェェェェエ!!

 破滅エンドまっしぐらじゃねーか!

 冗談じゃねぇわ!

 クソ、俺の体調が三週間以上よろしくなかったので、その手の輩につけいられそうになったのか!

 しかも俺の幼馴染二人と婚約者は、素直に俺が崇め奉られてることを気分よく受け入れちゃってるしね!

 ハァーーー、そういうことね!


「…………。対策を練る、必要があるのね」

「急務ではないかと、思う」

「ホウレンソウって本当に大事だね。ディアスとラウトもなんでもっと早く言ってくれなかったんだ……!」

「内政的な事情はわからん」

「すまない。レナたちから楽しげに報告を受けていたから、実際目にするまでよくわかっていなかった」


 ぐっ。

 ラウトと、そして多分シズフさんは軍人だからほんとにわからなかったんだろうなぁ。

 で、ディアスはソードリオ王と俺の看病で比較的ノータッチ。

 頼みの綱のランディがこれでは、確かに気づくのが遅れるのも仕方ない。

 仕方ないのかなぁ!?

 ちょっと今後は、中立で物事を考えられる誰かを増やさないとダメかもねぇ!

 いや、トニスのおっさんがいればそんなことなかったのかも!?

 くっそー、でもおっさんには大事な仕事任せちゃったしねぇー!

 パティやマリヤまでうんうん頷きながら「この国の皆様も、ヒューバート殿下の素晴らしさに気づいて崇めるようになったのですね! よいことです!」「はい。ですがヒューバート殿下の石像も建てずにヒューバート殿下を語ってほしくはございませんね」などと話していて、俺としては「ちょっと待って二人ともなんか俺の知らない間に過激派みたいになってない?」って感じなんだけどあの二人なんであんな強火なの?

 レナか? レナの教育の賜物なのか?

 似なくていいところを……!


「……ひとまずソードリオ王との晩餐会は出席しよう。体調が整ったことを陛下に伝えおく。俺も陛下の体調は知っておきたい。ディアスの腕は信用しているから、健康維持の話などを聞かせてもらいたい」

「うむ」

「次にラウトとディアスとシズフさんを祀る話も、陛下と詳しくしておきたい。うちの国の守護神の話なので、同じ祀り方をしてほしい。どちらにしてもマロヌ姫の後ろ盾として、我が国の者を城に置いてもらおうと思っているのでその辺りの話も詰めたい」

「はい」


 そして、俺としては——。

 複雑な気持ちを抱きつつ、ランディを見る。


「常駐する者はルオートニスに帰還してから三人ほど、教員資格のある者と俺と父に思想の近い者を選りすぐって派遣しようと思う。だが、その選別期間中もここに一人、マロヌ姫の後ろ盾として監視役を置いていこうと思う。ソードリオ王の体調も見ていてほしいからディアスと——それから俺の思想をよく理解している者で、教え方の上手い者ということで、ランディに頼みたい」

「!」


 本当は非常に置いて行きたくはないのだが、他に適任者がいない。

 デュレオはなにがなんでも一度ルオートニスに連れて行かなければ。

 ランディは外交も上手いし、若いが置いて行っても大丈夫だと思う。

 ランディがいれば光炎(コウエン)も引き続き、結晶化した大地(クリステルエリア)治療に使えるし。

 この国の石晶巨兵(クォーツドール)完成がどれほど時間が必要なのかは、晩餐の時に確認はしなければならないだろうけど。


「嫌ならジェラルドに頼むけど、ランディ、どうだろうか?」

「……、……お側を離れるのは、側近として本意ではございません」

「う、うん」

「ですが、この地に残り、引き継ぎが終わるまでの間自分をこの地に残すと殿下が自分を選んでくださったことに、殿下よりの信頼を感じました。自分でよければ、喜んで……!」

「ランディ……。よかった、ありがとう!」


 ラウトの方から「また余計なことを」と俺への冷たい眼差しが向けられてるんだけどなんで!?

 ここ結構感動的なシーンではないの!?

 なんでディアスまで複雑そうな表情なの!?

 なに!? 俺なんか間違えた!?


小ネタ〜暇人ヒューバートの療養期間〜


ディアス「そう、そこはこの数式でいい。ヒューバートは飲み込みが早いな」

ヒューバート「ディアスの教え方が上手いからですよ。最近勉強してなかったから本当に助かる〜。ありがとう、ディアス」

ディアス「ちなみに遺伝子学には興味ないだろうか?」

ヒューバート「うん、ないかなぁ。学院で使わないし」

ディアス「そうか。では次は宇宙学を……」

ヒューバート「やらない、やらない」

ディアス「む、むう……物理学はどうだろうか」

ヒューバート「くっ、ギリギリ学院でやる学科を出してきたな……! やる」

ディアス「よし! ではやろう!」

ランディ(もしかして自分がお教えした方が早いのでは……いや、しかし知識量では敵わないしな……?)


これが一ヶ月続いた。


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