06 友人とのチャット 二日目
二日目ログアウト後のチャット。
「今日は進展があったぜ!」
『こっちは探索範囲広げてるけどお前は?』
「二日掛けて兎を倒せるようになったぜ!」
『は?』
「2発直撃で確殺されるけどな!」
『ホントに兎かそれ。紙装甲でも10発は受ける間にどうにか出来るぞ』
「マップ名が激昂の森なんだけど関係あるかも?」
『……』
「ん?どした?」
『その場所って最初から入れたのか?』
「最初の出現場所が激昂の森でまだ死に戻ってないからどうなるかな」
『町側からはまだ初心者が立ち入れない区域なんだが』
「そうなのか?」
『その兎何か固有名詞付いてなかったか』
「激昂兎とか激昂角兎とか激昂熊とかだな」
『熊もかよ!』
「毎戦生きるか死ぬかの戦いだぜ。防御60振ってあるのに。盾って何?」
『普通はレベル1だと死ぬ場所なんだがな……』
「何か知ってるのか?」
『お前情報サイトとか掲示板とか見ないのか?』
「この二日間心の余裕が無い」
『まあ最初から適正レベル15以上のマップだからな。よく生きてると思うよ』
「んー?つまり俺は死に戻り前提に近い場所に放り込まれたのかなー?」
『まあ、そうなるな』
「うせやろ?」
『いや、大マジだ。そう言えば最初に特別イベントか何かかって聞いたよな?』
「聞かれたな」
『先駆者からの○○は受けてるか?』
「ああ、先駆者からの試練って奴を受けた」
『普通は鍛錬とか訓練らしいんだが試練はその中で一番スパルタらしい』
「え?」
『受けるプレイヤーを鍛えられるNPCによって変わるらしくてな』
「ダンガロフ師匠はその中でもスパルタだと…?」
『職業でも変わるらしいけどな。町ではダンガロフさんの事は英雄、格闘家、殲滅家、一人城とか色々言われてたぞ』
「凄い人が師匠だったのか」
『面白い所引いたなあお前も』
「ネタキャラだから良いのかな?」
『まあネタには事欠きそうに無いなお前』
「師匠によるといつかは防御力を0にして殴れるようになるらしい」
『盾職ってなんだ?』
「……味方守れればそれで良いんじゃない?」
『目的はそうだけどな?なんか違うよな?』
「……。あ、そっちはどんな感じの冒険やってるん?」
『黙秘しやがったコイツ。まあ兎狩って狼狩って装備を少し増やしてって感じか』
「ああ、良いなあ…。初心者冒険者してる…」
『それにもう一人美少女が増えた』
「テメエ!」
『姉妹のもう一人の方でな』
「まあまずは容姿を聞こうか」
『黒髪ロングと白髪ロング、碧眼と真紅の眼』
「わあ、双子みたい」
『実際双子なんだと』
「おお、職業は?」
『魔法使い』
「二人とも魔法使い?」
『そ。俺前衛兼遊撃兼斥候』
「あー……。頑張れよ」
『そっちが合流してくれたら前衛任せて遊撃になれるんだが』
「受けのお墨付き貰うまで町には行けそうにないなあ」
『まあこっちから会いに行く形になりそうだけどな』
「あれ、最初の上位マップってこっちなの?」
『最近そっちのマップからモンスターが流れ込んで来てるって話だ』
「初っ端から大規模殲滅イベントクルー?」
『矢面には立ってもらうぞって言うか真っ只中に居るもんな』
「これ掲示板に書き込んだらどうなるだろうか」
『個人的には面白いが攻略組が発狂しそう』
「頑張ってレベルを上げて装備を整えて攻略しに行ったらレベル1桁が居ましたとかなあ」
『理由知らなかったらなんで辿り着いてるんだよってなるな』
「望んで行った訳じゃないけどな?」
『それでも最前線で活躍したいってのはあるだろう?』
「あるけどさ、あるけどね?」
『なんで死に戻ってないんだろうなお前』
「瀕死になるとポーションで全快させられて、な」
『あっ……』
「丁寧に再使用時間までは攻撃食らわないようにしてもらって使えるようになってからまた目の前に兎が…」
『まあ、気をしっかり持てよ?』
「角付きは死に戻りしなかったのが奇跡だった」
『スパルタだな』
「スパルタだろう?」
『こっちはのんびりやってるけどお前は大変だな』
「辛い」
『まあ鍛えれば報われるって! きっと』
「最後に不安しか感じない」
『ネタキャラなんだし苦労はするだろ?』
「よーし、格闘家を目指すぞー」
『こっちはイチャイチャしながらだなー』
「よーしいつかぶちのめす」
『あっはっは。明日も頑張れよ?』
「死に戻りたくはないからな」
『それじゃまた』
「うーい」