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ギア・フィーネ二号機と登録者


「どうしよう」

「なにがですか?」

「ラウトに会わせて、大丈夫だと思えないんだけど」

「え? どうしてですか?」


 レナは知らないのか?

 ラウトの怨敵なんだよ、二号機は。

 と、いうことを説明するが——


「大丈夫です! ラウトは大人ですから!」


 と、自信満々に肯定するのだが、レナはラウトをなんだと思っているんだろう。

 ディアスと間違えてない?

 いや、大人と言われれば確かに一千歳以上年上だけどさ。

 親の仇に対して「大人だからが我慢できる」とかあるの?

 日本史上類を見ないほどバカ売れした日本一慈悲深い鬼退治漫画の主人公でさえ、家族を殺されて敵討ちしたぞ?


「一応通信入れて——」

『ちょっと! なにしてるの? 助けてくれるのよね!?』


 下から叫ぶような声。

 聖女スヴィアだ。

「ちょっと助けたあとのこととか相談と確認するから待って!」と叫び返してラウト——五号機に通信を開く。


「ラウトさん、ラウトさん、二号機とその登録者っぽい人間を発見したんですが、助けてもいいですよね?」


 助けるのは前提、って聞き方をしてみる。

 助けたあとのことも考えなければいけないんだから——特に因縁のあるラウトに対しては。


『変な呼び方をすると思ったら……』

「へへへ……」


 笑ってごまかしておく。

 いやー、だってさぁ、怖いじゃん……?


登録者(パイロット)もいるのか』

「う、うん、多分?」

『機体だけとりあえずいっぺん大破させろ』

「え、ええ〜……」

『機体だけは一度大破させろ……! どうせギア4に到達して自己再生機能を持っているんだ……! 大破させても元に戻る! この際登録者を殺すのは耐えてやる……だが二号機! 二号機は破壊させろ!』


 まるで念願と言わんばかり〜!

 殺意が強すぎて俺からはなんとも言えねー!

 っていうかラウトの五号機の攻撃で消し炭にならない?

 チリも残さず消えない?

 自己再生するほどの部位残す気ある?


「……よくわからないけど、登録者と機体を別々に持っていけばいい?」

『それでいい。頭を殴り潰してから羽根を折り、電子融解砲エネルギーチャージ100%でかけらも残さず焼き払ってくれる……!』

「…………」


 二号機、ダメかもしれない。

 っていうか、それもしかして胸部のあのデカい砲のことかな?

 ミドレの城を半壊させたやつ。

 あれ、やっぱりチャージ方式だったんか。

 もしかして、ミドレの城を半壊させた時とかあれでもチャージ100%じゃなかった?

 名前がもうめちゃ怖いもんね?

 融解っていった?

 溶かすって意味でしょ?

 は? ヤバすぎん?

 さすがギア・フィーネ中最高高出力高火力機体〜。


『ああ、あと我々はさっきの娘と一緒にいた連中の滞在しているキャンプ地のようなところに招かれている。座標を送るから、戻ったらここに来い』

「あ、ありがとう」


 スヴィアを置いてランディとラウトを、自分たちのキャンプ地に招いた?

 トニスのおっさんとランディがいるから大丈夫だと思うけど、あまりラウトを刺激しないでほしいな。


「よし、じゃあその人を助けよう。助けたあとはこちらで保護する。知り合いがいるんだ」

『? あんたたちよそから来たんでしょう? なんでこの国の人間と知り合いなのよ?』

「事情があるんだよ。それより少し離れていろ。……レナ、頼むよ」

「はい、お任せください!」


 操縦席のハッチを開き、手のひらを寄せてレナを乗せ、慎重に下へと動かす。

 スヴィアは操縦席からレナが降りてきたことに目を丸くしている。


「ふ、二人乗ってたの!?」

「初めまして、わたしはルオートニス王国“王家の聖女”、レナ・ヘムズリーです」

「! 聖女……!? あんたも!?」


 レナが結晶化した大地(クリステルエリア)の大穴に降り立ったら、さすがに疑いようがないだろう。

 レナは手を合わせて、『聖女の魔法』を使おうとする。

 けれど、それを察したスヴィアがレナを制した。


「待って、助けるのはワタシがやる!」

「え? あ、は、はい。じゃあお手伝いしますね」

「いいわ。でも助けるのはワタシだから!」

「?」


 やけにこだわるのは気になるけど、二人の歌が始まってからイノセント・ゼロの手を差し出してその光の柱の中に入れて、消えていく結晶からの落下から人間の方を助ける。

 機体の方もすぐに地面に落下して粉塵を上げた。


「よし、レナ、戻ってくれ。スヴィア、君も機体の右手に乗ってほしい。上へ戻るよ」

「え、あ、え、ええ。この“遺物”はどうするの?」

「上に待機しているジェラルドに君達を任せてから、もう一度俺が降りて取ってくるよ。ほら」


 むう、とした表情のあとレナは操縦席、スヴィアは助けた二号機の登録者と思われる男のところに向かう。

 よいしょ、と右手の上に倒れた男の横に乗るスヴィアを、気絶していると思っていた男が突然後ろから羽交締めにした。


「「え!」」


 ラウトは目を覚ますのに数日かかった。

 だから、彼も目を覚ますには時間がかかると思っていたのだ。

 思い込み——と、言われればそれまでだが、彼がいつからあそこで眠っていたのかはわからない。

 国境に近いところだが、これほど地下だと侵食されていた時間はわからない。

 しかし千年前の人間と思えば、そもそもこの結晶の中以外では生存不能だろう!?


小ネタ


兵「こちらがキャンプ地です。どうかごゆっくり」

トニス「ついてきちゃってよかったんですかぁ?」

ランディ「自分もそう思うが……ラウト殿、よかったのか?」

ラウト「反乱軍の規模や士気を確認しておきたい。拠点を知っているだけで色々できるしな」

トニス「ことを構える予定はないんすよね?」

ランディ「ない。ないぞ!」

ラウト「安心しろ。一瞬で終わる」

トニス「変なことしないでくださいねえええぇ!」

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