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72 お茶と暇潰しと掲示板

二人掛かりにも関わらずへこたれないミノリに疲れたので俺はライアさんをヨミに預けてカウンターの隅の席に逃げる。

ヨミに恨みがましい目で見られたがあのテンションの相手は俺には無理です。

それとミノリは結構大げさなリアクションを取ったりするのでうっかり見てしまうと俺はバラバラになるか消し炭になる気がするんだ。

逃げた所でため息を一つ。

ああ、上に戻ろうかな…。

ただ上に戻るには部屋を突っ切って階段に辿り着かないといけない。

誰かしらに捕まるよなー…。

下を向きながらつらつら考えているとコト、と前から聞こえてくる。

顔を上げればミツがこちらを見ておりカウンターを見れば湯気の立ったティーカップがこちらの手元に届いていた。

ただ話し掛けられる事は無かったのでミツを窺いつつ手に取る。

ゆっくり時間を掛けて飲み干す。うん、美味い。

飲みおえたのを確認するとミツが口を開く。


[タテヤ様]

「うん?どうしたミツさん」

[先程のお茶は口に合いましたでしょうか]

「昨日も言ったが美味かったぞ」

[左様ですか]

「おう」

[それと一階の備品を勝手にお使いした件について謝罪をしたいと思います]

「ああ、別に良いぞ。と言うかよく道具とかあったな?」

[メイドとしては必須品ですから。いつも持ち歩いております]

「……え、格納空間持ってるの?」

[ええ、そうですが?]

「わあ高性能」

[正確には道具袋が仕込まれております]

「なるほど」

[タテヤ様方よりは小さいですが]

「それでも便利だろう」

[いえ、足りません]

「足りないのか…」

[はい。それと用意して頂きたい物がございます]

「何が必要だ?」

[掃除道具を所望致します]

「お、おう。それじゃ何処かで探して来るわ」

[新しい仕事服も頼んでもよいでしょうか?]

「送られてきたのを渡しても良いか?」

[戦闘には向きませんが貰えるのであれば貰いたいですね]

「後で渡すが良いか?」

[構いません]

「わかった」

[それと図々しくももう一つあるのですが]

「今度はなんだ?」

[皆様方にも給仕活動をしてもよろしいでしょうか]

「……別に俺に言わなくても良いんだぞ?」

[そうでしたか。ありがとうございます]

「お、おう」

[では行って参ります]


そう言うとこちらに一礼し今度はフロアに出て行くミツ。

それにギョッとする面々だったがあっさり受け入れられた様子。

さすがメイド。上手い具合に会話の隙間に入り込んでいってる。

それと有無を言わせない眼力が素敵です。怖いけど。

本人に言ったら斬られるので言わないが。


一人になった所で右側を少し見てみる。

ヨミの脚の上に乗っているライアさん。ツタで簀巻きにされているミノリ。

ヨミの低い声。ミノリの怯えた声。そして時々聞こえてくるライアさんの声。

戦況はウチの鬼が有利らしい。

「…逃げて正解だな」

と呟き右側からの威圧が増し、それを避けるように目を逸らす。


≪フレンド登録者からメッセージが1件届いています≫


差出人はヨミから。内容は『後で覚えときなさいよ?』の一文。

うん、後で謝る事にしよう。

ただ今は逃げさせてもらおう。


書類を読みたい所だが迂闊に見られては困る代物なので代わりに掲示板を見てみる事に。

ヨミに教わっていたものを探す。それほど手間は掛からずに発見できた。

『インフィニティ・サクセス・オンライン』の頭文字を取って『ISO情報交換所』と名付けられた掲示板と公式HPの『インフィニティ・サクセス・オンライン』掲示板の二つが主に使われており前者は匿名が基本、後者はキャラクター名での書き込みが主流となっている。どちらも雑談、勧誘、攻略、生産、戦闘、技能、スキル、等々色々なジャンルがあり書き込まれた物を読むだけで一日が終わるだろう文量。


「おお、凄いな。こんなにあるのか……。ん、なんだこれ」


まずは何があるのかを把握しようと立てられた板の一覧を流し見していると下の方に変なのを発見する。

その名も『【笑顔で】魔王討伐の仕方【サッカー】Part4』。


……ピンポイントですね!


色々言いたい事はあるが大体自分がしでかした事なので何も言えない。

とりあえず読んでみよう。他人からの評価って結構気になるんですよ。

酷い事が書かれて無いと良いが……。

とりあえず流し読みをしてみる。

最新の方まで行くと興味深い記述があったのでコメントもしてみる事に。



【ハーレム】魔王討伐の仕方【増えとる】Part10


1.名無しの冒険者

ここは盾の魔王をどうやって倒すかを悩む者たちの集まりです。

トラウマ持ちはここでリハビリを頑張りましょう。

それと魔王様とその仲間の皆様に迷惑をかけ過ぎない様にして下さい。

蹴られます。


次スレは>>950辺りで立てる人は宣言をお願いします。


過去板:

【壁走り】魔王討伐の仕方【ニンジャ!】Part9


(中略)


379.名無しの冒険者

>>343

それにしてもあの少年は何処であんな化け物になったんだろうな?


380.名無しの冒険者

>>379

公式に問い合わせてみても外部ツールとかは使えないらしいしな。

どうやったらあんな事になるんだ?


381.名無しの冒険者

>>379

修行じゃね(思考停止

使ってるスキルもそうだがあの人ステータスどうなってるのか気になる。


382.名無しの冒険者

>>381

深淵を覗く時深淵もまた貴方を覗いているのです……


383.名無しの冒険者

>>382

オイ馬鹿やめろ


384.名無しの冒険者

>>381

知 っ て し ま っ た な ?


385.名無しの冒険者

>>382

オイ馬鹿やめろ


386.名無しの冒険者

>>382-385

イヤダーマダシニタクナーイ!


387.名無しの冒険者

あ、そう言えば検証班から報告。

【ジャストガード】

成功すればダメージが0になった上で実弾は運動エネルギーを失い落ちる。

魔法弾は掻き消える。反動なども起こらない。盾の耐久も変化しない。

実攻撃系は受け止められるが後記のカウンターが発動すれば跳ね返されもする模様。


【ガードカウンター】

実攻撃系は盾の防御力を基準としたダメージ計算が行われている?

上記を元にすると弱い防御力の盾でやられると反射ダメージが跳ね上がる?

魔法系は着弾した魔法の消費MPを基準として相手からMPを削る。

ドレイン系?


謎スキル。

ライアン氏、ガノン氏と戦った際に防御力を攻撃力に置き換えると話していた模様。

類似スキルに【職務怠慢】があるがそれの上位互換か?

ただあちらは25%なのに対し明らかにそれ以上の火力を発揮している。


防具類。

解析不能。名前も何も見えない。


が今の所の情報みたいだ。


388.名無しの冒険者

>>387

おお、検証感謝。

ただ単におかしさが際立った気もするが。


389.名無しの冒険者

>>387

検証班に感謝を。

で、これどうやって倒すんだ?


390.名無しの冒険者

>>387

検証感謝。

一見するとエグイ効果だけど使いこなせるかと言われるとねえ……


391.名無しの冒険者

>>387

検証した方々乙です。

確かガードカウンターって単体でも発動できたよね。

ただ組み合わせる事で鉄壁になるんだね。


392.名無しの冒険者

>>387

おお、これで攻略が一歩前進……出来るの?

未だに壁に摩り下ろされた記憶が残ってるんだけど


393.名無しの冒険者

>>391

ただそもそもガードするのが難しいからなあ……。

そして誰が野球感覚で盾を振り回せば良いと思ったのやら。


394.名無しの冒険者

>>391

あれを参考にしてはいけない(戒め


395.名無しの両手盾

>>387

丁寧な検証ありがとうございます。

自分は感覚でやっていた面が大きかったもので検証してもらえて嬉しいです。

ステータスについてですが攻撃力が0なのは確定です。


396.名無しの冒険者

>>387

検証班乙。

なんだろうなこのスキル。

完成してね?


397.名無しの冒険者

>>395

……ん?

両手、盾……?


398.名無しの冒険者

>>395

え、ちょっと待って両手盾って魔王様ご本人?

それに感覚でやってたって、攻撃力0って、え?


399.名無しの冒険者

>>395

本人キター!


そして俺のトラウマもあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!

魔王が、魔王が来たよおがーぢゃーん!


400.名無しの冒険者

マズイ!トラウマ持ちが!

>>395

あ、丁寧にどうもです。

それにしても攻撃力0って本当だったんですね


401.名無しの冒険者

>>395

え、本人!?本人なんですか!?

ああ、魔王様、蹴ってくださいー!


402.名無しの冒険者

いつかは見られると思ってたけどよりにもよってこのタイミング!

>>395

あ、どうも魔王様、今日もご機嫌うるわしゅう……


403.名無しの冒険者

>>395

あ、どうもです魔王様。

色々あって俺も改心しました。


これからは1プレイヤーとして頑張りますんで!


(中略)



うん、一言書き込んだだけなのに酷い事になったね。ごめんなさい。

そして色々カオスですね。またあのMさん居てはるし。

403さんは名前がわからないけど俺が吹き飛ばした誰かのようだ。

良かった、ナンパ師はもう居ないんだね!気が楽になります。

うむ、と頷いた所で後ろからの視線を感じたので振り返る。

テーブルに座ったメンバーの手元には表示枠。

そして見覚えのあるページ。今まさに俺が見ていた内容。

目を見ればこちらに何かを聞きたそうにうずうずしている面々。


うん、逃げ場は無いみたいですね。

困った。

掲示板の書き方は色々な所から真似してみました。

一度やってみたかったんです。


403の人は8日目のサッカー組です。

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