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42 ゲンコツとの商談

ラルタ街。

城壁に囲まれており掘も備え付けられている城壁都市である。

上から見た形は中央から八方向に区切られ二等辺三角形を円状に配置した様な区画の分け方をしている。

西と東、北と南を通る中央通りが一番広く通商に対しての利便を高めている。

この街では北に激昂の森がある為に西と東を通る道で住んでいる層が大まかに分かれており北は冒険者関連エリア、南は一般居住区エリアとなっている。

特に強制力は無いが大体の住人はこれを守っている。


宵闇の森は北北東エリアに本拠を置いている。

俺の部屋も北北東エリアのアパートの一室を借りている。


今回会う生産職の人は西北西エリアに居るのでヨミとライアさんとカスミさんと歩く。

カスミさんはライアさんと手を繋いでいる。

あ、女性陣は大丈夫なんですね。

そんな光景を見つつヨミと雑談。


「それにしても二人もバレるとはなあ」

「聞いたけどカスミさんは分析だったからアリスが特殊なだけだと思うけど」

「他はネタばらしするまで気付いて無かったけどアリスでびっくりした」

「苦笑の仕方でわかるってどう言う事なのかしらね?」

「惚れられてるのかを聞いたが「お兄ちゃんだから」で真顔で返されてな」

「なんと言うか複雑ね」

「まあそんな感じなので妹扱いになった」

「アンタも変なフラグ立てるの好きねえ」

「流され過ぎたかな?」

「ま、楽しみなさい」

「そうしよう」


二人で笑い合う。

そこに話しかけてくるカスミさん。


「タテヤ、私は鍛冶師なのだけれど連れて来られたのはどうしてだい?」

「いやー、現状生産関連がカスミさんしか居ないのでその辺についての相談と俺が獲って来る素材関連の事ですね」

「そうか、そう言う事だったんだね」

「理由も言わず連れ出しましてすいません」

「それに素材の売買に付いても私に一任したいんだろう?」

「お願い出来ますか?」

「やれやれ、引き受けるよ」

「ありがとうございます、カスミさん」

「それと私にも敬語は要らないよ」

「あ、はい。じゃあカスミ、よろしく」

「うん、よろしく」


笑い掛けられる。

やっぱり美少女は卑怯だと思います。


そうしていると到着した。

見た目は普通。

そして看板には。


≪ギルド:拳骨鍛冶屋≫


なんだろう、ドワーフ臭がする。


中に入ると筋骨隆々の男共が待ち構えていた。

あんまり変わらんかったね。

その中心から一人の男性が歩み出てくる。

巌の様な顔に違わぬ筋肉量。


「俺がこのギルドのマスター、ゲンコツだ。今回はよろしく頼む」


見た目通りでした。



場所を移して応接間の方でゲンコツさんと話す事に。

ヨミ達は話している間に相談をお願いしておく。


「さっきも言ったが改めて。俺はギルド拳骨鍛冶屋のギルドマスターのゲンコツと言う」

「ギルド宵闇の森のギルドマスターのタテヤと言います」


そう言うとゲンコツさんが目を見開く。


「ギルマス本人が出てくるとは驚いたな」

「さすがに大量の素材のやり取りになりますからね。それに一番の戦力との注文でしたし」

「ああ、そうだな。それと俺も面倒な探り合いは苦手でな」

「俺もですよ」


そう言って二人で笑う。

その後に表情を戻すゲンコツさん。

そして不思議な会話が始まった。


「早速だが素材調達についての依頼を頼みたい」

「品目は?」

「激昂の森の兎、狼、蟻、木、熊などの素材を頼みたい」

「目的は?」

「この街周辺で取れる物だけだと武器防具もあまり通用しなくてな、それを改善したい」

「理由は?」

「作れる物が少なくて暇だ」

「金額は?」

「適正価格に多少の色付けと宵闇の森に対して優先受注権を付けてやる」

「乗った」


その言葉にギョッとした顔を見せるヨミとカスミ。

いい笑顔になるゲンコツさん。


「よし来た。商品は今あるか?」

「ここに来る前に少し狩りをして来ました」

「助かるぜ。今出せるか?」

「量が量ですけど何処で出せば?」

「ああ、裏手に空き場があるからそこで頼む。それにしても大量にとはなあ」

「自分も共に行ける奴が居ないと暇なものでして」

「あっはっは!すげえ理由だなオイ!よし、お前さんからの依頼は俺に回して貰う事にしておく!」

「は?」

「あの魔王に注文を受けたとなりゃあ箔が付くからな」

「え、それでもギルドマスター直々とは……良いので?」

「ああ、良いんだよ。受け取っとけ」

「はあ、頂きます」


ぼんやり返答していると腕を引っ張られ振り返るとヨミとカスミの緊張した顔。


「ん、二人ともどうした?」

「私達に任せるって言っておいてなんで一人で纏めちゃうのよ!」

「ウチに卸す素材に関しての話が一切無かったんだけど」

「あ」

「あ、じゃないわよ!」

「それにレア素材とかもどうするつもり?」


その言葉に返してくれるゲンコツさん。


「ああ、レア素材に関してはそっちに戻すか買い取るかのどっちかだぞ?」

「え、そんなにこっち有利で良いんですか?」

「お前さんなあ……。持って来て貰うのはこっちなんだから当たり前だろう」

「あ」


そのやり取りに頭を抱える二人。


「ウチのギルマスはホンッと……ああ、もう」

「ねえヨミ、本当に大丈夫なの?さっきの商談」

「こっちで働けるのはタテヤ一人だけど数時間あれば莫大量の金になるわよ?」

「それに私はレア素材を基本的に使えるみたいだね。……少し、困る」

「PKに関しての心配なら昨日でもうやらないと思うわよ?」

「それなら、良いかな?」


そこで会話を区切りこちらにGOサインを送ってくるヨミ。


「ウチのメンバーからも了承は得られました。成立で良いですか?」

「細かい事はウチの素材関連仕切ってる奴とそっちの嬢ちゃん二人で頼む。俺は苦手でな」

「俺もですよ。それじゃ素材を置きに行きましょう」

「おお、頼むぜ」

「今日はサービスでレアも通常価格で買い取って貰って結構です」

「良いのか?」

「ただしこのギルド内だけで使い切って下さい」

「わかったよ。じゃ、成立だ。拳を出せ」

「はい?……わかりました」


向かい合って右手を突き出し拳を握る。

上下に振り親指と小指、小指と親指の順番で合わせた後正面から突き合せる。

その後二人でニヤリと笑う。

女子二人は引きライアさんは不思議そうな顔。


こうして商談は成立しコネを得た。

この後は人形技師を探しに行かないと。

どうやって探せば良いんだろうな。

まあどうにかしよう。



ゲンコツさんと話している時の記憶が無いのは何故だろうか。

緊張していたからですね。

やっと住んでいた方角が判明します。

次回からは街中散策の予定です。

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