第六十四話 誕プレ探し
「先輩はなんでこの空き教室を使ってるんですか?」
「授業をサボるため。」
「それなら、別にここじゃなくても良くないですか?」
「窓開けるけど絶対に喋るなよ。」
佐原が頭に?を浮かべているが俺は気にせずに窓を開けた。
「ちょっと、今授業中。」
「いいじゃん、どうせわかんないしそれより俺はお前と一緒にいた方が楽しい。」
「もう、照れるじゃん。」
俺の部屋の真下、グラウンドからも職員室からも見えないこの場所は不良のたまり場となっている。
大抵の奴は俺がこの部屋を使ってることを知ってるから場所を移したりしてるがこういう奴は俺がここにいることを知らない。
「んちゅ。はぁはぁ...あん!」
下では始まったようだ。
俺は気づかれないように窓を閉める。
「なんで、俺がこの部屋使ってるかわかったか。」
さて、いつも通り職員室に電話しましょうねー。
「喘ぎ声を聞きながら1人でするためですか。」
「真顔で間違ったことを言うんじゃない。」
「職員室に連絡するためだ。この旧校舎は外の道からは見えないし職員室からも見えない。言わば無法地帯なんだ。」
「この辺の管理をするためにこの教室を使う許可を取ってある。」
「なるほど、そういうのことでしたか。」
全く、外は寒いって言うのによくやるよホントに。
喋って乾いた喉を潤すたまに水を飲んでいるとこの変態が爆弾を投げてきた。
「先輩、私も声聞いてたらしたくなったので相手してください。」
「ぶっ!」
こいつの爆弾発言のせいで吹き出した挙句咳き込んでしまった。
「ゲホッゲホッ。お前はなに言ってんだ。」
「先輩もああいうことをしましょうというお誘いです。」
「断る。」
「気持ちいいらしいですよー。私は初めてなので痛いかもですけど。私の中で先輩のち〇ち〇がビクンビクンって脈を打って...───────自主規制」
俺にパンツを送り付けた時から思っていたがこいつ本物の変態だ。
夜中に出没する露出狂の方がまだ良心的だと思う。
「はぁはぁ。」
「少しは落ち着いたか。」
「いえ、まだ体が火照ってます。...先輩」
ポイ。
そろそろ身の危険を感じたから変態にはご帰宅願った。
廊下が騒がしいが外のカップルといい勝負じゃないか?
ドアに鍵閉めて俺は眠りにつく。
変態のせいで少ししか寝れない。
畜生、今度来たら警察にそのまま突き出そうか。
閑話休題
帰り道での話。
「花形君、そろそろ優奈ちゃんの誕生日だけどなにか考えてたりする?」
「いや、なに渡せばいいかで頭が埋まってる。」
「そっか。毎年どんな感じ?」
「俺の家に集まってパーティだな。優の家族も来るから結構賑やかになる。」
「そのパーティって私が参加しても大丈夫?」
「大丈夫だろ。賑やかな方が優もいいに決まってる。」
「じゃあ、今年は私も参加するね。」
「おう。」
風凪から言われて思い出したけどそろそろか。
毎年母さんに言われて気づくタイプだから。
んで、毎年悩むのがプレゼントだ。
そもそも、どんな年齢になろうと女子へのプレゼントは何をあげたらいいのか物凄く悩む。
去年は確か服をあげたはずだ。
流行とかさっぱりだから調べて優が好きそうなやつを真奈と探したっけ。
「正直、何をあげたらいいのかわかんないんだよな。」
「気持ちが籠っていればなんでもいいんだよ?」
「そういうのが1番悩む。」
なんでもって言ったってどうしても合う合わないはある。
極端な話だが気持ちを込めたガラクタを貰って嬉しいかと言われれば違う。
これと同じだと思うのだが…
「そこは女の子が喜びそうなものを選ぶんだよ。」
「その女子が喜びそうなものがわからないんだ。」
「去年まではどうしてたの?」
「妹に手伝って貰ってた。」
「じゃあ!今年は私が手伝うね!」
「お、おう。」
あれ?なんか一緒に出かける口実を作った気がする。
☆
という経緯があり今は例のショッピングモールに風凪と来ている。
今日は土曜日。優の誕生日は明日。
今日まで優にバレないように動くのは辛かった。
優はこういうイベントが大好きで逃したり出来なかったりするとしばらくは魂が抜けたようになってしまう。
我が幼馴染ながら面倒臭いなと思う。
「でも、誕生日を逃したら私も落ち込んじゃうと思うな。」
「誕生日なんてただ歳を取るだけだろ。祝うことでもない。」
「そんなことないよ?私たちは今年で17歳になるけど同じ年に産まれた人で17歳の誕生日を迎えられない人だっているからね。」
無意識かわざとか風凪は手首を少しさすった。
...そうだよな。
俺はその17年生きられなかった人の名前を知っている。
篠崎直人という親友の名を。
「ということなので、いっぱい祝ってあげてね。」
「程々にやる。」
それからは前来た時と同じように服やとかアクセサリー点を回った。
「優ってどんな服が似合うんだ?」
「うーん。この前勝負した時に私が選んだのは冬先取りのコーデだよ。」
「どんなのが冬のコーデなのか俺にはわからん。」
服屋には数百種類の服があるがどの上下を合わせたらコーデと言えるのか全くわからないんだ。
風凪は優しく教えてくれるがまったく頭に入ってこない。
「こんな所かな?」
「詳しいな。」
「お母さんがファッション系の仕事してるからね。」
なるほど、納得。
それからは昼を挟んで色んな店を回った。
風凪と何件目かも分からない服屋に入った時の出来事。
「うーん。」
「なにかお探しですか?」
お決まりのセリフとともに 話しかけてきたのは服屋の店員だった。
「彼女さんの服をお探しですかー?」
「いえ、そういうわけじゃ...」
「それでしたらこのチェック柄のスカートに白のトップスなんてどうでしょうか。」
店員はその場にあった服を風凪に合わせていく。
流石店員だけあってセンスは俺の何万倍もあった。
「可愛い。」
「花形君!」
ポツリと呟いたつもりだったが意外と大きかったらしい。
たしか、この列は冬先取りのセールで安くなってたはずだ。
「毎度ありがとうございます」
「ホントに良かったの?私の買っちゃって。」
「可愛いかったからいいんだよ。」
服の4着、5着買ったくらいで財布は痛まない。
「ありがとう。」
風凪の微笑みを見るだけで買ったかいがあるというもんだ。
それから数件回って見つけたのが紺のジーパンに白と黒のボーダーのTシャツ、肌色のコートという優が着るには少し大人っぽい組み合わせとなった。
「優には少し大人っぽいんじゃないか?」
「優奈ちゃんだって高校生なんだからこれくらいがちょうどいいと思うよ?」
帰りの電車の中でも不安になったがまあ風凪が言うなら似合うんだろう。
明日は優の誕生日。
これまで全然構ってやれなかったから相当ご立腹なはずだ。
このプレゼントで許してくれるといいけど…。




