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第十二話 イベント

無名ラブレターの犯人をが発覚した次の日。

いつもの登校時間、前では杏奈と優が楽しそうに話している。


犯行がばれた杏奈だが理由が理由だし悪気がなかったとして不問となった。



杏奈が言うには俺が立たされている状況を教えるためと言っていた。


意味が分からない。

俺が立たされている状況ってなんだ。


俺が高校二年生になって変わったことなんて、風凪と話すようになったくらい。

後は、去年と変わらない。


「よっ。青砥。」

「なんだ、龍平か。」


ダラダラと歩いていた俺の背中を叩いたのはバイト仲間であり同じクラスの鈴木龍平だった。


「なんだよ、冷てーな。」

「ウザイ」

「美少女2人もはべらせて結構なご身分で。」

「別に、仲良くするのはいいことだろ。」


「倉宮さんでも羨ましいのに風凪さんもとなるとやっぱりズルイよな。」

「風凪って人気なのか?」

「人気が出てきたのは最近だ。お前と一緒にいるようになって可愛くなったて有名だぜ?」

「人って変わるの早いんだな。」

「お前それマジで言ってる?」

「大マジ。」

「まあ、それが青砥か。」


龍平まで変な納得をする。

俺が恋愛に鈍いって言いたいのか?

そんなことない.............と思う。

恋愛なんてしたことないから知らん。


龍平とダラダラ話しているうちに学校に着いた。

てか、龍平の目的は杏奈だろ。

さっさと話しに行けばいいと言ったところ、

「なんか怖くなった」

と言っていた。


要するに、チキった。


俺はと言うと午前は普通に授業に出た、体育の授業があったから。


風凪とか杏奈のことで忘れてたけど体育祭が近い、体育祭が終われば中間テストまでもう時間はない。


ま、俺は勉強しないから中間テストは関係ないけど。

その分、体育祭を出ることになっている。


普段サボっている見返りがこれだ。

体育祭実行委員の仕事に就くこと。


これが俺に課せられた進級、卒業の条件であり、1つの関門と言えた。


これらの仕事が不十分と判断された場合、俺は退学もしくは留年となってしまう。

俺だけなら大歓迎だが、優まで被害に合うとなると真面目にやるしか無くなる。


競技には1種目は出なきゃダメだし、委員会の仕事はあるしで体育祭はなんも面白いことがない。


「青砥。お前、今年も体育祭実行委員やるのか?」

「ああ、そうなるだろ。」

「普段から真面目に授業出てればいいのに出ててもどうせ寝てるんだろうし。」

「机で寝るよりソファーで寝っ転がって寝た方がいい。」

「さいで。」


体育祭の競技である50m走。

俺と龍平は隣のレーン。

こいつは毎年本気で走る。

俺は毎年ダラダラ走る。


だが今回はそうもいきそうにない。

校長がグラウンド近くのベンチまで見に来ている。


「青砥!真面目に走らなかったら単位やらんぞ!」


後から叔母の声が聞こえる。


「勝負しようぜ、勝った方がジュース奢りな。」

「どうぞご勝手に。」


クラウチングスタートからのホイッスル。


優に迷惑はかけたくはないから本気で走った。


結果、

「花形青砥、6.23、鈴木龍平、7.01」


龍平に勝った。


「なんだ今の!お前そんなに速いのになんで隠してた!コノヤロー!」

「俺が本気で走ってるとこ見たことあるか?」

「...いやねぇ。」

「能ある鷹は爪を隠すのだよ、龍平君。」

「今すぐ鷹につつかれて死ね。」


龍平からそんな暴言を受けたが気にしない。


「青君、青君!凄く速かったよ!」

「花形君、運動神経いいんだね。」

「1年の頃は運動部から勧誘が煩かった。」


運動なんてここ数年まともにしてない。

せいぜい、家から学校まで歩く程度。


体育の授業が終わり龍平から奢って貰ったジュースを飲みながら廊下で待つ。

この高校、中学と一緒で女子が教室、男子が選択授業の教室で着替えることになっている。


その為、毎回制汗剤の匂いとかが混ざって臭いらしい。


俺は疲れたからその後はサボりで旧校舎の空き教室にいるから知らない。

体育で疲れたから少しだけ寝た。


俺が起きると杏奈がその辺の椅子を持ってきて本を読んでいた。


「あ、起きました?先輩気持ちよさそうに寝てましたよ。」

「運動した後だからな疲れたんだろ。」


寝ぼけ混じりの頭で適当に返す。


「ん?なんで杏奈がここに?」

「先輩のクラスの人に聞いたんですよ。そしたら空き教室だろって教えてくれました。」

「あーそう。」


後輩が静かに本を読む仕草は読書好きの大人しい後輩なんだが。

あの、無名ラブレターの犯人だと知った今は、なに企んでいるのかと考えてしまう。


「杏奈。」

「はい。」

「あの、俺の立場を分からせるってやつ。あれどういう意味だ。」

「そのままの意味です。」

「それが分からないんだろ。」

「それを教えてしまったら先輩は分かった気になって中身が空っぽのままになってしまいます。それはいけません。ですから、自分で考えてください。」


冷たい後輩だ。

分からないから聞いてるのに。

まあ、これも情報を集めて気分で考えろってことなんだろうけどそれが厳しいんだ。


「あ、倉宮先輩が探してましたよ。体育祭の種目が決まったから伝えたいそうです。」

「分かった。」


杏奈には聞きたいことが山ほどあるが種目を聞かないといけないから俺は空き教室を後にした。


教室に行くと優と風凪がメモになんか書き込んでいた。


「あ、青君。これ、青君がでる種目。」

「俺、実行委員の仕事あるからそんなには出られないぞ。」


そういうと優は微笑んで、

「大丈夫、仕事とかぶらない種目にしたから。」


見せられたメモを見て俺は愕然とした。

メモに書かれた3つの競技名。


・50メートル走

・障害物競走

・学年選抜リレー


この3つが書かれてた。


「これ、全部出ろと?」

「うん!」


優の満面の笑みを見れるなら出てもいかなと一瞬考えたがこれはハードすぎる。

無気力で運動もまともにしてない俺からすればハードなんだ。


「いやいや、これはキツイって。」

「空き教室で寝てた青君が悪いんだよ。呼びにいったのに」

「でも、これって、ハード過ぎね?」

「青君が一番クラスで運動神経いいんだから活躍してもらわないと。」


まあ、俺がここで駄々をこねてもクラス全体の決定だから無駄か。


「大丈夫だよ。花形君。ちゃんと応援するから。」

「応援するなら変わってくれ。」


これが俺一番の願いだった。


特別、運動が苦手なわけじゃないがそれでも6月の晴れ梅雨の炎天下で走ったりするのはキツイ。

実行委員会の仕事もあるし、疲れそう。


体育祭と言えば、めんどくさいことがまだあった。

さっきも言ったように俺は体育祭の実行委員にさせられた。


その実行委員長は言わずもがなの人だ。


生徒会長、篠崎鈴音。

体育祭と言えば学校のイベントでも大きな部類に入る。

となると、生徒会が出てくるもは必然だ。


風凪の件や杏奈の件が終わったばかりだというのに今度は学校側のイベントで動かなきゃいけない。

ホント、嫌になる。

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