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第六話 お泊まり

「100人いるうちの99人がAを選んだとする。けどあとの一人はBを選んだ。」

「満場一致という言葉があるが、この場合満場一致という言葉は当てはまらない。前の出来事はこの言葉で片付くんだよ。」


『ありがとう』と言った直人の母親始め周りの人間。

『人殺し』と言った直人の姉。


一人の違う意見は大人数の違う意見より心にくる。


「そのお姉さんは本心で言ったの?」

「さぁ、それは本人に聞かないと分かんない。」

「じゃ、本当はそんなこと思ってないと思うよ。」

「イジメられている人はどんな助けでもいいから助けてって思ってるんだよ。それを花形君が一番いい形で実現してくれた。亡くなった人の家族にいうのもちょっと気が引けるけど、そのお姉さんはイジメられている人の気持ちを理解してないよ。」


まさか風凪がここまでいうとは思わなかった。

そして、なによりなんでそんなに怒っているんだろうか。


「花形君は怒らなかったの?」

「あぁ。」

「なんで?」

「怒れるわけないんだよ。実際に風凪だって被害にあってるんだからわかるだろう?」

「それが、家族にそれも他人の介入が原因でなったとすれば怒るのは当然だろ。」

「俺はその怒りを受けれた今更なんでだと怒る気にもなれないしな。」


俺はあの時受けれた。

実際にその通りだと思ったし俺の介入が原因でイジメが過激化したのも事実。

直人の姉の言ったことに間違いなんてなかった。


と、その時、風凪のスマホは鳴った。

「あ、たぶんお母さんだ。」

「あそっか、制服だったんだもんな。家には帰ってなよな。」


「もしもし、お母さん?あ、うん、大丈夫。」

「あ、今日は友達の家の泊まるから心配しないいで。」

「うん。はーい。うん。じゃーね。」


どうやら話はついたみたいだが...。


「泊まるって本気か?」

「あ、迷惑だった?」

「いや、俺はいいけど...今日家族誰も帰ってこないぞ?」


母親は泊まり込みだし妹は中学の行事の泊まりでいない。


「え.....。」

これには風凪も予想外だったようで固まった。


「だから、本気かって聞いたんだ。」

「....どうしよう。お母さんには泊まるって言っちゃったし、けど、花形君と二人きり...。」


風凪は顔を真っ赤にしながら顔を両手で隠す。そして、体をぶんぶんと左右に振る

地味で目立たないがこういう仕草をされると女の子そのものだ。

俺は女子をあまり可愛いとか綺麗という目で見ない。


元々、人間観察とかそういう人をじっくり観察するようなことはしない。授業はサボるし部活にも委員会にも入ってない。

だから、人との関わりが全くと言っていいほどない。

こうして、近くで漫画や小説みたいな仕草をされると可愛いと感じてしまう。

そういう意味では俺はチョロイ。

まぁ、一番近い家族以外の女子が優しかいないし、優も優でそんなに女の子らしい行動はしない。

いや、してるのかもしれないが俺には感じ取れない。

今の風凪みたいにわかりやすく照れたり、恥ずかしがったりしてくれれば俺にだってわかる。


「くうううぅぅぅぅぅ。」

風凪がぶつぶつなにか言ってる時に風凪のお腹から可愛い音がした。


「あううぅぅ。」

「そういえばそんな時間か。」


時刻は夜の8時。

風凪が来て数十分しか経っていないから結構長い時間襲われていたことになる。

その時寝てた俺を今すぐにでも殴りたい。


「俺、料理できないんだけどどうする?」

「あの、じゃあ私が作ろうか?」

「マジで!頼むわ。」

「じゃあ、簡単なものでお味噌汁と和風なもので」


風凪は腕まくりをすると冷蔵庫から大根を取り出し桂剥きを始めた。


「上手いもんだな。流石自分の弁当をちゃんと作ってるだけある。」

「料理やってる人ならこれくらい簡単だよ。」


俺は風凪の隣に移動した。

それは、自分には出来ないことを出来てる風凪を凄いと思ってもっと近くで見たいと思ったから。


隣に移動して分かった。

風凪の傷も見えてしまう。

手首にある数えるのも少し大変なくらいの傷。


「あ、ごめんね。こんな手で料理しちゃって。」

そう言いながら風凪の手は止まらない。


「いや、別に嫌じゃないから構わないけど…風凪はその傷隠してたりするのか?」

「危ない子って思われたくはないから学校では極力見せないようにしてる。」

「この傷気づいたの花形君が初めてだよ。」

「母親にも言ってないのか?」

「お母さんも忙しいから心配かけたくないんだ。」


その気持ちは分からくはないがそういうのはちゃんと言った方がいいと思うのは俺だけだろうか。


言わないで見つかった時の心配のされようは母親にもよるが俺の場合はそうでもなかったが風凪の場合どうか分からない。


俺が無駄に考えてる間に風凪は着々と料理を作り上げていく。


(風凪って将来いいお嫁さんになりそうだな。)

そんなことを頭の中で考えていた。


カラン

そんな軽い金属が落ちた音がダイニングキッチンに響く。


「え、あ、え、あの。その、えーっと。」

「どうした?」

「え!いや、何も!」


風凪は落ちたお玉を慌てて拾って洗い始める。

明らかに動揺してたが料理でも失敗したのか?

見たところそんな焦るような失敗はしてないように見えるが…。

まぁ、料理上手な風凪からしたら失敗だったんだろう。

少なくとも、俺が作るよりは失敗は小さい。

俺の場合、適当なため見た目大丈夫でも味が偏ってたりする。


まあ、人と作ったり人の料理を作る時はそんなことにはならないんだけど。


「そろそろ出来上がるからテーブルに座ってて。」

「あ、うん。」


風凪に促され席につく。

運ばれてきたのは、


煮大根

肉じゃが

焼き魚

味噌汁


と和食を代表する料理の数々だった。


「冷蔵庫にあるもの勝手に使っちゃったけど大丈夫?」

「大丈夫だろ。どうせ買いに行くの俺だし。」


買い出しは俺の役割だ。


「じゃあ、いただきます。」

「召し上がれ。」


はっきりいって風凪の料理は美味いとしか形容しようがないほど美味かった。


大根だって、煮崩れしてないし肉じゃがは誰でも好むような濃くも薄くもない味付け。

魚は焦げ目がいい感じの苦味で魚の塩分を和らげている感じがした。


黙々と食べ、食べ終わる頃には腹も心も満足感で一杯だった。


「ど、どうだった?」

風凪が恐る恐ると言った感じで聞いてくる。


「美味かった。」

「良かった〜。花形君、ずっと無言だったからちゃんと口に合うか気になったんだ。」


自分の料理の腕に自信がないのか。

勿体無い。

あれだけ上手ければ料理屋でもやっていけそうな気がするがな。


「ごちそうさまでした。」

「お粗末さまでした。」


「あ、片付けくらいは俺がやる。作ってもらったんだこれくらいはする。」

「ありがとう。」


皿を洗ってリビングのソファに座る。


「花形君。出された課題終わった?」

「課題?そんなのあったけ?」

「あったよ。生物のなにか生物について調べてこいってやつ。」

「あー言われてみればそんなの出てたな。」

「終わってないなら一緒にやろ?」

「いいよ。どうせ出さないし。めんどいし。」


俺の特性、面倒くさがりと無気力。

この特性を無効化するのは今のところ優しかいない。


「一緒にやろ?ね?」

「めんどくさいなーもう。」


俺の特性敗れたり。

風凪の女神のような優しい言葉で言われたら嫌とは言えない。


仕方なく出された課題をやることにした。

次からぜってーやらない。

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