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32 一対一と新装備とアッパーカウンター

そして戦闘終了後。

すっかり静かになったその場所に響くヨミの声。


「よし、集団戦はこれで終わりね。誰かまだやりたい奴は居るかしら!」


あ、そう言えば今日は一対一要員居ませんでしたね。

そう考えていると一人の男が歩み出てくる。


「すまない、良ければ手合わせをお願いしたいんだけど」

「ん?攻略組のガノンさんじゃない、どうしてここに居るの?」

「そこのタテヤ君があの偉業を成し遂げた本人だと聞いて興味があってやって来たんだ」

「どうりで私たちに興味の無い連中も集まってると思ったらそっちの用事だったのね」

「勝ち負けは特にどうでも良かったんだけどさっき戦ってみて一対一でやってみたいと思ってね」

「ああ、それぐらいなら構わないわよ」

「ありがとう。賭け等は無しで初期設定のどちらかの戦闘不能か降参で頼める?」

「タテヤはそれで良いかしら?」

「あ、俺の意見も言えるんですね」

「これについてはエキシビジョンマッチみたいな物だからねー」

「俺としては特に断る理由も無いかな。経験も積めるし」

「その発想が既に武人ね」

「そうかな?」

「そうよ?」

「それにさっきの前衛で強かったのが居たけど多分ガノンさんだったかな?」

「その割には秒殺してたけど?」

「そうしないと囲まれて動けなくなると思って焦った」

「さすがの察知能力ねえ」

「まあ、一対一の方が怖いんだが」

「装備はどうするの?」

「じゃあ俺は小盾二つにするか。あ、そうだライアさん、頼みたい事が」


そう言ってライアさんの前に行きちょっと特殊なお願いをする。

首を傾げていたが話を聞くと首肯してもらえたのでトレントの原木を渡す。

そうして作ってもらった物を携えてガノンさんと人で作られた輪の中央に行く。

装備は昨日買った布の服と小盾二つ。片方は新装備。サブは新装備を一つ。


静かになった円の中心でしばし雑談。


「しかし英雄本人と戦えるとはね」

「自分が使ったのって基本カウンターなんですけどね」

「それはわかってた。でもあんな使い方もあるんだね」

「偶然見つけました」

「羨ましいな。それにあの変形する盾は一体?」

「先生からの貰い物です」

「先生?それにしてもあんな装備があるのかい、この世界は」

「いつかは俺も作りますよ」

「僕もいつかは持てるかな?」

「楽しんでいればその内持てるんじゃないですかね?」

「そうだな、楽しもう。それとそちらの攻撃手段はあのスキルかい?」

「ですね。代わりに防御が0になりますがこの戦闘中は発動させ続けます」

「おお、良いのかい?」

「でもこっちも超攻撃力になるんで上手く捌いて下さいよ?」

「やってみよう」


そう言って口端を持ち上げてにやりと笑うガノンさん。

正直めっちゃ怖いです。


「じゃあ始めるわよ?」


≪PvP申請の申請が来ています。承認しますか?YES/NO≫


YESを選択。


カウントダウンは無くヨミの合図で開始される。

さて、作ってもらった新装備で何処までやれる事やら。


「いざ尋常に…… はじめっ!」



「職務投棄!」


構えは左半身の左前腕に小盾を付けて腹の前に置く。

右手は新装備。とは言え小盾なのは変わっていない。

変わっているのはそのサイズ。小さく丸い。

指ぬき穴は無くコの字型の持ち手でどちらかと言えば版画で使われているバレンを手に持っているというのが正しいかも?

なぜこのような構造と大きさにしたかと言うと。


盾を持ったままだと殴りづらい。


と言うのを昨日のライアンさん戦で最後に盾を離して殴った時に思ったのだ。

そして今日ライアさんが居た事によりそれは改善されるだろう。

それに指を緩めて手首の動きで手の甲側にも内側にも振り回せるので即座に殴れる。

ああ、これは良い装備ですね。

職務投棄が無いと役立ちませんけど。


対するガノンさん。

右手に剣、左手に盾。

盾を前面に出しとても硬そうです。

つらい。

これは長引きそうだ。

のんびり頑張りましょう。



強っ!ガノンさん、強いよ!

剣を左手で防いだと思ったら左の盾で殴り掛かって来るなんて!

視界が!視界が取れない!

とは言えこちらも超火力。

ガノンさんが被ダメ0に抑えるにはこっちの右手が軽く速度があるので苦労してらっしゃる。

ただこっちも斬るんじゃなくて刺されるとは思ってませんでした。

突きは被弾箇所の見当が付き難いんですよ!

しかも盾で身体を隠されているので剣の暴風ゾーンに行かないと直接殴れません。

ガード失敗で削ってはいるけど段々対応されてます。


辛い。


ありがたい事に攻撃力はそれ程無いらしいのだが堅実な戦い方をされてます。

盾で守り。剣で削り。すり潰す。

手数が!手数が多い!

く、くそう!こうなったらもうアレしかない!


「チェンジシールド!」


発動と同時に左前腕の小盾が消えて。

もう一つの丸盾を左手に持っていた。


行くぜ!ドヤ顔ダブルシールド!


「ふむ、速攻か。じゃあこっちも抜かせてもらおうかな」


えっ。

そう言ってガノンさんが盾を背負い取り出したるはもう一本。

あ、二刀流ですか。



イヤアアアアア!!



そこからは酷かった。


ガノンさんの振り回す剣を必死に両手で受け止めつつカウンターで削って行くのだが段々当たる直前に威力を抜かれている事に気付く。

それに気付いてからは微妙に当たるタイミングを早くしたり遅くしたりで対応していたのだが段々こちらの被弾が増える。

こりゃいかんと思い暴風雨の中に飛び込んでからも即座に剣を離しこちらに殴り掛かり蹴り掛かって来るガノンさん。

めっちゃ怖い。

どうにか腕を振り回し弾き返して行くも疲れが貯まって行く。

ああ、これはこのまま負けるかと思ったその時ぷつりと緊張が切れ身体が崩れる。

上半身を左に倒しつつふと右を見てみればガノンさんの顎。

ここしか無いと思い身体を引き起こしつつ左でアッパーを叩き込んだ。

吹き飛ぶガノンさん。そして動かない。


表示バーには気絶の状態異常の文字。


≪勝利条件を満たしました≫

≪プレイヤーガノンの敗北。プレイヤータテヤの勝利となります≫


どうやら、勝ったらしい。


静かな円の中しばらくするとガノンさんがゆっくりと身体を起こす。


「負けたようだ。気絶かい?」

「ですね。こっちも負けるかと思いました」

「あの瞬間唐突な動きに対応出来なかったのが敗因だな。狙った?」

「偶然ですよ」

「負けは負けだよ。それと良ければフレンドでもどうだい?」

「おお!ありがとうございます!」

「また機会があれば戦って欲しい」

「えっ、またですか」

「次までには強くなって勝ってみせる」

「今でも強いんですけど」

「今回はそっちの装備類のハンデ有りでも負けたんだ。強くならないと」

「ええ……」

「それにタテヤ君もこれから忙しくなると思うよ?」

「え、なんでです?」

「攻略組で今の所一番強いって言われてたの僕なんだ」

「……あー、面倒な事になりそう」

「何かあれば力になるよ」

「良いんですか?」

「ただし条件を付けても良いかな?」

「な、なんでしょう」

「たまに僕と戦って欲しい」

「わかりました……」

「じゃあ話はこれくらいで。ヨミさん!」

「はーい。戦闘終了!ガノンの負け!タテヤの勝利!」


その声に騒がしくなる周囲。

しかし俺は安堵と共にとある事を優先していた。


「よし、散歩の時間だ」

「散歩って?」

「ああ、少女との散歩の為にサクサク蹴散らす為にフル装備でした」

「この話を聞いたら参加してたヤツらは発狂しそうだね」

「あ、やっぱり?」

「僕もちょっとフラッと来たしね」

「まあイラついてたのもありますが」

「大半はファンだったり噂を聞いて実際に見てみようってのが大半だったけど」

「ああ、やっぱり。本気で粘着してる奴はGMコールで一発ですもんね」

「それに今は軽いけど後々重くなってお世話になるのも可哀想だからってとこかな?」

「ヨミがそこまで考えているとは……」

「幾らなんでも好意を向けられている相手を叩き落すって言うのは辛いからね」

「お、おう、重いですね」

「まあ、守ってあげなよ?」

「俺より強いと思うんですけど」

「壁でしょ?」

「あ」

「じゃあ今日はありがとう」

「ありがとうございました」


そしてヨミの声


「よし。じゃあ条件は飲んだわね!」

『はい!魔王を倒せるまで声掛けはせず見守るだけにします!』

「よろしい!じゃあ、解散!」


そして何故か俺に視線が向けられる。


『魔王さんすいませんでした!』

「あ、はい」

『では失礼します!』

「お疲れ様です」


こうして爽やかな朝は1349人を倒して始まりました。

あれ?

とりあえずライアさんを迎えに行こう。

あ、メンバーがめっちゃ話し掛けたそうにしてる。


どうしよう。

次回、ギルドメンバーから質問攻めと感謝の言葉!

をまともに聞けるかは未定です。


あとガノンさんの口調が安定してません。

ごめんなさい。

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