30 友人とのチャット 七日目
七日目。
「さて、いつも通りのチャットの時間です」
『なあ、こっちは口調どうすればいいんだ?』
「好きにしてくれ」
『色々困るわね、それ』
「こっちも困ってるからな?いきなりマジモンの女子と話すとかハードル高いわ」
『じゃあいつも通りで』
「ういー」
『まずは色々とありがとうな。あとごめん』
「構わんよ。あ、どこかであの動画に出てた奴俺だって情報流せるか?」
『目立ちたくないんじゃなかったのか?』
「そっちの盾になるならその方が良さそうだろ?」
『まあお前が有名になったくれたら挑む奴も減るだろうけど』
「それでもしつこい奴はフル装備で潰す」
『お前も物騒だな』
「さすがにあのメンバーイラつかせる馬鹿は吹き飛べば良いと思ってな」
『ありがとさん、気に入ってくれて』
「下心からの行動なんだがな」
『それぶっちゃける?』
「いやあ、男の子ですから」
『まあウチの面子引いてるけどな』
「え、引かれてるの?」
『一人で英雄話みたいに数百人ぶっ飛ばしたら、な』
「もしかして、不味かった?」
『普通にオッケー出したこっちも悪かったんだけど』
「なんで出しちゃったの?」
『いやー、あの動画見た後だとネタ知ってる身としては大丈夫なんじゃね?って感じで出しちゃった』
「なんと言うか、女の子だらけだし多少は仲良くなれるかなって思ったんだけど」
『しばらくは無理そうだな』
「ですよね。まあヘタレなんでそもそも話し掛けないと思います」
『お前……。まあこっちの紹介で入ったんだから燃やされるなよ?』
「あ、やっぱり消し炭コースあるんですね」
『あと泣かせたら私直々に斬る』
「ですよね」
『で話は変わるが今日は何があった?アル、だっけ?』
「ああ、今日は朝起きたら先生とアルさんに腕ひしぎ十字固めと四の字固めを掛けられてな」
『改めて聞いた所でシュールなのは変わらんな』
「まあその後土下座が並んだわけで」
『うわぁ……』
「その後は詫びにとまた神話的装備を渡される前に罰として朝食抜きと正座を命じたんだ」
『お前感覚麻痺して来てね?』
「自分でもそう思う。で今日はヤクさんという方も居てな」
『ああ、昨日言ってたもう一人か』
「おう。でその方からお詫びを貰う事になったんだが」
『で、何もらったんだ?』
「街までの道案内」
『道案内?』
「ドライアドのライアさんと言うお方が気付いた時には傍に居た」
『なんと言うか、凄いな』
「ニコニコ笑顔の緑髪の可愛い少女に手を繋がれ街へと向かう事になったんだが」
『なんと言うか、腹立つな』
「なんで!?」
『そこだけ文が長いとな、わかるんだよ』
「ごめんなさい。でテクテク歩いてたんだが」
『え、歩くだけでも何かあったのか?』
「まず木がな、道を開けるんだよ」
『は?』
「木が唐突に根っこを器用に使いつつ道を開けてくれるんだ」
『…は?』
「でライアさんの歩いた後に草花が生えて行く」
『お、おお』
「で何故か俺の体が光る」
『なんでだよ!?』
「で光ってると木々の動くスピードと草花が生える速度が上がってな」
『木々?もしかして緑龍か?』
「かもしれん。緑色だったし」
『そこで気付けよ!』
「ライアさん話せないからずっとニコニコ笑顔で返されるんよ」
『ああ、それは、聞きにくいな……』
「最終的には数十メートル先まで道が開いた状態で歩いてた」
『凄いなライアさん』
「でも街が見えた所でテンション上がっちゃって叫んだらションボリされた」
『よし斬る』
「待って!その後挽回したから!」
『まあ話を聞こう』
「でもその時あげれる物無かったからトレントの原木渡して何か作ってくれないかお願いしたのよ」
『作らせたのかよ』
「持ってるもの古代龍素材と古代龍ポーションとモンスタードロップ品だけだったんだもの」
『ああ、それは、キツイなあ』
「そしたらちょっと笑顔が戻って受け取ってくれた」
『おお』
「そしたら手元が光ったと思ったら小盾二つと大盾一つと熊の木彫りを貰った」
『おいちょっと最後なんだ』
「今にも口に咥えた魚の腹を食い破りそうな躍動感のある熊の木彫りを貰った」
『詳しく聞いた俺が馬鹿だったのか?』
「いや、俺も最初なんでそのチョイス?って思ったんだがステータスがな」
『色々凄かったのか?』
「盾の方は街売りと一緒だったんだろうが熊は
トレントの木彫り熊 品質A+ レア度5
トレントの原木を圧縮した後作られた木彫り熊
空気を清浄にする効果がある
ドライアドからの贈り物
観賞用
と言う物でな」
『片手間で貰って良い物なのか?』
「ただニコニコ笑顔が戻って欲しくてやった事やねん」
『戻ったなら多少は良いか』
「でまあ森を出た後それらをつけたり持ったりしてお披露目したら拍手を頂いた後にな」
『後に?なんだ』
「調子に乗って片膝拝謁姿勢またやってん」
『何か嫌な予感がするんだが』
「頭に手をかざされてな」
『おい、おい』
「祝福【森の散歩の仕方】を頂いた」
『何それ』
「わからん。多分森が歩きやすくなるんだと思う」
『本当に何貰ってんのお前』
「なんでだろうな……」
『で、後は街か』
「そう言えば自分が戦ってる様子ってどうだった?」
『こっちから見た物は扇げば後衛壊滅突っ込めば前衛壊滅突っ込めば全滅の三つ』
「おおう……」
『いやあ実際に戦闘させられた面々はこっち飛んで来てから怯えてたわ』
「あー……突っ込んだ辺りから記憶が飛び飛びなんだよな」
『戦闘ハイって奴か?』
「一杯一杯の状況で戦闘したからそれで飛んだんだと思いたい」
『でも笑顔だったんだよな?』
「笑ってた記憶は有る」
『まあ相手させられた男共はこれでもう大丈夫だろ』
「だと良いなあ」
『それに情報流すんだしレイドボス相手に喧嘩売る奴なんて出るのか?』
「ああ、そう言えばそうだったな、そんな事もあった」
『忘れてんじゃねえよ』
「色々起こり過ぎて多少の事では動じなくなってしまった」
『ああ……。あ、そう言えばアリスとカスミがお前の事気に入ったらしい』
「何!?それは本当かヨミ!」
『動じてんじゃねえか!』
「いや気に入られてるとは思わなくてな」
『戦闘の事に関しては引いてたぞ?』
「調子に乗ってごめんなさい」
『まあ後は会わせた後なんだがやっぱりステータスの差って理不尽だよな』
「俺に言われてもなあ…」
『まあ壁役と言うかなんだろうな、何、あれ』
「まさかフォートレス一発であんな事になるとは」
『お前の10分の一って100以上増えるからな?』
「良かれと思って…」
『あと挑発も効き過ぎじゃね?』
「良かれと思って…」
『まあまた色々頼まれてくれ』
「はいよ。しばらくは街に居るが何しでかすのかなあ俺」
『何かしでかすの前提かよ。何があった?』
「色々」
『まあこっちに迷惑が掛からない程度に頼む』
「ハハハ」
『おい、お前、ホンッと頼むからな?』
「いやあレイドボス倒した奴雇った時点で今更でしょ」
『まあ、そうだけど、なあ……』
「まだ一週間なんだぜ?これで」
『そう言えばまだ一週間だったな……』
「何が起こるかわからんもんだな」
『ホントにな』
「それじゃあそろそろ寝るか」
『そうしよう』
「それじゃまた」
『また明日』
「うーい」
主人公も男ですから淡い期待は抱いてますが
自分で砕いている事に気付かされました。




