表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/147

第三十九話 朝這い?

ホントにあの変態な先輩をどうにかしたいものです。

折角、先輩に思い出してもらおうと花火大会の日と実家帰省の日を合わせたのに肝心の先輩は風凪先輩とイチャイチャしている様子。


目の前では大人気ないくらいにはしゃいだ龍平先輩がいる。

あーあ。

もしかしたらあの時の男の子は花形先輩ではないのかもしれない。

けど、花形先輩のおでこにあった傷は間違いなく私を助けてくれた時の傷。

けど、本人は忘れているのか全く反応がない。


「青砥!水超冷たい!夏はやっぱり水浴びでしょ!」

「なんなら杏奈に縛って貰えばいいんじゃないか?そうすればずっと水浴びできるぞ。」

「それもう、死ねって言ってるよね!」


川に入って遊ぶ龍平先輩は気楽そうで羨ましい。

ホントに好きかどうかは分からないけど私のことを好きと言ってくれている。


私も一応は手紙で花形先輩に伝えたけど怖くてあの時のことについては書けなかった。

書けていたら今頃違う結末だったのだろうか。いや、あまり変わらなかったと思う。


相手が花形先輩だし、敵は幼馴染という圧倒的優位な倉宮先輩に一緒に寝たこともあるという風凪先輩だ。


正直言って敵に不足はない。それどころか強敵すぎる。

2人が花形先輩のことが好きなのは確実。

恋敵がこんなにも強力だと少し怖い。


「あー!気持ちよかった。」

「一生水の中で暮らせばいいのに。ほら、冬の水なんか冷たいぞ?」

「冷た過ぎて低体温症になるわ!」

「御褒美だろ?」

「青砥は決定的になにかを勘違いしている!」


私が少し考え事をしてる間に飽きたのだろうか?

龍平が先輩岸に上がって来ていた。

一旦思考を停止させて龍平先輩の周りを眺めてみる。


すると、私的に衝撃的なことがあった。


水が滴って邪魔な前髪をかきあげた時に見えたおでこの傷。

いつもは前髪で隠れている場所に出来た傷。


「龍平先輩!その傷はどうしたんですか!」

「ん?ああ、この傷?それが分からないんだよ。気づいたら出来てたんだ。」

「そうですか…。いきなりすいません。」

「いやいや、いいけどもしかして心配してくれたの?」

「そんなわけないじゃないですか。気持ち悪いですよ。」


少し困った事になった。

今まで花形先輩1人だと思っていたおでこの傷の持ち主が今回の発見で2人になってしまった。

花形先輩にも右のおでこになにかで切ったような傷痕がある。


それにしても、由々しき事態だ。

仮にこの2人に絞ってもどちらかなんて確かめようがない。

これからのことについて私は考えを巡らせた。



「どうしたんだ杏奈のやつ。」

「さあ?この傷について聞かれたよ。」

「その傷って加奈先輩と喧嘩してついたんじゃないのか?」

「いや、それなら覚えてるって。それより全然前だと思う。あんまり覚えてないけど...」


この傷がどうしたのだろうか。

肝心の杏奈は考え事をしているのか難しい顔をしている。


「加奈先輩に聞けば分かるんじゃ?」

「さあ、どうだか。人の傷を姉貴が覚えてるとは思わないな。」

「まあ、自分のことでも無頓着な人だからな。」


「さあて、そろそろ出発するぞ!」

「と、その前に龍平。乾いてる服に着替えろ。」

「あ、はい。」


ずぶ濡れの状態で車に乗るわけには行かないわな。


車でキャンプ場を後にした。

杏奈は杏奈の親が迎えに来てもう少しこっちにいるという。


車で俺達の家の前まで送って貰って店長と別れる。

またしても、優と俺だけが道路の真ん中に残される状況となった。


「青君!楽しかったね!」

「暑かったけどな。」

「それも含めてのキャンプとか花火大会でしょ!」

「涼しいに越したことはない。」

「もう!青君は楽しくなかったの?」

「そんなことはないけど…」

「じゃあ!楽しかったでいいんだよ!マイナス思考ダメ!絶対!」

「はいはい。」


帰ってきて俺は疲れてるっていうのに隣の幼馴染はまだまだ元気そうだ。


「で、次はなにか予定でもあるのか?」

「んー。今のところないかな。」

「わかった。じゃあな。」

「うん!またね!」


2人同時に真反対の方向へ歩き出す。

家の鍵を開けて振り返ると丁度優も振り返って手を振ってきた。

俺も軽く振り返して家に入った。


閑話休題


キャンプから帰ってきてしばらくが経ったある日。

夏休みももう半分が過ぎた。

母さん達はまだ帰ってきていない。


なんか、向こうで事故だか事件だかに巻き込まれて帰るのが大幅に遅れているらしい。

ということは家の中には俺1人であり睡眠の邪魔する者はいない。


ピーンポーン、ピーンポーン。


...訂正。1人だけいた。

しかし、疲れている時にあの元気さは扱いきれない。

ここは、居留守を使わせてもらおう。


しばらくドアのチャイムが続いたが諦めたのかチャイムは鳴り止んだ。

これでまた2度寝という休みならではの贅沢な時間の使い方ができる。


ガチャ。


.....ガチャ?

待て、今明らかに家のドアを開けた音がしたんだけど?侵入者は恐らく優だ。

なぜ、俺の家の鍵を持っている?

あーそういえば合鍵がどうのこうのって言ってた気がする...。


家の中に響く足音。

その足音は段々こっちに近づいてきている。


やめてくれ。俺の安寧の時間を壊さないでくれ。

近づいてくる足音は死神の足音そのものだった。


ゆっくりと俺の部屋どドアが開けられた。

いつもなら勢いよく開けられるドアが今はゆっくり開いた。


優じゃないのか?空き巣...と言ってもわざわざ人がいる所に来たりはしないだろ。

気配は俺のベットのすぐそばで止まった。

多分、こっちを見下ろしている。


ゆっくりと気配が近づいてきて俺の顔の前で止まった。

寝たフリをしているため相手が誰でどのくらい近くにいるのかまるで分からない。


「もしもーし。おきてますかー。」

耳元で発せられる元気が有り余った声。

本当は大きな声で叫びたいけどそれを我慢しているような声。

明らかに優だ。


しかし、寝たフリ続行。


「なんだ、青君寝てるんだ。もう朝の8時なのに。」

(まだ、朝の8時だろうが!そんな朝から起こすな。)


声には出せないから心の中で講義しておく。


「起きる...かな?」

「起きない。」


まあ、頬とか触られたくらいじゃ起きないよな。


「よし。たまにはいいよね。」

何をするかと思ったら俺のベットに入ってきた。

俺のベットはシングルなので高校生2人が寝るとめっちゃ狭い。


自然と体が密着する。

そして、季節は夏。


誰しもが薄着になる季節。

ベットから落ちないように抱きつかれた背中には優の胸などの感触が直接伝わってくる。

俺もタンクトップを部屋着にしてるため生地が薄い。

優も半袖にショートパンツというラフな格好。


「こっち向かないかな。」

(向かねぇよ!向いたら胸とか直当たりで色々まずいから!)


絵面だけ見れば男がいい思いをしているように見えるが実際は焦る。ムスコの管理とか心臓の鼓動とかバレる要素は大いにある。

背中を向けているからすぐにはバレないがバレるのは時間の問題だ。


外に連れ出されないのはいいがこれはこれで対処に困る。


この後、しばらく抱きつかれたままとなり。

優が動く度に胸も動いて柔らかいものがふにゅふにゅと形を変えたから大変だった。(色々)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ