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25 適応と気絶と土下座

七日目。


爽やかな朝です。

でも起きれるかと言われれば無理だと言うほかありません。

左手を見るとルーネ先生が腕ひしぎ十字固めを決めていて。

足元を見ると何故か昨日のアル様と呼ばれていた女性に四の字固めを掛けられています。

先生の胸の感触は今日は革鎧だったのでありませんでした。

期待していた訳では…。


期待してました。


この世界の龍は関節技を寝ぼけながら掛けるのが好きなんでしょうか。

とても知りたく無いです。


首と右手しか動かせない状態にデジャヴを感じます。

そしてまたログアウトの文字が灰色なのを確認してから通知を確認。

ヨミから本人だとわかる情報と一緒に申請が来ていたので受諾。

後はやっぱり加護の通知が来てる。


≪加護【緑龍の加護】によるステータス向上があります≫

≪加護【緑龍の加護】により攻撃力が変動し『両手盾』が『騎士』になります。宜しいですか?YES/NO≫


NOを選択。


≪加護【緑龍の加護】による攻撃力増加から『両手盾』を維持する為に攻撃力の変動を無効にしますか?YES/NO≫


YESを選択。


≪加護【緑龍の加護】による攻撃力増加分のポイントがBPに加算されます。宜しいですか?YES/NO≫


YESを選択。


≪加護【緑龍の加護】の適応を完了します。宜しいですか?YES/NO≫

≪拒否した場合は最初の設問からとなります≫


YESを選択。


≪加護【緑龍の加護】によりステータスが向上しました≫


どうなるんでしょうね?

予想は付けてるけど。

現在のステータスは。



名前 タテヤ Lv25

職業『両手盾』Lv3

攻撃 0

防御 760(+100) +130

俊敏 320(+100)

精神 320(+100)

知力 320(+100)

生命力 320(+100)

残BP 150 (+100)

残SP 240



あっはっはっはっは!



ですよねー。

ネタキャラには間違い無いしドヤ顔ダブルシールド(籠手)と言うのも一応達成は出来てるけどなんだろねこれ。

何をどう間違えたのか。

そうしてまた何かを諦めさせられてぐったりしているとテントの入り口が開く音。

救いの音だ!


そちらを見るとテントの中を覗き込む師匠ともう一人の二本角の男性。


「ルーネ師匠、アル様、朝ですぞ」

「アル様、ネフィリム様、朝でございます」

「し、師匠!ヤクさん!助けて下さい!」


そこで二人は俺の現状を確認した後二人で目を合わせてから一度うなずきこちらに目線を戻しこう言った。


「すまぬ」

「すまない、少年」

「またですかぁ!」

「ワシらとしても師匠達に蹴られて死にたくは無いのでな」

「と言う事だ。何、死にはすまいよ少年」

「ええー!?」

「タテヤ君」

「少年君」

「あっ、起きてくれますか先生!アル様!」


「「うるさい」」


「あっちょっ、人の関節はそっちには曲がらな   アアアアアアアァァァッァァアー!」


そうして気絶した後俺の上に乗っかるルーネ師匠と足元で身体を丸めて寝るアル様の姿があったそうな。

HPは残り5%くらいだったらしい。


「またなんとも惨い技じゃのう」

「この少年は何か持っているのだろうね」

「何を成すのやら」

「何を成しても面白い、だろう?」

「違いない。さて、起こすか」

「ああ」


その後しばらくして先生方が先に起きたらしく今度は関節を極められていなかった。

先生はともかくアルさんはどうやって入ったのだろうか。

そしてどうして普通に寝てくれないのか。

美人の添い寝とか夢じゃなーい?

俺がテントを出ると師匠とヤクさんの前で正座させられている龍二人。

凄い光景ですね。

俺の中の龍の威厳たっぷりのイメージが吹き飛んで行きます。


「起きたか。ルーネ師匠?」

「おはよう少年。アル様、何か言う事は?」

「「ごめんなさい!」」


そう言って土下座をしてくる龍二人。

まずはそのままの姿勢で素早く三歩ほど後ろに後退りし再びの正座。

そして「「申し訳ございませんでした!」」と言いながら頭を下げ地面から一センチの高さで固定。

俺の目の前に美人二人の完璧な土下座が並ぶ事になった。

何この状況。

どうすれば良いの?


「師匠、ヤクさん。俺はそこまで怒ってないんですがどうすれば良いんでしょう」

「甘いのう」

「甘いな少年。この方達は甘やかされるとどんどん甘えに来るぞ」

「具体的には?」

「笑顔で抱きつかれた時は鯖折りになりかけたのう」

「私もですね」

「えっ……」

「じゃから何かしらの罰を頼みたい」

「要求出来る物なら言ってくれれば用意する」


そこまで言われた所で先生とアルさんが元気良くこう言った。


「じゃあお詫びに良い物あげないとね!」

「とっても良い物あげないとダメよね!」


「まさかその一言言う為だけに気絶させたとか言いませんよね?」

「い、言わないわよ~?い、言わないからね?」

「い、言いませんよ~?い、言わないですよ?」


「師匠、ヤクさん」

「ギルティ、じゃの」

「ギルティ、ですね」


「じゃあこの二人の朝食抜きでお願いします」

「わかった」

「腕によりを掛けて作りましょう」


「「そんなー!」」


「あ、正座は継続で」


「「ええー!?」」


「しばらく反省しておいて下さい」

「ふむ、師匠達には効くのう」

「龍相手に臆したりしない子供は珍しいね」

「ま、たまにはええじゃろ」

「ですね。少年、水汲みをお願いしたい」

「わかりました」


「「あ、朝ごはーん!」」


二人の叫び声を聴きながらも俺と師匠とヤクさんは朝食を作りに焚き火の傍に行く。

何故褒美で渡すと言う発想が無いのか。


不思議です。


食事を取りつつ師匠からの話を聞く。


「さて、お主に渡す物じゃがまずは昨日渡したポーションじゃ」

「ああ、先生の血入りのあれですか。良いので?」

「まだまだ余っておるからの」

「そ、そうですか」

「後はワシとルーネ師匠の連名での紹介状じゃ。二通ある」

「何処と何処でしょうか」

「冒険者ギルドともう一つは王宛じゃの」

「師匠、師匠、そんなもんポンポン渡さないで下さい」

「何、近況報告も兼ねておるからの。行った際に頼む」

「それぐらいなら。わかりました」

「次はアル様とヤク殿からじゃ」

「はい?」

「少年、私達からは少年に町までの道案内を付けたいのだがどうかな?」

「おお、ありがとうございます」

「受け取ってくれてありがとう。もうそこに居るよ」

「はい?」


ふと右袖を引かれる感触があったのでそちらを向くと袖を掴んでいる緑髪の少女。

ニコニコ笑顔でこちらを見上げている。


「どわっはっ!?」

「その子はドライアドのライア。森の中の案内なら彼女に任せると良い」

「は、はい。道案内よろしくお願いします」


そう言ってライアさんに頭を下げると今度は手繋ぎになった。

おおうすべすべしてる。


木だけに。


「後はそこの先生方ですがどうしましょう」

「何、放置でええじゃろ」

「後は任せて下さい」

「は、はあ……。では行って来ます」

「うむ、行って来い」

「またこちらに来た時はよろしくだ少年」

「では」

「うむ」


こうして俺は出立した。


「「あっちょっと待ってよー!」」


と言う声を聞きながら。

いよいよ町です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 逆に能力制限の装備でも貰っておけばよかったですねぇ...そんなもの力を隠すつもりもない龍達が持っているかはともかく
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