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1ー4

 今度こそ、テストが始まる。

 入学最初は筆記試験だけだから不安しか無いが……。


 いや、メリーがしっかり教えてくれたじゃないか!

 きっと大丈夫だ!

 そう、大丈夫!


「それでは、テストを始めて下さい」


 よし、頑張るぞ!


◇◆◇◆◇◆


「アイリス、大丈夫?」


 机にうつ伏せになっている私に対し、メリーが若干引き気味に話しかけてくるが、今は返す元気もない。

 何故こんなにも元気がないのかと問われると答えは一つ。

 勿論、先程のテストだ。


 なにあれ、すっごい難しかったんだけど!?

 思っていたのと違う!

 入学試験の時と似たような問題が出ると思ってたのに〜!

 出来なかったのは私だけじゃないはず……!


 不安になってつい、周りの様子を伺う。

 ほら、さっき私を呼び出していたカーラ嬢とその取り巻きさん達も同じ反応だよ!

 私だけじゃない!


「アイリス、寮に戻るよ。今日はもうすることが無いからね」


 いかにも面倒くさいと顔に書いてあるメリーが言う。

 そりゃメリーは平気だよね……わたしと違って筆記の方が得意なわけだし。

 でももうちょっと労って欲しかった……!


 まあ、そんな事言ったらメリーは容赦なく私を置いて先に帰ってしまうだろう。

 まだ寮の場所を正確に把握していない私にとっては死活問題だ。

 取り合えず今はメリーと一緒に寮に帰るとしよう。

 テストなんか忘れてやる!


 私とメリーが教室を出るとき、ちょうど殿下と黒髪の少年はお嬢様方に囲まれていたが見なかったふりをする。

 さっき助けてもらったが、正直言って関わりたくないのだ。

 お嬢様の相手、面倒くさい。

 新しい環境に情緒不安定な私はほっといてくれ。




 ――翌日。


 今日から正式に授業が始まる。

 魔法学園のテストの丸付けは魔法を使ってやる。

 だとしても、新入生全員の丸付けとなると一日はかかる。

 と、昨日入学式の前にもらったバッチが言っていた。


 今日の予定は魔法の基礎を教本を読んで学び、その後に軽く実習。

 だ、そうだ。これもバッチの情報。

 本当に優秀なバッチだ……おかげで学園生活に不安なんて無い。

 そして、今から始まるのは各教科の担当の先生の紹介だ。

 やはり、紹介しない限りは何も出来ないみたいだ。


 とゆうことで、集合場所の行動への移動中なわけだが、今日もまた捕まってしまった。

 昨日と違う点といえば、相手が殿下と黒髪の少年だと言うことだろうか。


 ………何故?


「ウェルは光型なんだって?珍しいね。魔法型と髪色も合っているね」


 私の隣に歩く殿下がニコニコしながら話しかけてくる。

 わぁ、殿下フレンドリー!

 コミュニケーション能力が高いね!


 ……なんて、思うでも?

 んなわけあるかぁー!!

 いや、ねえ?なんで私殿下に気に入られてんの?

 不思議でしょうがないんですけど!ねえ殿下、気づいて!

 私もよりももっと話しかけるべき人達がいるじゃないですかぁ!

 私はもうそろそろ背中に穴が開くと思ってますよ!?


 うっかりため息をこぼしてしまう。

 しまった!と思い慌てて口を手で隠すが手遅れで……。


「あぁ、ごめんねウェル…。つまんなかったよね……」


 あああああぁーーー!!

 そんな反応しないでくださいよ!

 女子!女子の視線が更に鋭くなったんですって!

 心なしか殿下の頭に垂れた耳が見えるし……!


 この状況、どうにかなんないのかなぁ………。

 と、その時何かを知らせるチャイムが鳴った。

 昨日テストが始まるときなどに鳴った音と違うから授業のじゃないと思うけど……?


『アイリス・ウェル、アイリス・ウェル。至急職員室まで来なさい』


 来たー!助け舟!!先生ナイス!


「先生に呼ばれたので、失礼しますね。では」


 女子達の痛いぐらいの視線から解放された嬉しさで今にもスキップできそう……。

 てか、先生が私に何の用だろう?

 私なんかやらかしたっけ??

 不安しかないけど、取り合えず行かなきゃな……。



「失礼しまーす。アイリス・ウェルです」


 そっとドアから職員室の中を覗いてみる。

 先生が多くて誰が呼んだのか全然わからない……。

 取り合えず、私のすぐ近くにいる先生に聞いてみよう。


「あの〜すいません、さっき放送で呼ばれてきたんですけど……?」


「ああ、アイリス・ウェルさんね。学園長室まで案内するわ」


 眼鏡をかけた40代くらいの女の先生が言った。

 ……学園長室?

 入学してすぐに呼ばれるほどの何か……。

 した覚えは無いが、容姿と魔法の属性だろうか……。


 学園長室はどうやら職員室とは別の場所にあるため、少し移動が必要そうだ。

 まあ、ほんの少しだが。

 前を歩いていた女の先生が大きな扉の前で立ち止まってノックを三回。


「学園長、アイリス・ウェルさんを連れてきましたよ」


「は〜い、ちょっと待っててね〜」


 バタバタと音を立てながら空いたドアから昨日見た学園長先生が顔を覗かせる。

 名前は確か……く、クロウデーなんとか……??


「はじめまして、アイリス・ウェルさん。私はこの学園の学園長を務めているクロウディ・ノーラ・モルメットです。よろしくね」


 昨日ステージの上で見たときよりも柔らかく話すため、違う印象を受ける。

 学園長って聞いたからもっと威厳ある感じの人かと思ってた。


「はじめまして、アイリス・ウェルです。その、私なぜ呼ばれたんでしょうか……?」


「ああ、うん……。昨日受けてもらったテストのことなんだけどね……。……見てもらったほうが早いかな?トール、テストを」


 トールと呼ばれた、案内をしてくれた女の先生は指をふっと上に振って一枚のプリントを出した。


「はい、これが君の解答用紙なんだけど……うん……ね…」


 学園長先生がとても気まずそうな顔をして、目を泳がせながら言う。

 私は受け取ったプリントに目を通す。


 飛び込んできたのは回答欄に引かれた赤い線。

 しかも大量の。

 線の数だけ見て点数はだいたい予想できるが一応見てみる。

 ………………もう一度見直そう、見間違いだ。

 うん、きっとそうだ。


 何度見ても変らない。

 私のテストの点数はたったの…………4点。


「見てわかると思うんだけど……このままじゃ君、退学になるんだよね……。でも僕としてはこんな貴重な魔法属性の生徒を逃したくないし……。でもねぇ……」


 ……退学??

 えっ、私、入学して一日目で退学の危機ですか?

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