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3-5

「とは言ってもそんなに目新しいものはないですよ。お決まりというかお馴染みというか」

「大丈夫だよ。それに僕はラビの口から聞きたいんだから」

シュウさんにそう促されて、私はひとつずつ七不思議の説明を始める。

「まずひとつめは、校門に設置されている創立者の像の目が深夜になると光る」

「光る?何で?新手のイルミネーションかなにかかい?」

「いや私に理由を聞かれても…」

知らんがな。私が光らせているわけではないので。

というか言っておいてなんだけど、私も実際に光ったところを見たことはないし。

「ふたつめ、深夜に音楽室のピアノから、誰もいないのに『エリーゼのために』が聞こえてくる」

「レコードでもかけっぱなしにしてたんじゃない?」

「夢のないことを言わないでください」

あと今はCDの方が可能性高いです。レコードも一応あるけど。

「…みっつめ、深夜になると理科室の人体模型がひとりでに動き出す」

「へぇ、誰かの式神なんだ」

「その発想はありませんでした」

でももし私が使うとしたらあんな式神は嫌だな…でかいしリアルすぎる。

というかシュウさんがトンチンカンなことばかり言うから説明するのすごく面倒くさいぞ。

「よっつめ、四階に続く階段は深夜に登ると昼よりも段数が増えている」

「ダイエットにちょうどいいね」

「ちなみに登りきると異世界に迷い込んで帰ってこれないらしいです…シュウさんどこに行くつもりですか?」

「せっかく御誂え向きの場所があるなら、今からでも登りきったあたりに異世界への入り口を

「それ言うと思ってましたけど絶っ対にやめてくださいね?もしやったら私シュウさんのこと嫌いになりますから」

「絶対にやりませんので次の怪談をご教授くださいお願いします」

「よろしい」

だんだんとシュウさんの扱いに慣れてきた自分がいる。複雑。

「いつつめ、深夜になると三階の女子トイレの三番目の個室に花子さんが出る」

「いきなり固有名詞出てきたけど花子さんって誰?」

「日本で有名な女子トイレに出る幽霊です」

「説明がざっくりしすぎてない?というかだんだんめんどくさいとか思ってきてない?」

「だって多いんですよ」

なんで七つも考えたんだよ。発案者を呼び出して小一時間ほど説教したい。

「むっつめ、深夜にプールに近づくと水面から無数の手が出てきて引きずりこまれて溺れ死ぬ」

「昼間に水を抜いておけばいいんじゃないの?」

「身も蓋もねぇな」

幽霊もさぞがっかりするだろうに。

「それで、あとひとつは?」

「最後はですね

「きゃあああ!」

「あ、始まったのかな?」

「そうみたいですね。…シュウさん、隠れましょう」

「どこに?」

「とりあえずそこの空き教室にでも入りましょうか」

「誰もいない夜の教室にラビと二人きり…ごくり」

「ちなみに変なことを考えてたら別行動にしますんで」

「まさか!仮にも神であるこの僕がやましいことなんて微塵も

「置いて行きますよー」

「まってまってまって!」

埒があかない。というか他の生徒に見つかってしまったらそれこそアウトだし。

だからとりあえず目立つシュウさんを隠すために手近の空き教室に入ろうと、私が教室後方の扉に手をかけた時だった。

「うおっ!?」

「きゃあああ!」

先ほどよりも近くで響いた悲鳴の方へ恐る恐る振り返ると、

「あれ?アンタは昼間の…」

「屋上にいた白い人…ですよね?」

「あ」

「あああああああ」

昼間に屋上で会ったカップルと鉢合わせてしまった。

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