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ひとまず落着?(1)

 

 多分こっちが地なんだろうなぁ。

 同じ人類としてなんとなく申し訳なくなってくる。


「ラウト、大丈夫そうだから解放していいよ」

「本当にいいのか?」

「シズフさんに任せよう。シズフさんが寝てる間はナルミさんの名前で脅せば大丈夫そうだし」

「性格悪すぎだろ! これだから人間は!」


 失敬な。

 俺はナルミさんの名前を使ってチクるだけだ!


「俺もシズフさんが吐いた結晶魔石(クリステルストーン)は持ってるし」

「ゲェッ……」


 ほら、と見せると心底嫌そうな顔をされた。

 イケメンの吐いたものとはいえ、やはり吐いたモノには嫌悪感が勝るのか。

 俺は好奇心が勝ってしまった。


「ヒューバート、くれぐれも言っておくが吐瀉物に対しての正しい反応はあっちだからな?」

「は、はぁい」


 ラウトに釘を刺されてしまった。

 さーせん。

 溶けるように結晶が消えてデュレオが解放される。

 暴れないよな、とシズフさん製の結晶魔石(クリステルストーン)を見せるとドン引きされる。


「い、異常だ……」

「ん?」

「い、異常者だ! お前は!」

「エド!」


 呟きが聞こえたので、そちらを見ると、顔面蒼白のエドワードが俺を指差して叫んでいた。

 スヴィア嬢が宥めても咎めても、まるで耳に入っていない。


「そ、それは人間を喰うんだぞ!? なんでそんな怪物と平然と一緒にいられるんだ! 異常だ、異常者だ! ち、父上は本当にこんな異常者と仲良くするつもりなんですか!? 今の見たでしょう!? あの怪物は人間を喰うんですよ!? 正気じゃない!!」

「エドワード……」


 ソードリオ王が騎士に支えられながら立ち上がる。

 表情は厳しい。

 エドワードを見る時だけでなく、俺を見る時も。

 やってしまっただろうか?

 今更和平条約はやっぱなし、とか困るんだけど。

 そうなったらどうしよう?

 交渉は苦手だけど、色々誠意を尽くすしかないなぁ。


「…………」

「ソードリオ王……ええと、あの……」

「……ヒューバート王子、オズを引き取っていただけるのですかな?」

「え? ええ、まあ。俺の身内の者ならば御せるようなので。……ハニュレオ王家の方々が、オズを、手放してもいいというのでしたら……?」


 一応まだはっきりとデュレオ、もといオズの所有権を俺へ、とは言われてないし。

 マロヌ姫はめちゃくちゃ泣くの我慢してるけど、ある程度の状況はわかっているはずだ。

 だからドレスを握り締め、オズに抱き着くのを我慢しているのだろうし。

 それに、ソードリオ王の言い方。


 ()()()()()()()()()()()()()()()


 手放すつもりは、あるらしい。


「…………。姫の後ろ盾には、私が——ルオートニス王国がなりましょうか?」

「!」


 必要なのは姫の補佐ができる者。

 それならば、ルオートニス王国(俺たち)ががなればいい。

 デュレオをうちの国に連れて帰ると決めたのは俺だし。


「よいのか?」

「技術提供や距離の関係で、それほどすぐに帰るつもりはありませんでしたし、我々が帰る前に俺の腹心を残しましょう。そのあと王都のどこかに、我が国の大使館を作って常駐させる者を派遣いたします」

「たいしかん……?」


 あ、そうか、この世界大使館とかないのか。

 それもそうだよな。

 何年……いや、何百年も前に国交断絶してるし。

 王様でも存在教わってないのかも。


「我が国の責任者——外交官ですね。石晶巨兵(クォーツドール)がより長距離移動に適したものとなれば、今後は行き来がもっと簡単に可能となるので、両国の友好の証として爵位ある者をお互いの国に置き連絡をスムーズに取り合えるよう責任者を置くのです。もう少し落ち着きましたらハニュレオの方からも信頼のおける者を我が国に常駐させられるよう、選んでいただけるといいかと思います」

「なるほど、興味深いな」

「今はまだ無理ですが、国土が元通りになり、民が行き来できるようになれば両国の発展にも繋がります。民のサポートを、大使館の貴族が行えば安心感も増すでしょう。トラブルがあった時などに自国の大使館の貴族が対応するのです。いわゆる窓口ですね。相手国に要望や用向きがあれば、大使館の者に伝えればわざわざ王族同士が対面で話し合うこともないですし」

「……っ」


 目を見開かれた。

 あれ? なんか変なこと言いましたか?

 前世の世界だとそれが普通だと思ってたけど……。

 いや、俺海外旅行したことないからなにか間違ってたかも?

 え? 待って?

 なんでソードリオ王だけじゃなくて、シズフさんやデュレオやラウトやレナたちまで驚いてるの!?

 なに!? 怖い!?


「……へぇ〜、この時代にここまで先々のことを考えるガキがいるとはねぇ」

「ふむ……」

「そういえばお前、一応王太子だったんだったな……」

「どういう意味!?」


 シズフさんとデュレオとラウト、三人並ぶと本当に顔が良い。

 顔が! 良い!

 でもなんとなくラウトには褒められてる気がしない。

 なに? どういう意味なの!

 これでも一応王太子ですが!?



小ネタ


ヒューバート「千年前の人類で顔の悪いやつに会ったことがないんだけど、もしかして千年前は顔面偏差値が高い人間しかいなかったの?」

デュレオ「整形が一般的だったからじゃない?」

ヒューバート「デュレオは人外だからわかるけど、ラウトとシズフさんとディアスは整形だったの!?」

ラウト「整形なんて顔に興味があるやつがする時間と金の無駄なやつだろう。そんなことしている時間があったら一機でも敵機を落とした方がいい」

シズフ「そうだな」

ディアス「眼球は取り替えたが、顔貌は弄っていないぞ」

デュレオ「天然物は怖いね」テヘペロ

ヒューバート(忘れてたけど女性向けの異世界だったわ……そりゃイケメンしかいねーわ)


整形ではなく天然美形が一般的だった。

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