表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/162

82 面接と構造と職人ズ

13日目。


≪運営からの告知があります≫

≪フレンド登録者から一件メッセージが届いています≫


自室にログインしてみれば窓の外はあいにくの雨だった。

ゲーム世界でも降るんだな……。

窓を見れば水滴がつつ、と垂れて行くのが見えるがこれはどんな技術なのだろうか。

今日は外に出ないでいようかと真面目に悩む。


通知欄を見れば『イベント開催についてのお知らせ』とフレンドはヨミからで『今日は面接志願者が多いんだけどどうしようかしら?』と来ていた。

開き、内容を読む。


≪イベント参加者は明日の昼11:30~12:00の間に噴水広場にお集まり下さい≫

今回はイベント用サーバー内にての催しとなります

期間は特別サーバー内にて一週間、現実世界では6時間を予定しております≫


イベントの方はこの3文。

一週間あるのか……。何を準備すれば良いんだろうな。

まあ気楽に楽しまないと損だな。

明日起きられるかなあ……?

まあ12時間近く反転してるから夜なんですけどね。


≪昨日の事とミノリが入れたって言うのもあって絡まれてた女子達とか女性とか後は美形少年系も入りたいって来てるのよ

私としてはあんまり増やしてもって思うんだけどどうする?

アンタの好きにしろって言うのは重いからサブマスとしての意見を言うわね。

私だったりアンタだったり他のメンバーが気に入るか友人なら入れても良いと思う。

身内ギルドみたいな物だしこっちの方が気楽なんじゃない?

なるべく早く返信お願いね。


追伸 恋愛に憧れてるタイプの子が混じっててそろそろ辛い≫


……。

今日は、下に行かないようにしよう。

とりあえず「人が増えても覚えられない、人は少ない方が話しやすいし動きやすい。それに元々ヨミが立てたんだから俺の事は気にするな」とゲーム世界で通用するかわからない理由を付けて返信する。

即座に≪それじゃなんとかするわね≫との返信が来た後に窓の下から何か木が壊れる様な音がした。


ああ、なんとかしたんですね。

修理費は幾らだろうか。

俺の支払いだったらキツイなあ。


少しぐったりしながら机に向かう。

少し暗かったので光魔法の「ライト」を使い部屋を明るくしてから書類を取り出し読み進めて行く。

ふと目を離せば窓枠に光る木彫り熊。

お前はいつも神々しいなあ……。



≪光魔法のスキルレベルが上がりました≫

≪言語学のスキルレベルが上がりました≫


しばし経った所で通知音が鳴る。

それを区切りとして一度休憩にする。


今読んだ物は動力関連の物だった。

色々纏まっていないが纏めるとこんな感じだろうか。


ゴーレムは制御核、魔力充填もしくは魔石、そしてボディの三つで構成されており召喚術士などは制御核の代わりに魔力陣を用いてコントロールをしている。

基本的には自己判断などはせず命令者に従う。


思い浮かべるのは二メートル程の土くれで出来た巨人と言った感じだろうか。

こちらを良く使うのは召喚術士で金属等を用いた上で魔力を充填しないと動かないのが一般的なゴーレムと書いてあった。

魔石を用いるのは召喚術士であり、そこに魔方陣を刻み魔力を注ぐ事でそれに見合ったゴーレムを作り出せるらしい。


現在の自動人形は基本的にはゴーレムと同じだがこちらにはあまりパワーも無く制御核にある程度人間としての判断基準が書き込まれている為自己判断での行動が可能。

ゴーレムとは違い動力伝達手段にケーブルなどが使われていて細かな作業も可能。

基本的には従者や侍従としての役割が多いが要人の警護等も可能である。

基本的には人間サイズである。


こちらはミツさん達の動きが鈍い版、判断が遅い版、稼働時間が短い版の様だ。

戦闘用のもいるらしくその場合は人形特有の仕込み等もされているのだが表向きには違法らしい。

……腕に仕込んじゃ、イカンのか?

ダメなんでしょうね。


そして古代文明産の自動人形。

まず動力関連が第一制御核、第二制御核、魔素収集器、魔素集積器、魔力変換器、エネルギー出力炉。

そして伝達手段が伝導ケーブル、伝動繊維、擬似筋肉、変動感知式擬似感覚器官などなど。

目には魔石に緻密な式が書かれており一種の魔眼と化しているらしい。


これを最初読んだ時の俺の感想は一言。

何コレ?


まず制御核からして二つある。

一つ目は頭に付けられた第一制御核。

これは行動等の思考や判断を主に行う物であり、これが命令を出す。

第二制御核。

人で例えるなら無意識の部分だろうか。

第一制御核が望む結果になるように演算をして各部位に命令を送っている。

魔素収集器。

大気中に漂っている魔素を集める部位であり集めた魔素は次の魔素集積器と魔力変換器に送られる。

魔素集積器は貯蓄倉庫と言った所だろう。

変換前の魔素を圧縮保存している部位であり必要時にはここから魔力変換器に送られる。

魔力変換器。

そのままでは役に立たない魔素に方向性を持たせ魔力に置き換える。

この時点の魔力がプレイヤーで言うMPらしい。

エネルギーとして消費可能になった物がエネルギー出力炉に送られ、動力になる。

動力関連だけでもこうなのだがここからも凄かった。


伝動ケーブル。

これはエネルギーを運ぶ物である。

人間の神経程ではないがそれでも人と同じ動きが出来る様に配置されていた。

伝動繊維。

これが動力の根元の部分で伝動ケーブルの周囲に針のように飛び出している。

伝動繊維の周囲には擬似筋肉が付けられており伝動繊維からもたらされた波長もしくはエネルギー量によって収縮や伸長が起こる。

この時同時に伝動ケーブルと後述の変動感知式擬似感覚器官も変化するのだがこれらには魔法的素材が用いられており同様に伸縮を可能にしている。

変動感知式擬似感覚器官。

これは結構あやふやだった。

人間の様に神経が通っている訳では無いのだが皮膚にあたる面に置いて触った場合や温度の変化を知る事が出来るらしい。

触覚に関しては皮膚に触った場合の反発具合や皮膚自体の変動から予測し物を掴む事が出来ているらしい。

他にも自動人形同士で経験を共有出来るらしいのだが現在は接続と呼ばれている物が切れているらしい。などなど。


これを読んでいてわかった事は人形系の構造。

それと王立研究所にも自動人形が居ると言う事。

そして普通に動いてるミツさんのオーバースペック加減が凄いと言う事。

あの人何千年メンテナンスしてないんだろうか……。

自動人形が痩せ我慢をするのかは知らないがなるべく早めに直したいと思う。

ただ少し疲れたので休憩がてら他の階に行く事にする。


部屋を出て応接間、階段、二階と降りて来て作業場を覗く。

なんとなく扉に隙間を開けて俺が見た物は延々と石を削り続けるアデルリットの姿とひたすらインゴットを作り続けるカスミの姿だった。

二人とも作業中は無言になるらしいが時折ぽつぽつと話している。

……入りにくいな、コレ。


そうして覗いていると突然内側から扉が開けられる。

いきなりの事に仰天して思わずしりもちをついた所で見上げればアリサの顔。


「なんで家主がコソコソしてるのよ……」

「いや、なんか気楽に入りにくくてなあ…」

「人が集中してる所は入りにくいのはわかるわよ?でも覗きはダメ」

「はい……」


そこでこちらに気付いたのかアデルリットとカスミがこちらに声を飛ばして来る。


「その声はタテヤだね。使わせてもらってるよ」

「おお魔王よ~、腰を抜かしてしまうとは情けない!」


二人とも作業を止めずにそう言ってくる。

目を向けて来ないのは流石だと思った。


「まあゆっくり使ってくれ。それでアリサはなんでここに?」

「ああ、下が半壊したのよ」

「え」

「具体的には作業場は無事でカウンターから入り口側まで大体瓦礫の山ね」

「なんばしてくれやがってますかあのサブマスは」

「喧嘩売ってきたのも買わせて来たのも向こうなんだけど」

「それなら良い……。いや良くねえ!」

「まあ勝ったんだし支払いは向こう持ちだから。ごめんなさいね」

「おう……」


しばらく、一階には降りれなさそうです。

辛い。

一階、半壊(物理

大体は有名ギルドに入ろうとした奴のせい。


だったら良かったね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ