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61 「つ、疲れた……」

今のは一体なんだったんだろうか。

そして向けられる視線になんとなく居心地の悪さを感じたので二階に逃げる事に。

登っていると後ろからトントントンと言う音がしたので振り返るとアリスの姿。

付いてくるようだ。


「なんでヨミがああ言ったかわかってる?」

「いや、さっぱりわからん」


二階に着いた所で口を開いてそう聞いてきたので正直に返す。

するとアリスがまた半目になって軽くため息を吐く。

なんだろう、ごめんなさい?


「タテ兄がやった事は勘違いされてもおかしくない事」

「え?いや、一部の不埒者とファンをなぎ倒しただけだろ?」

「桁が違う。私達にも報酬を要求するような事をしてる」

「自分としては友人だから、でやったんだが」

「こっちからすれば何も要らないと言うのは惚れられてると勘違いしかねない」

「価値観の違い?」

「そう」

「親友だと思ってたのに……」

「幾らゲーム内の事だとは言ってもやっている事はヒロインに惚れた男の行動」

「……」

「早めに手を打たないと悪化する」

「そ、そうか…、何頼めば良いのかな」

「デートとか?」

「友人相手にそれはキツイぞアリス」

「もしくは私をパーティーに入れての冒険を推奨する」

「え?」

「私も助けられた側。知ってる筈」

「あまり気にしてないって言ってなかったか?」

「私は。アリサがイライラしてたから気になってた」

「ああ、成る程」

「それと出来れば私もミツとライアと話したい」

「隠さないんだな」

「情報は漏らさない、安心して」

「なら、良いのか……?」

「良い」

「ま、アリスなら大丈夫か」

「ありがとう」

「それにしても、ヨミがあんな表情するとはなあ」

「こっちからは見えてなかった」

「ああ、俺が前に立ってたからか。なんだろう、顔が真っ赤だったな」

「惚れられてる?」

「さあ、わからんな」

「目の前でラブコメを見れるとは思わなかった」

「やめて、胃が痛い」

「……ヘタレなタテ兄は大変だね」

「妹が毒舌過ぎて心が折れそう」

「大丈夫、私が癒すから」

「ひどい妹も居たもんだ」


それを聞くと微笑むアリス。

うん、女性はよくわからん。


何も解決していないがまたチャットで聞き直せば良いだろうと考える。

そのままアリスを伴い二階の作業場に入る。

中には色々な作業機が間隔を開けて並べられており天井には幾本かのレールと共に移動用兼鎖通しの滑車が付けられており下に伸びた鎖の先には頑丈そうなフックが備え付けられている。端の方にある一段下がった土間の方には鍛冶用の炉が付けられており金床もあり薪も用意されている。その横の壁には解体用の大包丁が置いてあるので土間は解体場にもなるのだろう。

カスミとアデルは中央の大テーブル前で話し合っていたのでそちらに行く。


「おうい、どうだ、この作業場は」

「こっちを本拠地にしたいね」

「私も入ったは良いけどいきなり使わせてもらっても良いのかな?」

「構わないぞ」

「ありがとう、良い物が作れそうだ」

「私は時々使わせてもらうかな?」

「おう、まあ活用してくれ」


そこで手を上げるカスミ。


「わかった。それと返したい物があるんだけど」

「何をだ?」

「あの素材。今の私だと扱えない。それに工具も弾かれる」

「ああ、頑丈過ぎたのか」

「それに私が持ってても狙われそうで怖い」

「それがあったか……」

「だから返す」

「おう」


そうして古代龍素材一式をカスミから返される。

さすがにいきなりは無理だったらしい。

続いてアデルも手を上げる。


「私からも聞きたい事があるんだけど」

「なんだ?アデル」

「えっと、さっき下でヨミの大きな声がしたんだけど何だったの?」

「ああ、あれか……」

「話しにくい?」

「説明しにくい」

「本人に聞いた方が良い?」

「それと下の面子に聞いてくれ」

「わかった。後で聞くね」

「そうしてくれ。俺も整理したい」


そう言うと首を傾げるカスミとアデル。

アリスには背中を労わるように叩かれる。

うん、なんでこんなに疲れてるんだろうね。

色々起こり過ぎなんです。

さて、ミツさんとライアさんの所に行くか。


またアリスを連れて二階を出て三階に。

この階は丸ごと倉庫になっており中には棚も並んでいる為に色々飾る事も出来そうだ。

ただ今は解体していないので備え付けのボックス内にそのまま入れて行く。


「ちょっと倉庫に寄ってくぞ」

「何か入れるの?」

「今日も狩りをして来たからな、入れて置こうかなと」

「数は?」

「えーっと、大体になるが兎300、狼150、蟻190、原木40、熊20って所か」

「相変わらず凄い」

「即死刀で仕留めてるから経験値入りにくいけどな」

「タテ兄は本当に攻撃力0とは思えないね」

「一応攻撃力も出せるからな」

「守る気あるの?」

「……ソロでやろうと思ってたしそこまで考えて無かったな」

「無計画」

「すまん」

「でも助かった」

「そうか」


入れ終えたら4階へ。

ゲンコツからは「お前の部屋はわかりやすい様にしておいた」って言われてるけどどんな風になってるんだろうな。

そう思った所でゲンコツからのメッセージが届く。

『今ウチのもんから話を聞いた、魔王の城だったが盾の魔王城に改名してくれ、後部屋はもう見たか?感想待ってるぜ』

と届いたので変えておく。特に思いつくものも無かったしな。

四階に上ると中央に廊下がありその両横に客室が四つ程。

そして俺の部屋だが。


「俺の部屋って多分アレだよな」

「アレじゃない?」

「なんだろう、行きたくなくなって来た」

「諦めも肝心」

「だよなあ……」


そう言って目線を向ける先には黒色に塗られた上質そうな木扉。

見上げれば≪魔王の部屋≫と書いてある。

それを開けると中には応接用のテーブルとソファー、奥には黒塗りの木で作られたデスク、壁際には空きも多い本棚がありデスクの後ろには扉があるのでそこが部屋なのだろう。

ミツとライアさんはソファーに二人で座っており何処から出したのかお茶を楽しんでいた。

くつろいでますね。ライアさんに会釈しつつミツさんに目を向けると口を開く。


[ようやく来られましたか]

「随分寛いでますね……」

[丁度良い場所がありましたからね]

「ここなら自由に話せますしね」

[そちらのアリス様は宜しいのですか?]

「アリスは自分が大丈夫だと判断しました」

[承知いたしました。そしてタテヤ様]

「なんでしょうか」

[侍女に敬語は不要かと思われます]

「え、聞こえてたんですか?」

[聞こえておりました]

「えーっと、じゃあ、まあ、よろしく」

[はい]

「それで色々話したい訳なんだけどもう少し待ってくれ」

[わかりました。アリス様はこちらに?]

「ああ、さすがに色々起こったからな、一人になりたい」

「わかった」

「それじゃ、部屋を見てくる」

[行ってらっしゃいませ]

「行ってらっしゃい」


部屋を横切り後ろの扉を開ける。

部屋の中はベッドと机、棚が一つ。それと道に面した方角に窓があり天井には屋根裏部屋と屋根に出れる窓が付いている。

後でツタベッドに置き換えようとは思うがとりあえずベッドに腰掛ける。

大きく息を吐いて一言。


「つ、疲れた……」


ゲームなのに疲れるとはこれいかに。

とは言え少し休憩したなら戻って修理に関する事をミツさんと話しつつ試さないといけないしバル王からの荷物を開封しないといけない。

あ、そうだ。


「スキルも取らないと駄目だよな…」


メニュー画面を開いてスキル取得をする事に。

生産関連技能と戦闘、後は魔法でも取るかな。

……全部ですね。


職業スキルは特に欲しいものが無かったのでキャラクタースキルで埋める事に。

SPも185程あったので大量に取得出来そうだ。

数分悩みつつも薬師10、錬金術師10、木工10、看破5、鑑定5、識別5、発見5、盾5、回避10、受け10、関節技10、刀10、光魔法20、闇魔法20、火魔法10、水魔法10、風魔法10、土魔法10、精密操作10をそれぞれの数字で示されているSPを消費して取った。

取得したそれぞれのレベルは1からになるがこれからの色々に役立ってくれる事だろう。

それにしても魔法全部取ったけど確か魔法って攻撃力関係無かった様な。

精神力と知力値で決まったような。


……深く考えるのはやめておこう。

そうして部屋を見回しなんとなく机の上に木彫り熊を置いてみる。


うん、やっぱり神々しいな。

さて、戻るか。

整合性はふっ飛ばしました。

一日が長いです。

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