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異世界3日目 4月3日(水) ③日本食、バンザーイ!

 

「ミソ? ショウユ? なんだそれは?」


 雑貨店で買い物の際に聞いてみたのだが、この返事からすると無いようである。


「大豆の発酵調味料なんですが……」


 やはり日本の食材を手に入れるのは厳しいか……となると、レパートリーが少なくなる事はもちろん、日本食が余計恋しくなる。ああ、味噌汁が飲みたい……。 


「う~ん。確か発行させた豆で作った、なんかしょっぱい黒い汁と辛い粘土みたいなものは知ってるが……」


 それっす。あるんですね……。


「そんなのを料理に使うのか? まあ、取り寄せれない事は無いが、結構遠い所のものだからな。少し時間がかかるが構わないか?」


「ぜひお願します!」


 良かった! これで念願の日本食が作れる! 待ってろ、味噌汁! よし、後は米だ、米も買っておこう! 白ご飯も食べたい。今日の夕食は何にしようかな~。


「ルーミィ、カズヤは食材を選んでいる時やけに嬉しそうだな」


「料理の事になるとちょっとテンション上がり過ぎる傾向にあるみたい……」


「それとあの顔の傷、一体何があったんだ?」


 ふはは! まってろ白ご飯! よし、今日は野菜炒めだ! がっつりオンザライスで食ってやるぜ! あ、この食材も買っとこっと!





「お腹空いたあ~」


「ルーミィさん、お腹空いてばっかりですねえ……」


「あれだけのスライム集めたんだよ! どれほど動き回ったと思ってるの!」


 キッチンの端には大量のスライムが積んである。まあ、確かに頑張ってはいただきましたが。


「それに私は育ち盛りなの! 今日のご飯は大盛りにしてね!」


「その割に――」


 ぐああ! 傷が、傷が疼く! はぁ、はぁ……危ない、危うく昨日の二の舞いになる所だった。胸関連の発言は禁句だ! 早く、言い直さねば! 今日注意されたばかりだし。


「……その、割、増しておきますね。ご飯」


「うん? お願いね!」


 なんとか誤魔化せたようだ。危なかった……。


「外食もいいのですがやはり基本は自炊を心がけたく思ってまして」


「うん! じゃあ手伝うよ!」


 そういえば女性と一緒に料理するの初めてだな。ちょ、ちょっと緊張する……。



「それではお米を洗ってくれますか?」


「は~い。洗えばいいんだね!」


 ……胸騒ぎがする。そもそも神様は洗い物などするのだろうか。いや、しないにしても知ってはいるだろう。だが、お米の存在は? お米を洗う……まずい!


「ちょっと待って下さい!!」


「え?」


 危なかった。洗剤をぶち込まれる直前であった……。全国の米農家さんを侮辱しかねない行為だ。ま、まあ、あれだ。米の存在を知らない人に洗ってくれと言ったら大半はこうなってしまうだろう。しかも相手は神様だし……。


「すみません。お伝えするのを怠っておりました。お米は洗剤で洗うのではなく、水ですすぐものなのですよ」


「なあんだ! そうなんだ!」


「お米は私が洗いますのでそこの野菜を切っていただけますか?」


「は~い!」


 ふう、野菜を切るのなら任せられるだろう。さ、お米を洗おう。おっ! 意外と綺麗に精米されてるな。これならばあまり強く洗わず、米に付いた埃や僅かなぬかを取る感じで優しく……。


「あ、そうそう、今日は野菜炒めにするので薄く――」


「せえ~の、えい! よおし、もう一丁!」


 ……なんで包丁を両手持ちして上段に振りかぶってフルスイングでたたき落としてるんですか? 人参に何か恨みがあるんですか? 危ないから、それ。


「ルーミィさん、ストップ! スト~ップ!」


「うん?」


 よ~し、そうだ、ゆっくりとその包丁を下ろすんだ。そうだ、いい子だ。


「……ひとつご質問ですが、料理のご経験はありますか?」


「無いよ?」


「リビングでお待ち下さい。私が作りますので」


 なんで手伝うって言ったんだ?




「美味しい~! 食堂と変わらないぐらいの美味しさだよ!」


 そう言って頂けると本望です、包丁フルスイング女神様。しかし、料理は任せられないな。確実に怪我をする、あの包丁さばきでは。


「うぅ~! おいひい~!」


 ま、あの笑顔が見れるからいっか……。




 大盛りご飯をペロリと平らげた女神様は、とても満足気にソファーでくつろいでいる。なんて食欲なんだ……。


 これが育ち盛りか……。


「さて、今日の確認をしておきましょうか」



 ――神ポイント――


 ・前日までの神ポイント -800ポイント


 ・現在の神ポイント -800ポイント



「増えてないね?」


 確かに1ポイントも増えてない。今日は別段、保育園の仕事して無かったもんな。村の人とは更に交流を深めたけどもそれは対象外なのか。しかし保育園の備品や設備を揃えて行く為には、お金は必要不可欠だ。


「ええ、でもスライム製品は私達が生きていく為の唯一の手段です。神ポイントは増えませんがこれを辞める訳にはいきません。それに今日はフラムさんからスライムの情報を聞けたので、新製品を思い付きましたし」


「そうなの!? 味見は任せて!」


 味見かい……いや、手伝われると大惨事になりかねない。


「ええ、お願いします。今は桜の季節で桜スライムが多くいます。それを使って季節限定商品を作ります。あと販売促進用のポスターや販売時間、販売個数などもお客さんに分かるようにしましょう」


「うん! いっぱい美味しいご飯を食べよう!」


 ……随分と軽いですね。こっちは消滅するかどうかの瀬戸際でやってるんですけど? デッド・オア・アライブなんですけど!?

 

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