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異世界23日目 4月23日(火) ③火に油を注ぐと燃え上がります

 

 古龍夫婦のバストラさんとロールさんも帰宅し、正直今日はもう休みたい気分であるが、そうも言ってられない。昼食の準備をしなければ。


 ルーミィにはもう少し遊んだら遊戯室に来ても貰うようお願いし、キッチンへと向かい昼食の準備に取り掛かる。



 昼食は二人仲良く食べてくれてソフィも美味しいと喜んでくれた。ナイス、俺のサンドイッチ!


 午後からはアメリアがお店屋さんごっこをソフィに教えながら遊んでいた。やはりソフィにもお店の概念や金銭感覚は無かったが、遊びながら覚えたようである。


 今度本物のお店に連れて行ってあげると伝えるとにっこり笑ってくれた。


 アメリアの元気いっぱいの笑顔も癒されるがソフィの笑顔も負けていない。この子達にもっと笑って貰えるように頑張らないとな。うん。熱視線を感じる。言わずと知れたルーミィからだ。


「まさか……やっぱり……」


「だから違いますって!」 


 懸命の弁解を行ってる際、脇で園児たちは楽しく遊んでいた……。




「ソフィちゃんどうだった? 楽しかったかい?」


「……うん、楽しかった」


「ソフィ、明日もいっぱ~いあそぼ~ね!」


「……うん、遊ぼ」


 いやあ! 友情だよ。友情が生まれてるよ! なんだろうおっさん涙が出そうだよ。


「カズヤせんせ~、ルーミィせんせ~、またね~!」


「……カズヤ先生、ルーミィ先生、さようなら」


 二人は挨拶をしてゲートに入り銀色と赤色の光を残し帰宅していった。


 ソフィは少々人見知りがちではあるが、しっかり挨拶も出来るしとってもいい子だ。アメリアにも友達が出来て良かった。


「和也、ちょっと園の掃除任せてもいい? ちょっと、その、用事があって……」


 ああ、例のやつですね。ここで余計な事を言うと、築き上げた関係が一瞬で崩れ去ることになる。触らぬ神に祟り無しだ。実際神だし。




 園の用事を済ませ食材の買い出しに向かうことにした。園児が明日から増えることになったので不足分の買い足しをしないといけない。もちろん行先はイリアさんの雑貨店だ。



 店内に入り食材を探している際、ルーミィが死角に入った所でイリアさんに小声で話しかけられた。


「昨日はクッキーありがとう。美味しかったよ」


 あら、バレてました? 内緒にはしてたんですけどね。


「いつも食材の選定や材料はカズヤが買ってるし、あのクッキーは初めて食べた食感だったからな。あれはスライム料理だろ? あんなのはあんたぐらいしか作れないし、ルーミィが作ったものでは無いぐらい簡単に見抜けるさ」


 素晴らしい観察眼です。さすが世界を股にかけている商人さんだ。


「あ、あの。出来ればルーミィさんには黙ってあげて欲しいんですが」


「分ってるよ。乙女の恋心を踏みにじるような真似なんてしないさ」


 良かった。うん? 恋心? 何故にクッキーをイリアさんに渡して恋心なんだろうか。あの日は帰って来るの遅かったし……まさか百合!?


「またイリアさんを見てデレデレしてるの?」


 皮肉たっぷりの問い合わせが届いております。言葉がストレートになってきましたね。でも今回はイリアさんから話しかけて来たんだし。当然フォローも……。


「まあ、あたしに見とれてしまうのは仕方無いけども、可愛い彼女の前ではダメだぞ、カ・ズ・ヤ」


 まさかの裏切り!? 


 いつもの喋り方じゃないしその語尾は何ですか! ほら! ルーミィさんが拳握り締めてるじゃないですか。あとなんか小刻みに震えてますし! ってなんで腰に手を当ててセクシーポーズなんか取っちゃってるんですか!? 


 何か俺、恨まれるようなことしましたっけ?


「はは、冗談だよ」


 その言葉、刹那遅かったら俺は冤罪で鉄拳制裁の刑でしたよ……。




 冤罪から免れたおかげで無事夕食を済ませる事が出来た。ソファーにもたれながら神ブックを開け、今日の神ポイント確認のイメージを作り上げる。


 それにしても買い物の時は肝が冷えた……火に油を注ぐってまさにあれだな。おかげでクッキーの件はバレずに済んだが。さあ、気を取り直して今日の確認をしよう。なんか疲れたなあ……。



 ―神ポイント―


 ・現在のポイント 986ポイント


 ・日常保育2人 4ポイント

 ・初めての体験保育 100ポイント

 ・園児の入園 500ポイント

 ・神力使用 -100ポイント


 ・現在の神ポイント 1490ポイント



 なんか今日はいろいろあるな、しかしソフィの入園が大きい。あと日常保育も倍になってるし。体験保育も初回ボーナスだったのか……。


 よし、1000ポイントを超えたら実施しようと思っていた遊具の新設を明日やってみるか。やはり遊び道具の種類は大いに越したこと無いもんね。


「結構ポイント貯まってきたね!」


 優しい香りと共に俺の顔の横からルーミィが顔を覗かせてきた。


 だからびっくりするから急に来ないで下さい……神ブックを見る為なんでしょうが、こちらはいちいち心拍数が上がるんですよ? まあ、ゆっくり来られても同じですが。


「はい、本当にルーミィさんのおかげです。感謝しています」


 この言葉に嘘偽りは無い。一人では限界がある。元の世界では出来る限り人には頼らないようにしてきたが、こちらの世界では俺一人で生きていき、神ポイントを貯めるなど不可能だ。


 現に今日だって古龍夫妻との説明の間はルーミィが園児達を見てくれているし。


「そ、そんなことないよ。そ、それにしてもあのレッドドラゴン、ううん、古龍相手に平然としていられる和也の方が凄いよ」


 そういえば古龍っておっしゃられてましたね。でも白銀狼さんと同じような感じでしょ? まあ、それ自体が危険盛り沢山なんでしょうけど。


 どうやらルーミィは古龍の存在を知っているようだし、一応確認させて貰うか。まあ、絶対やばいのは百も承知の上だが。


「あの、ルーミィさん。少し詳しく聞かせていただいて宜しいですか?」


 情報は大切だ。情報を制するものは世界を制す。元の世界ではその情報がお金になるくらいだし。


「うん、レッドドラゴンってそもそも希少種なの。長寿なのもあるけど現在、番は一組のみでドラゴン属のナンバー1がバストラさんなの。特徴は真紅の瞳を持っていて他のレッドドラゴンは赤い瞳。その真紅の瞳に映った者で命があった者は居ないって神界新聞で読んだよ」


 結論を述べよう。情報は大切だ。だが時として知らない方が幸せな時もある。後、新聞あるんですね。


「な、成程。そ、それを知っていたのならやらかしても仕方無いですね……」


 あ……しまった。火に油を注いじゃった。

 

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