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なんてこったい!


煌びやかな装飾品の施された室内、


桜色の可憐なドレスを纏った可愛らしい華奢な女性に、女性の横に立っている我が国の第一王子様。



そして──二人から鋭い目を向けられる私の親友……



そこまで見て、ハッとする。


「待て待てぇええい……!」



私の名は、セーラ・フォード。


我が、イースト国の名誉ある公爵家の一つ、フォード家の令嬢である。


又の名を、霧島 美鈴。二十歳の大学生でした。趣味は少女漫画を読み漁ること。更に詳しく言うなら、少女漫画に出てくる美人さんを眺めること。美人は宝!


そんな私が以前読んでいた少女漫画が、私、セーラとして存在する世界……《異世界来て王子様に求婚されちゃって》だった。え? 題名がダサい?……それはまぁ否めないけれど。



大まかなストーリーの流れとしては、


ヒロインちゃんが庭にある物置きから、どういうワケか第一王子の寝室に落っこちる。


ヒロインちゃんが事態を飲み込めずオロオロしていると、第一王子がヒロインちゃんに一目惚れをし、ヒロインちゃんの境遇に同情した国王様に学園通わせてもらいつつ、王子の婚約者である悪役令嬢の存在や身分などの様々な壁を乗り越えて結ばれるというものだ……と思う。何であやふやなのかって? 途中で読むのを辞めたからだよ。



因みに私の推しは、悪役令嬢のクレア・アンバー様です! 超!超!美人なの! 麗しいという言葉はきっと彼女の為にある!


そしてそして! 麗しいクレア様は、私の親友なのだ!やったね!


……って、そうだったぁああ!!

物語通りにいくのなら、クレア様はもう直ぐ断罪されてしまうのだ。それも、謂れのない罪によって。



今の段階でのストーリーは割と、中盤まで来ている。……と、思う。ヒロインちゃんと王子様が思いを通わせた辺りといったところか。それを察したクレア様が、二人にチクチクとお小言を言うようになる。って言ってもアレよ?正論しか言ってないのよ。


ヒロインと婚約したいのであれば、ちゃんと正式な手続きを踏んで下さい


とか


婚約者のいる殿方に言い寄るのはお止しなさい


とか。


ほんっっとうに正論だよね!ぐぅの音も出ないとは正にこのこと!


なーんーだーけーどー。

ヒロインや王子がどういう風に曲がりくねった解釈をしたのか、ヒロインに対して酷く詰っているだとか、嫌がらせだとか……とんでもない勘違いをされてしまったのよね。


そして断罪である。


何の罪があるんだよ!と言いたいところだけれど、

自身の婚約者に冷たい視線を向けられた挙句、沢山の生徒やお偉いさんのいる中で責め立てられたことに、クレアは公爵令嬢としての矜持を傷付けられ自害してしまう。


クレア様推しの私は発狂したよ! 何も悪いことしてないじゃん! ってね。そして私は読むのを辞めたのだった。



さてさて。私の知っている大まかなストーリーはきちんと整理したし、自ずと目標も定まったワケだ。


そのいち! クレア様を断罪させないこと!

……正直さ、ヒロインにザマァしたいなとも思ったんだよね。けどさ、クレア様は王子様を愛しちゃってるからさぁ……。クレア様推しの私としては、クレア様の悲しむことをしたくないのよ。


そのに! クレア様に自害をさせないこと!

そのいち!が出来れば、問題ないんだけど……。ま、これは必要最低限よね。麗しいクレア様がこの世から消えたらと思うとなんと悍ましいものか。人間国宝が一人減ってしまうのよ!?


そのさん! クレア様とより仲良くなりたーい!

せっかくの親友というポジション!折角なら堪能したいじゃない? 中身はこんなに残念だけど、これでも公爵家。なんなら美女! 美人に飢えたらとりあえず鏡を見れば良い。コスパの良い顔面してるぜ!きゃっほい!



と、いうワケで。目標を達成しつつ、楽しいスペシャルな学生生活を謳歌していきたいと思います!

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