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異世界3日目 4月3日(水) ②やっぱりありました! 冒険の定番!

 

「おや? あの建物は……」


 武器屋食堂で昼食を終え、村を散策していると明らかに他の建物とは違う存在感を放つ建物を発見した。


 店、なのか? でもなにか役所にも見えるような。


「何のお店かな? 入ってみる?」


 これからお世話になる村だし、何のお店か確かに興味はある。でも、なんかどこかで見たような気がする……。まあ、ここで悩んでいても仕方無い。


「ええ、伺ってみましょう」


 扉を開けるとテーブルとイスが並んでおり、奥のカウンターにはおそらくお酒であろうものがズラリと並んでいた。


 そうか、ここはBARだな。でも入口で感じたのはBARを連想するものではなくて……。


「あっ! 異世界から来たスライム料理売ってる人!?」


 元気な声が聞こえて来た方を向くと、角にもう一つ小さなカウンターがあり、そこに可愛らしい女性が立っていた。目の前のBARの風景に先に目がいってしまい、気付かなかった。


 声をかけてきた子は年はルーミィと同じぐらいであろう、背丈もそう大差なさそうである。ポニーテールがとても良く似合っている。


 だが、着ている服がメイド服だ。なぜその服がチョイスされたのだろう? ここBARですよね? あと……お胸が非常に豊かだ。


 メイド服+ポニーテール+豊かなお胸なんて、空想の世界の物だと思っていたが、実在していたとは。世界は広い! ここ、異世界だけど。


「……」


 ルーミィにまた見らている! あのジト目を見れば分かる。何を言いたいのか、目は口ほどに物を言うからね。


 でも違うんです、メイド服に見とれて。いや、これもかなり危ない。そんな事を言おうものならドン引きされて二度と口を聞いてくれなくなる。


 よし、黙っておこう。これが一番だ。


「確か、カズヤさんにルーミィちゃん……だったよね? ギルドへようこそ!」


 あっ、なんかすっきりした。そうか、どこかでみた雰囲気と思ったらRPGとかでよくあるギルドの風景だわ。


 規模、すっごい小さいけど。9割BARじゃん……。


「どうも、始めまして。えっと、お名前をお伺いしても……」


「私はフラム! ピッチピチの16歳、ギルドの看板娘だよ! と言ってもこのあたりモンスター居ないからそっち系の依頼は一切無いけどね。迷子の猫ちゃん探しとかワンちゃん探しとかがメインだよ!」


 街の小さな探偵か! それはもはやギルドとは呼ばないんじゃないでしょうか?


「ねえねえ、スライムの料理作ってるんでしょ? 私、スライムに詳しんだ! BARは夜からだし、日中は仕事ほとんど無いからずっと研究してたんだ!」


 でしょうね。毎日迷子になる猫や犬はそういまい。しかし、興味がある。スライムについての情報は欲しい。今後のレシピに大きく繋がる!


「私もスライムの情報が欲しかったんですよ。お聞かせ願えますか?」


「うん、いいよ! 久しぶりにギルドのお仕事だ! 燃えてきた!」


 久しぶりの仕事って。まあ、平和な証拠なんでしょうけどもね。



 メイド看板娘こと、フラムは自分で詳しいと言うだけあってかなりの情報を教えてくれた。


 スライムは精霊であり、その場所や特色に合わせたものが存在するらしい。たとえば今の季節は桜スライムが季節限定スライムになるそうだ。また緑のスライムは葉スライムと呼ばれ、主に木が多い所に居るらしい。


 昨日大量ゲットした時にその2種類は確かに居た。なるほど、桜とその葉っぱの精霊だったのか。


「スライムは食用にも日用品にもなるんだけどあまり需要が無いんだ。まあ、季節の風物詩みたいなものかな? でもそれを使って料理するなんて! 異世界から来た人は目の付け所が違うね!」


 そんなこと言われるとおっさん、照れちゃうよ……ルーミィさんが腕組みしてこちらを見ていらっしゃいますが、なんでしょうか若干睨まれているような。


「あ、ごめん! 彼氏にずっと喋っちゃって!」


 ルーミィに向けごめんねポーズをしているが、俺は彼氏では無い。どちらかというと保護者だ。もしくは再研修の監視役を務めております。


「そ、そんなんじゃありません!」


「えっ? そうなの違うの? ……うふふ、そっか彼氏じゃないんだぁ~」


 なんでしょう。その語尾の延ばし方は……。


「そうそう、私もスライム水まんじゅう食べたかったんだ。でもいつ売りに来るか分からないし、まだ買えてないんだよ」


 ――しまった! 肝心な事が抜け落ちていた! このメイドさんの言ってる事は大問題だ。俺はおばちゃんの口コミ効力に甘んじて、販売時間や個数、その他の情報の告知を一切していない!


 これでは安定した販売に繋がらない。現に買いそびれているお客様が居る。今はそれに至っては無いがこれは販売機会の損失を招く要因になる。これは早急に対策を練らねば!


「――ずや! 和也! どうしたの急に難しい顔して考え混んじゃって。あ、あれだよ彼氏じゃ無いって強く言っちゃったけど私達まだ会って時間も経って無いし、その、でも嫌いとかそんなのじゃなくて……」


「ああ、すみません。ちょっと考え込んでしまって。えっと何でしたっけ?」


「な、何でも無い!」


 なぜ怒る? なんか小さな声でぶつぶつ言ったような気がしますが……。


「へえ~、そう、そうなんだぁ~、ルーミィちゃん! ちょっとちょっと!」


 メイドさんに呼ばれ奥に行ってしまった。何か話しているようだが……まあ、ルーミィも年の近い友達が出来て良かった。とりあえず、さっきの問題を解決する為に雑貨店に寄って備品を買い足さねば。



「ごめんね! お待たせ~!」


「もう、ちょっと! フラムってば!」


 おや、戻ってきた。すっかり仲良くなったようですね。


「ねえねえ、スライム研究家としてスライム水まんじゅう食べたいんだ! 今度持って来てよ! 私、日中はギルドの仕事あるから動けないの」


 ギルドの仕事って無いよね? 多分、外を出歩いてても問題無いと思うよ? しかし、スライムの情報も頂けた事だ。お礼に明日持って来てあげよう。


「あとね、見てもらった分かると思うけど夜はBARもやってるから! またこっちも寄ってね! お二人で!」


 そうだな、異世界のお酒も興味あるし折角のメイドさんからのお誘いを断る訳にもいかない。


「はい、また寄らせてもらいますね。スライム水まんじゅうも用意しておきますから」


「やった~! 楽しみにしてるね!」


「フラム! 何度も言うけど――」


 なんかまだ会話が弾んでるみたいだしそっとしておこう。それにしても活発な子だ。ポニテメイドか……。


「!!」


 ――またルーミィに睨まれた。そんなに顔に出てるんだろうか……。


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