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1ー1


「荷物持った?忘れ物無い?」


「大丈夫だって!全部持ったよ」


 迷子になった私を助けてくれた騎士のお兄さんと出会ってから約3年。

 私の夢は強い魔導師になることで、あの日からずっと変わっていない。

 まあ、強い魔導師って何なのか自分でもよくわからないが……。


 あの日、母にたっぷり2時間お説教コースを強いられた後、親友であるメリーに会いに行ったのだ。


 メリーは村で一番頭の良い女の子で、私の家の2つ横の家に住んでいる。

 メリーに私は王都の魔法学園に入学するつもりだと話したところ、メリーも一緒にそこへ行くと行ってくれた。


 メリーは将来魔物(パラサイト)を倒すお仕事がしたいのだという。

 驚いたが、正直とても助かった。

 頭の悪い私はメリーに勉強を教わる事が出来たのだ。

 やはり、持つべきものは友達だ。


 毎日お互いの家を行き来し、勉強を教えてもらい、何とか魔法学園に入れるだけの学力を身につける事が出来た。

 3年間、頑張って良かった。


 しかし、王都の魔法学園では魔法も使えなければならない。

 まあ、そこは心配ない。

 魔法だけは得意なのだ。


 父と母に無理を言って魔法をたくさん教えてもらったため、魔法だけは村一番だ。

 対してメリーは魔法が苦手なようで、メリーに勉強を教わる代わりに私が魔法を教えるようになった。

 これぞウィンウィンな関係だ。

 遠慮なくお願いすることが出来る。


 まあ、そんなこんなで私とメリーは共に魔法学園を目指す事になり、お互いを助け合いながら頑張ってきたのだ。

 その結果、1ヶ月前の魔法学園の入学試験に2人一緒に合格した。

 メリーはともかく、私も合格したのだ。

 勿論、手を取り合って喜んだ。


 そして今日は魔法学園の入学式。

 今日から私とメリーは家を出て、魔法学園の学生寮で生活するのだ。

 おかけで母は一週間ぐらい前から大丈夫か、荷物はまとめたのか、と凄くオロオロしている。

 今朝も食器を2つ割っていた。

 見ているこっちが心配になるのでやめて頂きたい、切実に。


 取り合えず、何時までも母に構っていられないので早々に別れを告げなければいけない。

 外でメリーも待っているのだ。

 オロオロする母を押しのけて玄関へ向かう。


 玄関のドアを開けるとメリーが本を読んで待っていた。

 どうやら長い時間待たせてしまったようだ……申し訳ない。


「お待たせ、待たせてごめんね?」


「ううん、大丈夫。アイリスのお母さんの声、ここまで聞こえてきたから……っっ」


 メリー、笑うの我慢しようとしてるけど、笑ってるのバレてるからね?

 肩すっごい震えてるからね?

 メリーの笑いのツボは変なところにあるため、誰も笑わない場面で笑うことが多い。

 一周回って失礼だと思う。


「メリーちゃん、アイリスをよろしくね」


「はい、任せてくださいおばさん」


 母はメリーに私をよろしくね、なんて頼んでるけどそこまで心配しなくてもいいと思うんだけど……。

 親心はよく分からない。


「じゃあ、お母さん。もう行くね」


「ええ、行ってらっしゃい。ああ、落ち着いたら手紙書くんだよ?お父さんもすっごく心配してたんだから」


「はいはい」


「アイリス、行くよ?」


 メリーが王都へ向かう馬車に乗り込む。

 う〜ん、クール。

 この馬車は魔法学園から来たもので、空間移動魔法を使って王都へ行かせてくれる。

 大変有り難いものだ。


「行ってきます」


 これから始まる学園生活に期待と不安を抱きながら、私は馬車に乗り込んだ。

 ゆっくりと進み始める馬車の窓から顔を出し、母に手を振る。

 空間移動魔法は馬車が進み始めてすぐに発動するため、今のうちしか別れを惜しむことが出来ない。


 やがて馬車は強い光に囲まれた。空間移動魔法だ。

 光が弱くなったらもう王都になるのだ。

 私は馬車の中に入り、席に座り直した。


 メリーはさっきまで読んでいた本を開いていて学園につくまで読むつもりみたいだ。

 私が寝ていてもメリーが起こしてくれるだろう。

 そう思い、眩い光に目を閉じた。

 

 こうして私、アイリス・ウェル12歳は生まれてからずっと暮らしていたナージ村を離れた。

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