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49 兎と狼と熊

いつかはあの壁を持って自分は前線を張れるようにならないといけない。

そう決意を新たにしつつ先生になんとなく、本当になんとなくどの方角に行けば兎が多いかを聞き、にっこりとした笑みと共に教えてもらい俺は意気揚々とその方向に向かって歩いて行く事にした。

その後起こった事を考えれば先生の笑みの意味に気付けたかも知れない。


指し示された方角に歩く事十数分。

どうやら師匠達の近くにはモンスターが来ないようで師匠達から襲い掛かるか怯えたモンスター達が恐怖から攻撃を仕掛けて来ているらしい。

道理で都合良く匹数を管理できていたなと思う。


そして現在。

歩きつつも布の服(ボロボロを装備、両前腕に小盾、両手に手盾を持ち背中に大盾を背負ったスタイルで修練の輪を着け首飾りを外し防御が120前後、他が42と言うステータスになり久しぶりの当たればHPバーが消し飛ぶ状態にする。

いやー、動きも遅くなってしまった。これは辛い。

だからこそ意味はあると思う。


途中修練の輪を着けた時に≪上位者権限により加護適用不可≫と出てたんだがこれもまさか先生の友人さんの作品じゃないだろうか?

そう考えると貰った装備類も彼(彼女)が作った物であるし本当に何者だったんだろうか。

今はありがたく使わせてもらってます。


おっと、兎のおでましのようだ。

さて、何匹かな?


目を向けると扇状に広がった二桁の兎達が既に射出姿勢を取っていた。


あー。えーっと、はい。

左手を腹の前に置き右手をいつでも振りかぶれるように構えてから叫ぶ。


「一匹ずつ掛かってこんかいオラァ!  どわーっ!」


一斉に飛んで来ました。

ですよねー。


もう慣れました。



「ガード!フォートレス!全速回避!」


もうね、あれだよ。

いかに自分が先生の装備に甘えてたかが良く分かるね。

殴るだけでHPとMPが回復する籠手。

自動でHPが回復する上状態異常の殆どを抵抗出来る道着。

城に変形出来る上に状態異常を追加した上で攻撃を反射する大盾。

攻撃力が0なのに即死付きなのでなんでも斬れる刀。

脚甲は……職務投棄付きで蹴れば壁が爆発すると思う。

幾らステータスが現状ではぶっ飛んでいてもやはりこれらの装備があってこそだと思う。

そしてこれらの装備と職務投棄を封印した上でステータスを下げた現在の心境。


超、辛い。


まず1匹なら今の防御力でもなんとかなったとは思う。

ただ複数で激昂状態と言うのがマズイ。

両腕の四つの盾を使い防ぎつつ身体も捻って避けて行くが何匹かは身体に直撃する。

俊敏と知力と精神力が下がっている為にその辺の認識と判断も自分でやらないといけない。

HPはレベルアップの恩恵で増えているがHPの自動回復は修練の輪だけ。

瀕死になる度HPが急激に回復し3割程を越えた所で緩やかになる。

ギリギリのラインで死に戻りはしていないのだがもう何度地面を転げまわっただろうか。

3倍返しによって兎のHPはごっそり減る。減るのだが数が減らない。

何故かと思えば瀕死になった兎は逃げて行き休息を取る。

オイコラちょっと待てやと言いたくもなるがその度に追加が走って、いや飛んでくる。

その密度に対して取った行動は前腕と背中の大盾を外し手盾で殴り続ける事だった。

盾に掠ってもガード成否判定が出るので受け損ねでHPが削られるのを嫌った結果である。

身体を止めるとズタボロにされ死に戻るのが解かっているのでまずは避ける事にした。

動き回り続け常に兎達が前方か多くて二方向からしか来ないようにし続けその合間に3倍返しで少しずつでも削って行く。

平地では障害物が無い為木を障害物に使い飛んでくる匹数を少しずつ減らす。


そうしている内に動きが洗練され吹き飛ばした兎の事も考えられるようになっていった。


あー、辛い。と言うかなんでこんな事やってんだろ。

もう次が飛んで来てる。チクショウ減らないなあ。

次はコイツをこのぐらいの勢いで飛ばしたらあの辺りに落ちるから少し放置。

お、そろそろ全体的に動けなくなって来たか?それなら行ってみるか。

よくもやってくれたな?この恨み晴らさずに居られるかぁ!

自分で勝手にハードモードにしただけなんですけどね。

それでもイラつくモノはあるのです。

そうして動けなくなった兎達の最後の反撃も叩き落してHPバーを砕けさせつつ。


兎の首を捻って勝利した。


カウンターだけだとトドメが刺しにくいのが面倒ですね。

そして戦闘終了の通知が来ない。

その事に疑問を抱きつつも背後から「ガルルル……」と言う音がしたので振り返る。


二桁の狼達が隊列を組んで扇状に広がりこちらに威嚇をして来ていた。


あー、えっと、はい。

左上腕に大盾を着け左手で小盾を持ち、右前腕に小盾を着け右手で手盾を持つ。

大盾を前面に出しつつ右手を軽く振りながら覚悟を決めて叫ぶ。


「連続とかやめてくれませんかねえ!?  おわーっ!」


波状攻撃とか覚えてんじゃねえよ!

超面倒なんですけど!


しかも今紙装甲だぞこっちはゴラァ!


自分でやった事だけどな!



面倒になった狼達に対してやった事は隊列の中に突っ込んであちらこちらに3倍返しで吹き飛ばす事だった。

一人だけなのを格下と見たのかその行動に驚いて噛み付きと引っ掻きしか咄嗟にして来なかったので身体を回し大盾で弾き飛ばす。

と、そこで発見角付き野郎。

どうもコイツが司令塔の様だったので執拗に首締めを狙う。

周りの狼共も守ろうとしてくるがその度に弾き飛ばす。

しかしこのままだとどうしようも無いので角付きの首に両足を回し思いきり締める。

良い具合にHPが減っていくが角付きもやられまいと転がり続ける。

こちらのHPもゴリゴリ減ったがどうにか仕留めた。

これでどうにかなるかと思い立ち上がるといつの間にか追加されている角付き。

あ、兎と一緒のパターンですか。


わあ、死ねそう。


さすがに籠手は解禁した。

連戦により先生ポーションを飲む暇も無かったので装備が間に合って本当に良かった。

何しろ消費の少ないスキルばかりなのにそれでも残りMPが1割を切っていた。

どれだけ戦っているのだろうか。

森の中なので良くわからないがそれでも数時間は戦っているような錯覚を覚える。

籠手を解禁した事で大分楽にはなったがそれでも苦しい。

何しろ連携してくる相手だ。

ひたすら面倒である。

しかも良く逃げる。

なので追いかけないといけないのだが行けば罠の場所。

距離を置けば雷撃を飛ばしてくるのでストレスも貯まる。

いい加減イラついていたのであるスキルを使ってしまった。


挑発2。


次の瞬間、狼の壁が迫って来た。

よし、これなら戦える。


攻撃力0だけど。


そこからは飛んでくる狼をひたすら打ち返すだけの作業になった。

挑発により飛び掛って来るようになったので鼻っ面に盾を当てやすくダメージも大きい為格段にHPの減りが早くなり楽になった。

瀕死になっても挑発のせいで飛んで来る狼達には笑みがこぼれる。

ふはははは、見た目がボロいからと言って人間を舐めるなよ?

どうにも狼達の目が怯えている様にも見えるが遠慮はしない。


そうして発動から数分後。

狼達の首を締めたり弾き飛ばして倒したり大盾でかっ飛ばしたついでにHPバーを砕いたりと。

最後は手盾で頭蓋を割りつつ狼達を全滅させる事に成功した。


そして、戦闘の通知が来ない。

何かを諦めつつも振り向くと熊達。

籠手と大盾を外し武装を両手の手盾二つにする。

構えはボクシングにしておく。

深呼吸を一回。


すぅーっ、はぁーっ。よし。


「よっしゃ来いオラァ!  吠えんなああああああ!」


吠えられて増えました。

あの、今、ハードモードなんですけど。

一匹でも多分二発で確定パンチなんですけど。


どうしよう。



結構どうにかなってる。

あれ?

理由としては幾つかある。

熊の攻撃力が高い事、3倍返しで威力が上がっている事、兎と狼の速度で目が慣れていた事が大まかな物だろうか。

他にもちゃんと走り回って囲まれないようにもしているが動けるスペースが少ない。

熊、多いんだよ!

しかしそれもカウンターを当てられているからどうにかなっているような物。

最初の方で一発食らったがHPが7割強吹っ飛ばされた。

二発でアウトである。


あと純粋に熊、怖いです。


最初の遭遇で植えつけられたトラウマと戦いながらも順調に熊を減らす。

途中から鬼気迫る勢いを感じながらもカウンターで削りHPバーを砕いていく。

そして熊達を一桁に減らした所でふと熊達が出て来た方向を見る。


静かなる怒れる熊がそこに座り込んでいた。


どうやら今日は何処までもハードな様です。

何か悪い事したっけなあ……。

大量に迷惑は掛けてる気がする。すまんなヨミ。

生き残れたら謝る事にしよう。



≪レベルアップしました≫

≪ボーナスポイントを5点獲得≫

≪スキルポイントを5点獲得≫


≪レベルアップしました≫

≪ボーナスポイントを5点獲得≫

≪スキルポイントを5点獲得≫


≪レベルアップしました≫

≪ボーナスポイントを5点獲得≫

≪スキルポイントを5点獲得≫


≪スキル【3倍返し】を規定回数使用しました≫

≪スキル【3倍返し】が上書きされ【4倍返し】になりました≫


生き残ってやったわ!

ギリギリだったけどな!

何度修練の輪を外して職務投棄を使いたいと思った事か!

布の服が破壊されてただのぼろきれになりました。

トレントの盾達も気付けば修復不可能なぐらいズタボロになってました。

よく勝てたなと思います。あと既に夜です。ずっと戦ってました。


最後までカウンターで静かな熊さんを倒せたのは奇跡に近い物がある。

一度は戦っていたと言うのも大きく貢献している。

いやー、辛かった。

単純な突進が早いわ致命的な威力だわそれをガード成功したのにその後に突き上げられて吹っ飛ばされるわと言う物から始まり。

叩き付けで地面に軽く脚を埋めさせられ。

咆哮で体を竦まされてそこに飛び掛って来たり。

そしてあの小さくなった状態でハグをして来るのが一番ヤバかった。

何しろ捕まれば最後押し潰されるか背を折られるかのどちらかだと言うのが解かっていたので必死で逃げた。

でも早いのでギリギリの所で避ける羽目になった。

勘弁して欲しかった。

それらを掻い潜りカウンターのみで倒せた時はHPバーが割れているのを見てもしばらく警戒心を解けなかったのは仕方の無い事だろう。

通知を見てようやく終わった事を実感する。

しかしまあ、何が起こった?


起こった事は三つ。


兎の群れと戦った。

狼の群れと戦った。

熊の群れと戦った。


先生、多分ですけど敵が沢山居る方角に送り出しましたね?

終わってから気付きました。

良い経験にはなったと思う。

だが連戦はやめて欲しいと思いました。


終わってから首飾りを使っていれば多少はマシになったんじゃ無いかと気付く。

凹んだ。



その後はどうにか先生達の所に戻り即座にログアウト。

愚痴は明日言わせて貰おう。

今度は蟻とトレントは居らず、数もそんなに多くありませんでした。

ただ全部致命傷な上それを防がないと攻撃できない状態でしたが。

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