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95 アルタ街防衛戦 三日目

≪フレンド登録者から一件のメッセージが届いています≫


朝です。

妙に身体が重いので目を開けてみれば胸の上にうつ伏せにアリスが寝てました。

ワッツ!?と叫ぶのを堪えつつも迂闊に動かせない身体をどうするかと迷っていると外からアリサの声で「アリスー、タテヤは起きた?」と言いつつこちらに近づいてくる足音。

あ、これはマズいですよ?


「起きた!俺は起きたから助けてくれアリサ!」

「ハァ?助けるって一体なに、が、よ……」


開けられるテントの入り口。

上にアリスが乗ったままのこちらを見下ろすアリサの顔が段々と能面の様な顔に変わって行き表示枠を開き何かを打ち込みだした。


「あの、アリサ、さん?一体何をしていらっしゃるのでしょうか…」

「ん?ああ、ヨミにアンタはロリコンだったって書いてるのよ」

「待て、社会的に殺そうとするな、と言うか助けてくれ」

「まあ冗談なんだけど。それにしてもアリスが寝るとは思わなかったわね」

「冗談だったか……? それに何で二人が俺のテントの場所知ってたんだ?」

「昨日もアンタ戦ったでしょ?それで位置バレしてたのよ」

「なるほど」

「結構な事言ったのに反応軽いわね…」


その後もアリスが起きないままアリサから理由についての説明を受ける。助けてくれません?

二日程夜に戦った結果「魔王は暗殺で倒されてはいけない!」と誰かが言い出して俺のテントの周囲に包囲網と言うか監視網と言うか保護網がプレイヤーによって作り出されたらしい。

位置情報等も掲示板や口コミを通して宵闇の森のメンバーに届けられ、その後朝になってヨミに言われて北側付近に居たこの二人が来たそうだ。


「それで、なんでアリサは助けてくれないんだ?」

「役得でしょ?良いんじゃないの?」

「迂闊に触るとアカウント停止食らいそうで怖いんですが」

「ああ、そう言う事。でもねえ……」

「でも?」

「アリス、結構寝起き悪くてね。抱き着き癖あるのよ」

「尚更助けてくれませんかねえ!?」

「いやよ、面倒だもの」

「い、嫌だー!まだ消されたくナーイ!」

「それに寝たふりだし起こす必要無いのよね」

「え?」

「……アリサ、バラすの、早い」


少し不満そうに言いながら起き上がるアリスを俺は呆けた表情で見つめる。

そっかー、寝たふりかー。寝てなかったのかー。……心臓に悪いわ。

外に出て言い合いを始める二人を眺めながら今日の予定を考える。


「今日は私達が付き添っていろんな人に会いに行くのよ?」

「私とアリサは逃げない為の監視役」

「あー、そう言えば昨日頼んだっけ……」


逃げない為の監視ってそこまで信じてもらえてませんか。

何やったっけなあ……。やり過ぎて覚えてないや。

確信犯でしたね。


その後リストを渡されていたアリサの先導に従い街の各所に向かう。

それにしても本当にスケジュール作ってくれるとは思わなかったなあ。

後でお礼言っとかないと。

メッセージはヨミからで『作ったわよ。後で愚痴言わせなさい』

と来ていたので回り終わったら会いに行こうと思う。


ただ朝から夜まで予定びっしりなんですが……。あの、あの……。

逃げたくなりました。



とある斥候部隊の会話

偵察01:『定時報告、言う内容纏めてくれ。お、魔王様が起きたらしい』

偵察02:『北側のモンスターがじわじわ増えてる。えらく遅かったじゃないか』

偵察03:『北から流れて来てるな。しかも美少女の添い寝付きだったらしいぞ』

偵察04:『東側にも北から流れて来たのが多くなって来てる。マジかよ魔王様許せねえ』

偵察05:『西側上部にも北側から流れて来てるな。垢BANされたくないって叫んでたそうだけどな』

偵察06:『南は動き無し。あー……、下手に触って条件満たしたら発動するって言われてる奴か』

偵察07:『西の鉱山内から出て来てるのは少ないな。おっと、交戦入るぞ。どうなんの?』

偵察08:『これは北側が主戦場っぽい?AIさん達が出て来て延々説教されるらしい。まあ噂だけどな』

偵察09:『それと平均的にモンスターのレベルが高い。気を付けるよう言ってくれ。幸せな説教だな』

偵察01:『北西から北東のエリアが主戦場になりそうって感じだな。一応ログも送っとくぞ』

偵察04:『今日も一日偵察ガンバルゾー』

偵察06:『オー』

偵察09:『で、実際は?』

偵察08:『怖い系のお兄さん達にニコニコしながら何処かに連れて行かれるみたいだな』

偵察02:『ゲーム内の方で?』

偵察08:『両方』

他全員:『えっ……』

偵察08:『噂だけどな』



一日歩き回ってまたへとへとになった所で今日の寝る所を確保しに行く。

大半の場所が埋まっていたのだが奇跡的に相部屋だが空き部屋を確保できた。

アリサに教えてもらったのだが何処か含んだ笑みをしていたのはなんだったのだろうか?

まあ良い、今日は誰かに挑まれる事も無いだろう。

相部屋の人も気が良い人だと良いなあ。

そう思いつつ部屋の扉を開ける。


「相部屋になりましたタテヤです!よろしくおねがい、しま……す?」

「ヨミです。……え?」


お互い目が合った所で固まる事数秒。

先に言葉を出せる様になったのは俺だった。


「何でヨミがここに?」

「それを言うならそっちこそなんでピンポイントにここなのよ……」

「アリサに教えて貰ったんだが」

「……まあ確かに男どもを除いた面々には言ったけどまさか教えるなんて思ってないわよ」

「今から他の宿探すのもなあ……。また街の外で寝れば良いか」

「でも行動把握しやすいメリットがあるのよね」

「俺は監視されるような奴なのか……?」

「アンタ、昨日私にやらせた事忘れて無いわよね?」

「おお、そうだそうだ。スケジュール管理ありがとな、助かった」

「元はアレの数十倍の問い合わせ件数だったのよ?」

「……ホント、助かりました、ヨミさん」

「ん、よろしい」


にこやかに笑うヨミに軽く惚れそうになりつつも向かいのベッドを差されたのでそちらに座る。


「まあ愚痴って言っても大した事じゃ無いんだけどね」

「でも色々頼んでるのは確かだしなあ」

「まあ、うん、昨日部屋にこもってる間に魔王軍参謀とか言う役職貰ったんだけどね」

「なんだそれ超出世してるな」

「……暇だったから掲示板開きっぱなしで色々やってたらシュンセツさんと話す事になったの」

「おお、情報担当のあの人か。それで?」

「それで、私なりに情報を纏めてみたらありがたがられちゃって……」

「それで参謀?」

「後はまあアンタのストッパー役を期待されてるみたい」

「俺そこまで自由人かなあ?」

「……サービス開始から今までの事を思い出しなさいよ」

「……まだ二週間なんだよなあ」

「毎日が濃いわよね、最近」

「イベント中も含めても濃いなあ、最近」


お互い目を遠くに飛ばしながら振り返る。

数分後に気を取り直して会話再開。


「明日からは打って出る事になりそうよ」

「分布出たのか?」

「北が基本になりそう。ただ西と東にも流れてるみたいでそっちは遊撃に任せる事になるわね」

「俺は?」

「走り回ってくれるかしら?」

「はいよ。まあ何処かで単独行動するかも知れん」

「何か心配事でも?」

「東のイノシシがやけに多かった」

「本当?」

「うん」

「偵察が必要かしら?」

「押されて来ただけかも知れんからなあ。北東に配属してくれ」

「わかったわ。……それにしても相部屋なんて、緊張するわね」

「まあな。ただゲーム内で助かった」

「襲われないから?」

「俺が!?」

「ええ。リアルだと食われそうじゃない」

「ええ……。確かに食われそうだけどさ。ヨミはどうなんだ?」

「私? さてどっちでしょう」

「怖いな…」

「冗談よ。それにしてもアンタ、色んな人に会い過ぎ!」

「す、すまん……」


その後はチャットで話せなかった分を埋めるかの如く話しまくった。

ああ、友人って、良いよなあ……。

リアルがぼっちな分殊更そう思う。

三日目終了(オイ

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