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03 ダンガロフ師匠

爺さんが道中の兎や狼やその他色んなモンスターをばったばったとなぎ倒して行くのを眺めつつ道なき森を歩く事一時間。


「着いたぞ」


その声に顔を上げると目に飛び込んで来た光景。


「おお、森の中の一軒家」


良い感じの森の中の一軒家。

ちゃんと壁もあった。


「まあ獣道程度じゃが町までの道もあるがの」

「無いと困ります」


絶対、迷う。


「入り口はこっちじゃ」

「あ、はい」


家の外観は日本の平屋の瓦屋根。

さっきは見えなかったけど離れには道場っぽい建物が見えてる。


「そう言えば貴方はどうしてここに?」

「ああ、町だと騒がしくての。友人に建ててもらい住んでおる」

「修行ですか?」

「それもあるが森の調整役じゃな」

「調整役?」

「モンスター共や他の生き物が減り過ぎても増え過ぎてもいかんからの」

「調整って難しくないですか?」

「なに、適当に狩るだけの事よ」

「狩れるだけでも凄いと思うんですが……」


そうかの?と言いつつ扉を開けてくれる爺さん。

部屋の中にはキッチン、テーブル、本棚、薬品棚など。

窓枠の方には袋口から多分薬草?が詰まった袋が吊るされていた。


「茶を淹れてくる、その辺に座っておけ」

「はい」


そう言うとキッチンに立ってお茶の準備をする爺さん。

背もたれ付きの丸椅子に座り、部屋の中を見ていると声が掛けられる。


「そう言えば名前を聞いとらんかったの。わしはダンガロフと言う」

「タテヤと言います」

「武器はその盾だけか?」

「実は職が両手盾でして」

「なんじゃその職業は」

「戦闘時の壁役でしょうか」

「攻撃手段はあるのか?」

「タイミング良く受けられればカウンターが出来ますね」


受けれないと攻撃手段無いんですけどね。


「ふむ、【ジャストガード】に【ジャストカウンター】は取得済みか…」

「知ってるんですか?」

「ワシも使えるからの」

「え?」


ダンガロフ爺さんを見る。

太い腕、太い足、鍛え上げられたと一目でわかる首の太さ、そして全身に残る数々の傷跡。

装備は籠手に鉢巻、道着と言った所でこの人の何処に防御要素があるのだろうか。


「まあ少々特殊なスキルじゃからの」

「ええー…」


かかと笑いながら湯呑みを持ってくるのを受け取りつつ対面にダンガロフ爺さんが座るのを待つ。


「さて、お主は何処から来たのじゃ?」

「それがわからない、としか」

「それにしては綺麗な服装じゃのう」

「最初の装備らしいですね」

「何故あの熊に立ち向かった?」

「足が動かなかったもので」

「ふむ、恐怖心は持っているのか」

「目の前に立たれたら普通は恐怖しますよ」


そこまで言った所で爺さんが少し考えこむ。


「ワシから提案と行こうかの。お主、ここで鍛える気は無いか」

「は?」


唐突な切り出し方に面食らう。

それを見てダンガロフ爺さんはにやりと笑いつつ会話を続ける。


「具体的にはジャストガードを扱えるようになりたいとは思わんか?」

「それはなりたいですが…」

「何、タテヤはただ鍛えるだけ、その他はワシ持ちじゃ」

「お願いします」


対価無しとかやったぜ!


「なんじゃ、もう少し悩むかと思ったが」

「現時点で何をするかも決めていませんでしたから」


ここが何処かすらわかってないしな!


「まあこちらとしては久々に面白い事になりそうじゃからいいがの」

「え、何をするつもりで」

「なに、お前の為じゃ」

「は、はあ」

「妙に小心者じゃのう、まあいい。始めるぞ」

「はい」


≪先駆者からの試練が開始されました!≫


これってイベントなの?

それにしても先駆者ってなんだ?

試練の時点で嫌な予感しかしないし。


「ワシの事は師匠とでも呼べ」

「わかりましたダンガロフ師匠!」

「後はまあ死にかけたらワシがなんとかする」

「はい!  えっ」


まあなんとかしましょう。

頑張れ!俺!


「さてまずはお前の力を見る為に一つやってもらうとしよう」

「熊は嫌ですよ?」

「それはいずれ挑ませるから安心せい」

「え」


既にトラウマを植えつけてくれたアイツと?

いずれ?


「まずは小手調べじゃ」

「はあ」

「兎を狩って来い」

「兎?それぐらいなら一人でも…」


最初に挑むなら兎くらいなら問題無い。

そう思っていました。


「激昂兎じゃが大丈夫か?」

「見守って下さい」


この森、なんなのさ!

全部激昂してるのかよ!


「うむ。では行くか」

「はい」


そうして修行が始まった。



そして十数分後。


「兎に殺される!」

「防御力が足りんかったかのう」


HPバーを残り2割にまで削られて兎から逃げ惑う俺と。

その兎をパンチ一発で倒す師匠の姿がありました。

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