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第二十七話 海...その2

俺達が見たのはそれぞれの色の水着を着た杏奈達の姿だった。


白を基調としたビキニの優。

青を基調といたビキニの風凪。

桃を基調としたセパレートの杏奈。

橙を基調としたビキニの加奈先輩。

黒を基調としたビキニの鈴姉。

緑を基調としたビキニの真奈。


「うおぉぉぉぉ!ビーナス!海の女神はここにいた!」

「騒ぐなうるさい。」


龍平の気持ちはわかるが叫ぶのは辞めて差し上げろ。

風凪はパッと見わかるほど顔が赤いし顔の赤さで言うなら鈴姉だって負けてない。


普段、自分を出さない人達からすればビキニは恥ずかしいものなんだろう。


「でもでも、可愛すぎだろ!」

「分かったから。俺もそう思ったから。」


単細胞ってのはこういう時羨ましい。

周りの人の目線もはばからず騒ぎまくる。

周りも他の客で賑わってるからそんなに目立ちはしないが近くを通った客なんかは何事といった顔でこっち向いたし。


「青君、どうかな?」

「ちょっと、優奈ちゃんひっぱらないで。」

「えーなんで?せっかく青君に見せるために一生懸命選んだのに見せないの?」

「で、でも、は、恥ずかしいし。」

「大丈夫、私はお風呂場見たことあるから。」


なにが大丈夫なのか疑問だが、サラッと爆弾をこっちに投げかけるな。


「それって、ほんと?花形君。」

「いや、よく優が言った内容を考えろ。俺は被害者だ。」


優は『見たことがある』といった『見られたことがある』とは言ってない。



「で、私達の水着の感想は?」

「2人とも可愛いよ。」

「えーそれだけ?」


語彙力皆無の俺にそんなラノベの主人公みたいな感想を求めるな。

俺にはこれが限界だ。


「2人で選んだかいがあったね。自分じゃ似合ってるのかわからないから。」

「そうだね。ありがとう。。優奈ちゃん。」

「よし、泳ご!」

「あまり沖の方にはいくなよ。」


「はーい」


そういって優は風凪を連れて波打ち際まで走って行った。

このクソ暑いのに元気だこと。


「先輩はやっぱり大きいほうが好きナンデスカ?」


後ろから聞こえた呪詛みたいな声。

びっくりして振り返ると目を大きく開いて少し首を傾けた杏奈がゾンビみたいになっていた。


「大きくないと女ではありませんか?」

「そんなことないだろ。一部のマニアはないほうがいいというやつもいる。」


俺の隣で鼻血だしてる龍平(へんたい)がその一人だろ。


「ひふれいは。おれはほんなことはいぞ。」

訳:失礼な。俺はそんなことないぞ。


「鼻血出しながら言われても説得力皆無だ。」

「龍平先輩、キモイです。」


先輩に向かって容赦ない罵声。

流石策士

調教に抜け目がない。


「でも、龍平にも少しは見せてやれよ。」

「なんでこんな変態に見せなきゃいけないんですか!」

「この前絡まれた時に助けてもらっただろ。それのお返しを今しとけ。後で変な事で返せと言われないように。」

「...先輩がそこまでいうなら。」


「少しだけですよ。」

「今なら失血死できる気がする。」


勝手に死んどけ。

ああ、あと失血死するなら水場でやってくれ間違っても海に流さないように。

人様の迷惑にあることはしてはいけない。


「では先輩。私も行ってきます。」

「行ってこい。」


杏奈は優達の元に走っていった。


「あの誘導はナイスだったぞ青砥。」

「別に、あれは杏奈自身の決断だ。」

「?どゆこと?」

「俺があんな言い方をしたのはわざと綻びを作るため。杏奈なら今の問答は躱せたはずだ。」

「???俺にもわかるように説明してくれ。」


「だから、杏奈はお前に水着を見せたかったけど罵声を浴びせた直後だから気まずかった。だから、俺の案に乗ってお前に見せたんだ。自分のプライドを傷つけることなく水着を見せた。」

「なるほど、計算高いな。」

「杏奈の様子を見ればわかる。」


まあ、もっとも杏奈の水着に見惚れて鼻血の処理に気を取られてた奴にはわからないと思うが。

女の子のちょっとした言動に気づけないとは乙女心が分かってないな。


「で、加奈先輩達はなにしてるんです?」

「見てわからないか?」

「分からないから聞いてるんです。」

「日焼けだよ。こうして、水着の紐をほどいて線がでないよに焼くんだ。」

「姉貴はわかるけど、生徒会長までやるなんて珍しいですね。」


「加奈にやれって言われたんのよ。その...恥ずかしいからそんなに見つめないでもらえる?」


まあ、今仰向けになったら胸とか丸見えだからいくらうつ伏せになってるとは言え恥ずかしいものなのか。


「で、夏のイベントといえば年上女性へのオイル塗りでしょ。」

「そんなクソイベは捨ててしまえ。」

「てなわけでこれ、塗ってね。」


そう言って渡されたのはサンオイルと書かれたボトル。


「...まさかこれを塗れと?」

「背中は自分じゃ届かないんだ。」

「お互いに塗れ合えばいいじゃないですか。」

「そこは、ほら、普段一生懸命働いてる後輩へのサービスだ。」

「適当な理由を今作らないでください。」

「とにかく塗れ。さもないと叫ぶぞ。」


うわ、この人自分が女なことをいいことに俺達をハメる気だ。

1番達が悪い。


「んじゃ、龍平は鈴姉を...」

「おーい、青砥たち。誰でもいいからクーラーボックス運ぶの手伝ってくれ。」


かなり遠くから聞こえる店長の声。


「龍平。お前が行け。」

「はぁ?なんで俺なんだよ青砥が行けばいいじゃん。」

「お前、実の弟に身体中触られることがどれだけ気持ち悪いか分かるか?」


まあ、気持ちよくはないわな。


「てなわけで、行ってこい。早くしないと叫ぶぞ。」

「あー!もう!行けばいいんだろ!」


さすがの変態もポリスメンのお世話にはなりたくないようだ。


「さて、塗って貰おうか。」

「ただし、変なことしたら即刻警備員に突き出すからそのつもりで。」


鈴姉が言うとほんとにやりそうだがら怖い。

それに、そんなことが出来る程の勇気があればそのへんでナンパでもしてるって。


俺は手にサンオイルを垂らして加奈先輩に塗っていく。


「おー上手いな。そうやって数々の女を落として来たんだろう?」

「サンオイルで落ちる女もどうかと思いますが?」

「テクニシャンだなって意味だ。」

「さいで。」


これ以上突っ込むと墓穴を掘りそうになるからこれ以上は辞めておこう。


加奈先輩を塗り終わって鈴姉の番が来た。


「は、初めてだから優しくね。」

「鈴音顔赤くなってる〜。」

「からかわないで!」


「ひゃん!」

「ああ、ごめん。」

「いい。少しびっくりしただけだから。」


何とも言い難い空気の中俺は余計なことを考えずに塗っていく。


「終わった。」

「ありがとう。」


「初夜迎えたカップルかよ。」


加奈先輩のツッコミを流して俺はその場を急ぎめに立ち去った。


去年の夏までは話すことすらなかった鈴姉とこうして、喋ってましてや身体に触れたりしている。


まだ、完全にゆるして貰えたわけじゃないけど着実に関係は良好になって行ってると俺は思っている。


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