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憧れの二人

私、マリー・ハーデルには憧れている方がいます。



「クレア様! セーラ様! おはようございます!」



家では、煩いと両親から顰められるこの人より大きな声での挨拶に嫌な顔一つせず振り返り



「おはよう、マリー。良い天気ですわね」


「……おはよう」



と、返して下さる。この、見目麗しい二人からは、お互いがお互いを大切に思っていらっしゃるのがよく伝わって来ますわ。


この二人において分かりやすいのが、セーラ様ですわね。寡黙で自発的に話すことをしないセーラ様が、唯一饒舌になる時がありますの。それは、クレア様が傷付けられる危険のある時だけです。


特に、シリス様のクレア様への発言においてのセーラ様は、満面の笑みを浮かべていらして、普段笑わない方が笑うとこんなに恐ろしいのだと知りました。


セーラ様の原動力の大半を占めているのは、


「ねぇ、セーラ様。今日のランチは中庭で頂きましょう?」


と、愛らしい笑みを浮かべているクレア様です。クレア様が喜ばれることを第一に考えて行動するのが、このセーラ様なのだと。行動を共にすることを許して頂いてから知りました。それほどまでに、セーラ様においてクレア様という存在は大切なのでしょう。


だから。


「……あぁ、いや……。クレア様、すみません。私、どうしても外せない用事がありますの。また誘って頂けるかしら?」



セーラ様がクレア様からのお誘いを断ることに思わず耳を疑ってしまいました。クレア様もまさか断られるなどと思ってもいなかったのでしょう。目を丸くして、ぱちぱちと瞬きをしていらっしゃいます。


……落ち着け。落ち着くのです、私。

私は知っているでしょう。セーラ様の行動には、クレア様への友情が在ることを。



それは即ち。

今、セーラ様がクレア様の近くにいることによって、何らかの被害をクレア様が受けてしまうということになります。



セーラ様の黒曜石のような瞳が、私の目としっかりと合わさります。そして、急に私の手を握るのです。あわわ!な、なんですの!?


クレア様は、「仲良いわね」と嬉しそうですが……!


ガサッと言う音がして、繋がれたら手を見ると紙を握らされました。



《クレア様を、よろしく》


丁寧に書かれたお美しい文字です。私の字も中々に綺麗だと思っていたのですが、まだまだですわね。



……セーラ様。私にお任せ下さいませ。何があろうと、クレア様はお守りしてみせますわ。



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