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第十五話 嫌い?

「鈴音は嫌がると思うよ。」

「青砥が関係してる?」

「弟以外で身近な男子は青砥しかいない。」


私にとっても青砥は身近と言えば身近だ。

中学から一緒だし直人がいた時は家に泊まったこともあった。

けど...。


「あれが一番使いやすいと私は思うよ。」

「下手な男子に声かけて変な気もたれてしつこく付きまとわれるよりは。」

「その点青砥はそこんとこ無関心だし勘違いはしないよ。相手が鈴音なら尚更。」


確かにそうかもしれない。

青砥なら人が嫌がることはしないってことも私のことを嫌っていることも中学の時から変わっていない。


「まあ、体育祭が終わってからでもいいんじゃない?なんなら夏休みに適当な理由つけて連れ出して二人っきりにすることも可能だけど?」

「会話が続く気がしない。」

「ま、ゆっくり考えな。」


そういうと加奈は帰ってしまった。



今日はバイトがある日。

学校で疲れた体を引きずってバイト先に向かう。


「あ、青丁度良かった。」

「あれ、加奈先輩じゃないですかどうしたんですか?バイトは俺と杏奈と龍平だけだったはずですが。」

「ちょっと用事があって」


「青は鈴音のことは嫌い?」

「なんですかいきなり。」

「鈴音はあんな性格だからすこし気になったんだ。」

「俺はそこまでですけど会長が嫌ってると思いますよ。」


加奈先輩は溜息をつくと「そっか、分かった。」と言って帰っていった。

最近上級生二人の様子がおかしい。


ま、俺には関係なさそうだしいっか。



その後のバイトを簡潔に話すと龍平が暴走して大変だった。ということだ。


龍平は杏奈のことが好きってとはここで働いている人なら全員知っていること。

すると、小悪魔杏奈が降臨した。


「龍平せんぱーい。あそこのお客さん怖いので行ってきてください。」

「いや、おれも怖いんだけど...」


「先輩」(上目づかい・涙目・小動物のような目)


この3コンボに龍平は


「よっし!いってくる!」


とやる気満々で向かっていった。


「男って単純ですね。」

「悪魔かお前は。」


まあ、ホールにはこの二人しかいないか仕方ない...のか?

俺は裏でキッチンの仕事。


主に皿洗いの仕事。


まあ、そのあとまかないを作ってもらって食べてまた働いた。


「「「お疲れさまでした」」」

帰る時間になったから杏奈を送っていくことに。


「龍平お前家反対だろ。」

「送り狼が出たら大変だからな。俺もついてく。」


俺よりお前の方が狼だろ。


「先輩。最近生徒会長と加奈先輩の様子変じゃありません?」

「確かに変だけど俺には関係なさそうだし。」

「私はそうは思いませんけど。」

「んじゃ、なんだっていうんだ。」


「私が思うに加奈先輩は先輩と生徒会長をくっつけようとしているのだと推測します。」

「その根拠は?」

「先輩は生徒会長を助けたんですよね?そこで会長が先輩のこと好きになってしまった。」

「けど、会長にはもう付き合っている人がいてそれで、揺れているときに加奈先輩がうごているとか。」


なんだ、そのラブコメ展開は。

俺にそんなラブコメ展開を期待してもできないぞ?

そういうのは主人公気質のある奴に頼んでくれ。


「そういえば、姉貴が言ってたけど青砥と生徒会長ってどういう関係なんだ?」

「中学からの腐れ縁。」


それ以外に説明のしようがない。

切っても切れない縁だ。


「腐れ縁って...体の関係ですか?」

「違う。」


俺は即答した。

杏奈達は見てないから分からないだろうがあの空気を感じてそんなことが言えたなら相当な無神経と言えよう。


「杏奈ちゃん、発想はいいけど青砥にそんな度胸はないな。」

「チキンで悪かったな。」


龍平は「怒んなよー。」と平常運転。

杏奈はそれを見て笑う。


高校二年生になって変わったことがもう一つ増えたんだった。


こうして、龍平達と馬鹿やりながら帰ることだ。


次の日。


実行委員会の集まり。


「皆も知ってると思うが会長が過労で倒れたため私、鈴木加奈が委員長代理を務めさせていただく。」

「異議などある奴は名乗り出て。」


生徒会室はシーンとなった。


「異議がないようなら私が指揮ろう。」


今日から生徒会長代理として加奈先輩が来ている。

生徒会長が倒れたからその補佐として来てたはずなんだけど...。

まあ、さっきの沈黙はここのいる全員、加奈先輩の暴走を止めることはできない。というのを代弁しているとでも言えばいいか?


「青砥は涼音と行動して。」

「え、加奈先輩が一緒にいればいいんじゃ?」

「言っただろ、私は涼音の代理だと。涼音の仕事はまだまだあるんだ。」

「だから、私がやるって言ったのに加奈は人の言うこと聞かないんだから。」


加奈先輩の猪突猛進ぷりは生徒会長でも止められないらしい。

どんだけ猪なんだよ。


「そういうわけで、お二人さんくれぐれも言い合いとか喧嘩をしないように」

「しないわよ、子供じゃないんだから。」


加奈先輩はクスリと笑うと生徒会室から出ていった。


生徒会室が沈黙に包まれる。


確かにこうしていれば会長が倒れはしないだろうが態々一緒にいる必要はあるのかという疑問が出てくる。


会長は俺より眠りが深かっただけで外傷はない。


なら、一緒にいる必要はないように思える。

まあ、加奈先輩に逆らうと後が怖いから従うけど。


俺は渡された資料を分別していく。


今年の競技で使うもの、それに関係するもの、全く関係ないもの。

この3つに分けるように加奈先輩から言われている。


会長は...読書しているように見えるが妙にそわそわしてる。

会長の性格上、皆が作業しているのに自分は休んでいいものか悩んでるってところだろう。


「会長、手伝ってもらえないですか。」

「え、ええ手伝うわ。」


会長はすこし戸惑いながらも俺と同じ作業をしてくれた。


二人で黙々と資料を分別していく。

会長の手つきは慣れたもので俺の数倍のスピードで捌いていく。


ふと、会長の手が止まった。


「ねぇ。」

「はい。」

「貴方は私のこと嫌い?」

「いきなりなんですか。」

「いえ、加奈から言われたの『涼音はもう少し素直になった方がいい』って」

「そうですか。」


加奈先輩の行動の理由がわかった。

加奈先輩は俺と会長の距離感を確かめたかったんだと思う。


加奈先輩は俺の過去を知っている。

だから、気になっているんだろう....と、考えて置こう。


あの人なら他の理由があっても不思議じゃない。

というか絶対に碌でもない理由があると思う。

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