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3−3

 ついにやってきたぞ、放課後!

 授業という名の交流会が終わって、明日の連絡事項も終わり教室からみんな出ていく。

 私も自分の少ない荷物をまとめていつでも教室を出れるようにしているとルイスが近づいてきた。


「もう行ける?」


「うん!」


 さあ、とうとうジェイドさんとのご対面だ!



◆◇◆◇◆◇


「ジェイド、いる?」


 食堂の奥、料理スペースにやってきた。

 さすが学園の食堂、人が20人は余裕で入れそうなぐらい広い。


「あら?その声はルイスかしら?」


 料理スペースのさらに奥に続いているであろうドアから声がして、開かれたドアから顔を出したのは灰色の髪の毛を後ろでお団子にした綺麗な人だった。

 女性にしてはかなり背が高い女の人で、おそらくこの人もルイスの知り合いなのだろう。


「ああ、ジェイド。ちょうどよかった。この子、アイリス・ウェル。料理を教えてほしいんだって」


 え、待って。今ジェイドって言った?

 この人がジェイド?

 でもジェイドって男性の名前だよね…?でもこの人は女の人で…??

 …どういうこと?


「あら!そうなの!嬉しいわ〜、この学園貴族が多いから料理に興味を持つ人って少ないのよね〜。私はジェイド・ラスター、よろしくね」


「よ、よろしくお願いします…。アイリス・ウェルです。あの、」


「?ああ、そうね。混乱させちゃったかしら?ご想像のお取り、私は男よ!」


 ……。

 え?


「お、男〜〜〜〜〜!?!?!?」


 こんなに綺麗な人が!?男の人!?女の人じゃなくて!?

 あまりにも信じがたくてついジロジロ見てしまう。


「信じられないなら腕とか触ってみてもいいわよ?結構筋肉ついてる方だと思うから、ほら」


 手を導かれ、ジェイドさんの腕に触ってみる。

 …ほんとだ、筋肉すごい…!

 料理は体が必要だって聞いたことがあるけど、本当なんだ!


「違う。単純にその人の趣味だよ」


「そうなの!?」


 だとしてもすごい…細身に見えるのに…。あ!これがインナーマッスル?

 さすがに自分でも触りすぎだと思うのでジェイドさんの腕から手を離す。


「信じてもらえた?」


「はい、それはもうしっかりと。でもなんでそんな女性っぽい話し方なんですか?すっごく似合ってるけど、周りに誤解されやすいんじゃ…?」


 気になったのでついでに聞いてみる。


「それも趣味」


 さっきからちょくちょく突っ込んでくるルイスのツッコミ。

 殿下がいるときは殿下の勢いがあったから分からなかたけど、ルイスって結構毒舌なんだね。言葉が鋭い。

 もうちょっと柔らかい言い方すればいいのにと思うけど、さすがにそこまで言える関係じゃないしお節介だと思うから大人しく口を閉じる。


「それで、アイリスちゃんはどうして料理に興味を持ってくれたのかしら?」


「それはですね、お母さんをびっくりさせたいからです!」


「びっくり?」


「はい!多分お母さんは私のことを何もできない不器用な子って思ってると思うので、人間として一人で暮らせるぐらい立派になったらびっくりすると思うんです」


 ふふ、お母さんの驚いた顔が目に浮かぶぜ…!

 さて、ジェイドさんの反応は…?


「っっっっっ、ふふっ…!あははははは!アイリスちゃんって面白い子だねぇ!よし、このお姉さんに任せなさい!一緒にお母さんを驚かせようか!」


「お姉さんじゃなくてお兄さんでしょ」


「うるさいよルイス!細かいことを言ってるとモテないよ!って、ああ、あんたは元からモテてるんだったか…。まあいいやとりあえず細かいことは気にしないの!」


 ルイスが私も思っていたことを代弁してくれたが、あっけなく言い返されてしまった。

 とりあえず、ジェイドさんが乗り気になってくれてよかった!

 これで料理を教えてもらえるし、面白い話し相手ができたと思っていいよね…?


「ジェイドさん、私はまず何をすればいいですか?」


「う〜ん、そうね…じゃあまずは一緒に野菜のスープを作ってみましょうか。エプロンはある?」


「エプロン…」


 エプロンってあれだよね、お母さんが料理するときに来てるやつ。


「持ってないです」


「あら、じゃあ今日はちょっとできそうにないわね…。エプロンの準備ができたらまたおいで、確か街に行けば買えるはずだから」


「わかりました…じゃあ今日買ってくるので、明日また来てもいいですか?」


「もちろんいいよ!あ、ルイスも一緒に来るんだよ」


 突然のルイスへの名指しに目を丸くする。

 呼ばれた本人も意味がわからないと珍しく表情にだしている。


「はあ?なんで俺まで呼ばれるの?」


「それはもちろん、作った料理の試食役よ。料理はね、食べてくれる人がいて初めて完成するのよ」


 そう言ってぱちっとウインクするジェイドさん。

 男性にしてはあまりにも可愛い仕草に思わずキュンとしてしまう。

 巻き込んでしまったルイスには悪いけど、正直客観的にみてほしいから食べてくれるとありがたいな…。

 またまた表情に出てしまっていたのか、私の視線に気づいたルイスは諦めたように息を吐いた。


「はあ、わかったよ。食べてあげる。でもちゃんと食べれる料理を作ってね」


「!うん!ありがとう!」


 今できることは終わったのでジェイドさんに別れを告げて食堂から離れる。

 私はこのあと街に出てエプロンを買いに行く予定だと伝えると、ルイスは寮に戻るというので玄関で別れる。

 どんなエプロンがいいかな?可愛いのもいいけど、汚れる可能性を考えるとシンプルなデザインの方がいいのかな?

 門までは少し歩く必要があるのでそんなことを考えながらゆっくりと向かう。

 もうすぐ門につく、というところで後ろからバタバタと誰かが走っているような音が聞こえてきた。


「アイリス・ウェル!少し、お時間いいかしら!?」


 後ろを振り向き、私を呼び止めた人を確認する切羽詰まった顔をしたとカーラ嬢が立っていた。

 時間はもちろん問題ないけど、私に何の用だろう…?

 また殿下に関する話だろうか?それなら喜んで聞くけれど…?


「少し、場所を移してもいいかしら…?嫌ならここで離すけれど…」


「ううん、嫌じゃないよ。どこに行けばいい?」


「じゃあ、私の部屋に一緒に来てくださる?」


 カーラ嬢について行って寮まで行く。

 私は平民だから寮の部屋は二人部屋だけど、貴族だと一人で部屋を使えるからきっと広々使えるんだろうな〜。

 ちょっと楽しみ…。カーラ嬢も何か焦っているようだけど人柄的に悪いようにはならないだろう。

 いや、もしかしたらこれをきっかけに仲良よくなれるのでは…!?

 まあ、離す内容によるけれど…。

 何を言われてもいいように覚悟だけは決めておこう。

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