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60 「わ」「わ?」

少し遅れました。

ケンヤとミカ兄妹を伴いゲンコツとヨミの元へ向かう。

その間にも色々聞かれたのでのんびり話す。

ケンヤからは先輩、ミカからはタテヤさん呼びになってるが何故先輩?

何を教えろと言うんだろうね。

歩いているとミカからの質問。


「タテヤさん、そう言えば新家ってどんな理由で貰うんですか?」

「ああ、話せば長いんだが元々の発端が三日前の事でな」

「三日前?ああ、魔王出陣ですね?」

「動画名酷くない?」

「最初は一人対284だったんですけど二回目以降からは魔王VS人数の書き方でしたよ。多分今日からは盾の魔王呼びになるんじゃないかなと思います」

「ただの1プレイヤーなんだけどな……」


それに対して苦笑しつつ返すケンヤ。


「いかにステータスが高いとは言っても普通はレイドボスをソロ狩りとかしませんからね?先輩が普通だとは思えないんですけど」

「ゲーム開始位置が激昂の森じゃなければ普通だったんだろうな」

「え、なんでそんな所に?」

「わからん、ただ巻き込まれて流されてる内にこうなった」

「凄いアバウトですね!さすが先輩!」

「褒めてるのか?」

「僕達はその感覚に負けましたからね」

「……なんか、すまんな」


謝罪を聞き同時に顔を俯かせた後叫ぶ兄妹。

二人とも笑顔なんだけど方向性が違った。


「兄さん!タテヤさんが容赦無く心を折りに来るんだけど!」

「先輩!そこで謝られたら魔王と言うよりただの人ですよ!」

「俺ただの人なんだけど!」

「防御ガン振りに倒されたなんて普通は笑い話なんですよ!普通は!」

「倒された時の笑顔のせいでトラウマ持ちになったらしいですけどね!」

「……俺の笑顔って、怖いか?」

「怖いです!」

「カッコいいですよ?」

「どっちを信じればいいんだろうな」

「「こっちです!」」

「信じれんわ!」


何処かで笑顔の練習でもするかなー……。

なんて事を思いつつぎゃあぎゃあやりながら歩いて行く。

この後ライアンとガノンと戦うんだけど忘れてるよなこの二人。

ま、条件呑んでるしいっか。


そうして辿り着くと既に入り口の扉の前で待ち構えてるライアとミツさんの背負子とヨミ。

他は雑談しつつこちらを認めるとヨミとゲンコツがやって来る。


「ごめんなさいね、先行っちゃって」

「まああのまま居ても解散しそうに無かったからな」

「ありがと。で、お披露目なんだけど……」

「ああ、作業してた人達は?」

「私達からお礼を言った所で満足そうに帰って行ったわね」

「なんて言ってた?」

「『おおお、生のヨミさんだ!』『ああ、生ヨミさんだな!』『生嫁だな!』『なんかエロイな!』って言った所で最後の人が殴られてたわね」

「お、おお……大変だったな」

「私からは終わり。ゲンコツさん、どうぞ」


さっきからずっとそわそわしていたゲンコツが口を開く。


「なあタテヤ、もう開けても良いよな?色々と説明もしてえんだが」

「あ、すいません、お願いします」

「おうよ。それじゃ『魔王の城』、開城!」

「え、名前もう少し無かったんですか!?」

「バカ野郎お前そんな面白いアダ名付けられてるのに違う名前付けるってのか!?」

「そんな理由なんですか!?」

「そんな理由だ!」

『おおお!開いてく!』


所有権が俺に移る。

建物の設定でお披露目の項目で自動開門と言うのがありそれによって開いて行く扉だったのだが扉に持たれ掛かる様にしていた背負子がゆっくりと倒れて行く。『あ』と言う声を出したのは誰だったろうか。

「パタン」との音と共に底が見えた背負子とそこから見える三本の足を見てこれは後でミツさんから説教だなと思いつつ皆と一緒に中に入って行く。

ヨミにも謝られたが大体は俺のせいなので手をひらひらと振って返しておく。

中は事前に聞いていた通りロビー兼応接スペース、奥にカウンターとその後ろに簡易倉庫と作業室があるらしい。

床は板張りで壁は外から見ればレンガを積み重ねて作られており、中には造られた壁の上に漆喰の様な白色の物が塗られており清潔な印象を出している。窓枠は道側に二つ。四角の木枠内に嵌められたガラスを支えるように十字の形に裏表に木枠が止められている。


皆に遅れて中に入れば既に階段をロビー奥の階段を登り上の階に行っている生産組。

既にロビーのソファにて寛いでいる戦闘組。

忍者は天井裏を発見し入ったり飛び降りたりしていた。隠し天井……?

カウンター席に座りのんびり話しながら騒いでる魔法少女達。

先に説明を受けていたようだ。……多分入り浸るんだろうなあ。まあ良いけど。

ケンヤとミカも恐る恐る入って来る。

それを見た戦闘狂二人がこちらを向いたので親指を立てて返しておく。

にっこり笑顔になったのでおそらく気に入られたのだろう。南無。

ヨミもミツさんとライアさんを連れて行ってくれた。

俺はと言えば中を見てはしゃいでいる面々を見つつゲンコツと話す事に。


「しかしまあ凄いですね、コレ。幾らつぎ込んでくれたんです?」

「時間が出来ちまったから色々運んで来たし途中からこの街のギルドの方からも荷物が届いてな。お前さん宛だったからついでに入れといたんだがありゃ一体なんだ?」

「ああ、色々とやりたい事に関するあれこれですよ」

「ふむ、教えてもらっても良いか?」

「他の人には流さないで下さいよ?」

「わかってるよ、心配すんな」

「まあ簡単に言えば自動人形の修理ですね」

「自動人形?たまに見かけるが……いや待て、お前が担いでたあのメイドはまさか」

「お察しの通り古代産です。頼まれたので俺が直す事に」

「スゲエな」

「ええ、しかも俺がどうにかする約束です」

「お前さんは本当に面白いモン引き当てて来るな、羨ましいぜ」

「まあ、色々有りまして」

「これからも頼むぜ?」

「何をですかね……」

「ま、色々だ」

「まあ善処はしますよ」

「おうよ。でだ、届いた荷物は4階のお前さんの部屋に置いといた。機械類は使い方がわからなかったらこっちに聞いてくれ」

「わかりました。ありがとうございますゲンコツさん」

「何、家の建築なんて面白い事が出来るとは思ってなかったからな、ありがとよ」

「それなら良かったです」

「それじゃ、俺は帰るとするわ」

「お疲れ様でした」

「おうよ、上手く使ってくれ」

「ありがとうございました!」


腰を折っての礼でゲンコツさんを見送る。

さて、頑張って使えるようにならないとな。

振り返って中を見ればライアンはケンヤを、ガノンはミカを相手すると決めたようだ。

兄妹二人の顔が笑顔なのに引き攣っているのは気のせいだろうと思う。

俺が睨まれてる気もするが頑張って欲しい。


それにしても計ったようにギルドメンバーが過ごし易い様になっているが君達出資した理由好きに改造出来るからとかじゃ無いよね?

ま、良いか。どのみち一人じゃ管理しきれないし。

何処に座るかを迷って目線を回すと階段の方にヨミが居たのでそちらに行く。


「おう、皆寛いでいるみたいだな」

「ええ、見てもらえばわかる通り皆の希望を詰め込んだ結果になっちゃったわ」

「予想外?」

「私がゲンコツさんと纏めてる隙に作業員の人達と話してたみたいで…」

「ああ、もう良い。ここも仮だが拠点にしてくれ」

「ありがと。……ってまた報酬じゃなくてこっちの物ねコレ」

「気にし過ぎると禿げるぞ?」

「女子に言うとは喧嘩売ってるわね?」

「すまんすまん」

「まあもうしばらくしたら出て行くから」

「別に構わんぞ?」

「家主が把握する時間も取らないとね。それに他にも用事あるし」

「そうか」

「イベントがどうなるかなのよね、今の所の問題は」

「俺が強制的に攻略したからなあ」

「何が来るにしても強化されてそうだから怖いのよね」

「す、すまん」

「事故みたいな物だったから気に病んでも仕方無いわよ」

「現在進行形で事故ってるんだけど」

「それに付き合ってる私も私ね…」

「あ、今日のチャットで話すがミツさん含めて3体増えたから」

「え?……しばらくは他のメンバーは上階立ち入り禁止にしとくわね」

「スマンな。落ち着いたら見せられると思う」

「ミツさんにはさっきの事説明しておいたけど…」

「ああ、二人には謝っとくよ」

「ライアさんは結構楽しんでたみたい」

「優しいな。他の面子からはどう見えてたんだ?」

「二人の事は見えてなかったけど背負子の動きから想像してたみたい」

「ミツさんの目、怖かったからなあ」

「他の人が見れば何て言ったかしらね」

「『ジト目メイドキター!』とか?」

「ありそうね……」

「それじゃ俺は上に」

「ええ、カスミとアデルが居ると思うからよろしくね」

「はいよ」

「あ、それともう一つ」


そこで少し目を泳がせるヨミ。

ん?


「なんだ、まだあるのか?」

「えっと、その……」

「なんだ?」

「わ」

「わ?」

「私の我が儘に付き合ってくれてありがとう!これからもよろしくね!」


顔を真っ赤にされつつ口調が崩れたまま言われました。

言った後即座にログアウトするヨミ。


うーん、女性は難しいな。

しかし一体何を言いたかったのだろうか。


首を傾げつつ階段を登ろうとすると何やら視線を感じる。

振り向けば生暖かい視線の数々とこちらにジト目を向けているアリスの姿。


うーん、よくわからん。

一ヶ月続けられました。

一日一人読者が増えてくれたらと思っていたので今でもビビッてます。

ありがとうございます。


一日一回は投稿できる様に頑張ります。

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