異世界85日目 6月24日(月) ②お手て繋いで
園を彩る、お花プロジェクトも開始した所であるが、実はもう一つお楽しみを用意してある。
昼食後に再び園の外に出て本日二度目の神力を使う。ちなみに、イリアさんにも言われたが、この神ブック、土いじりをした手で触っても一切汚れない。
ここだけの話であるが、この前、コーヒーをぶちまけてしまった時も無傷であったぐらいだ。
神力で具現化させたのは『畑』だ。園児達には花と一緒に食物も育ててもらおうかと思っている。今回植えようと思っているのは『さつまいも』だ。
イモ類は比較的育てやすいと言われているし、収穫も楽しい。もちろん食べても美味しいのは周知の通りの優れものだしね。
特に収穫の時は、連なるさつまいもを掘り起こし、興奮したのを鮮明に覚えている。ぜひあの体験を園児達にも味わって欲しい。
続いて神力を使用して種イモを具現化させる。この世界にもさつまいも自体はあるのだがここは少しこだわって日本の品種にした。だがいくら育てやすいとは言っても農作業は難しい。素人では発芽させる事すら出来ないかもしれない。
そこで、神力のイメージで成長しやすいようにと補正しておいた。何度も神力を使っている内にコツみたいなものを掴めるようになってきた。要はイメージ次第なのである、改めて考えるとほんとチートな能力だ。
「……これは何?」
ソフィは育てる行為に興味があるのだろうか。アメリアよりも積極的に質問してくる。ちなみにアメリアは畑に入って走り回っている。やっぱり狼だし土が好きなのかな……。
「これは種イモと呼ばれるものだよ。これを植えると沢山のお芋さんが出来るんだ」
「……お芋さんからお芋さんが出来る……不思議」
アメリアもこちらに戻って来た。もう服はもちろん、顔も泥だらけだ、まあ元気で宜しい。
「じゃあ今度はこのお芋さんを植えて育てるよ! 上手く育てば秋には美味しいお芋さんがいっぱい出来るからね」
「カズヤせんせ~、ルーミィせんせ~と喧嘩しちゃった?」
よおし、じゃあ、種イモを植えていこう! って……アメリア、今からする作業と全く関係の無い発言をしたよね?
「……先生達、今日一回も喋っていない……お顔も見て無い」
ソフィ、その観察力は素晴らしい。よし、ソフィには観察日記を付けてもらおうかな? しかし、園児達にバレてるとは……まあ喧嘩では無いんだけど。しかし子供とは敏感なものだ。
「……カズヤ先生、ルーミィ先生に謝って仲直りする」
俺が悪い体なんですね、ソフィ……。どうしてそう決め付けちゃったのかな?
「けんか良くない……ルーミィせんせ~かわいそう……」
え? なんか知らないけど園児達から悪者扱い、いや主犯扱いされてる!? いやしかし、これは良い機会だ。このままルーミィとぎくしゃくした関係を続ける訳にもいかない。
「ルーミィ先生、先日は申し訳ありませんでした。その……変に意識してしまって」
「わ、私こそ。わがままばかりで……ごめんなさい……」
「……仲直り出来た」
「仲直り出来たらおててつなぐんだよ!」
どうやらアメリアの中では手を繋ぐ行為は仲が良い証拠となるらしい。まあ、間違いでは無いとは思う。正直かなり恥ずかしいが園児の手前もあるしここは素直になっておこう。
ルーミィの手を取って繋ぐ。小さくて綺麗な手だ。そして女の子の手ってこんなに柔らかいんだな……恥ずかしい上、緊張する、手汗が大変な事に……。
「さ、さあ! みんなでお芋さんを植えますよ!」
「手を握っ……意識して……私と……」
ん? なにやらルーミィの様子がおかしいが。とりあえずいつまで手を繋いでいればいいのだろう。このままでは手の平がびちゃびちゃに……気持ち悪がられてしまう。
「カズヤせんせ~とルーミィせんせ~は番になるの?」
衝撃的な一言がアメリアから放たれた。番ってつまり夫婦だよね?
「つ、つ、つが、つが!」
「過呼吸に!? 深呼吸をして! 吸って吐いて、落ち着いてゆっくり!」
その後、アメリアの誤解を解くのとルーミィを正気に戻すまで種イモ植えは中断した。
尚、ルーミィが『こ、この手は洗わないでおく……』などと小声で言っていたが全力で洗うように伝えておいた。これから畑仕事をする上におっさんの汗などさっさと洗い流して欲しい。
衛生上、大問題だからね?




