17 四の字固めと気絶と大盾
五日目。
今日は胸の上にルーネ先生が乗っていないようだ。ああ良かった。
しかし起き上がろうとすると腰から下に激痛。
ギャアアアアア!?
耐え切れず布団に落ちる。
「今日は一体何…… 四の字固め?」
師匠が貸してくれたベッドは広い。
足の方を見ると寝息を立てているルーネ先生。
綺麗な脚線美が先に見える。
そしてその脚で俺の足をガッツリ固めてある。
動かないなら痛みは無く動いた瞬間キッチリ決まるようだ。
ただこちらが動こうとした瞬間寝返りを打つそぶりを見せるのはやめて下さい怖いです。
先生は何を思ってこうしたんだろうか。わかりません。
しかし外そうにも上体を起こせないから手が届かず。
起こさないまま身体を捻って足に手を伸ばそうとすると極められる。
どうしよう。
そして今日もまたログアウト出来ません。
あっ嫌な予感がする。
そうだ!こんな時にはあの人が居るじゃないか!
「ルーネ師匠、タテヤは起きましたかの」
「師匠、助けて下さい!」
「おお、起きたか」
「それでですね!ルーネ先生を起こして下さい!」
「またか……今日は何をされとるんじゃ?」
「寝ながら四の字固めを決められてます!」
「……そうか」
「えっあの師匠!助けは」
「タテヤ君うるさい」
「あっごめんなさ ッアアアアァァァァァァァ!」
そして思いっきり身体を捻られたと共に激痛で俺は意識を失った。
またかあ……。
「なんじゃ!?……ああ、これは逃げれんのう」
そうして師匠が見た物はHPバーがほぼ無くなっている俺の姿と。
その上に乗って寝ているルーネ先生の姿だったと言う。
その後しばらくしてルーネ先生が先に起きたらしく今度は関節を極められていなかった。
ログアウトも出来るようになっていて何が原因だったのだろうかと思うがわからない。
先生は何故関節技を掛けたがるのだろうか。
俺がテントを出るとダンガロフ師匠の前で正座させられているルーネ先生の姿。
昨日も見ましたね。
「師匠、先生。おはようございます」
「起きたか。それで、ルーネ師匠?」
「寝ぼけちゃってごめんなさい!」
そう言ってルーネ先生に土下座をされる。
何この状況。
古代龍に関節技決めた事を謝る為の土下座されてますよ。
でも俺の頭の中は美人さんが土下座してる!?で一杯です。
色々麻痺してますね。
「お詫びに良い物あげるから許して!くれないかな!?」
「師匠、受け取ったらどうなると思います?」
「まあ強くはなれるじゃろう」
「でも確実に最後の一つの盾ですよね」
「そうなるじゃろうな」
「どうしましょう」
「まあ、お主が決めれば良い」
「はい」
「う、受け取ってくれるかな?」
「受け取りましょう」
「よし。じゃあこれね!」
「ああ、やっぱり大盾……」
「なんと言うか何が起こるか予想が付くのう」
「ポンポン貰って良い代物なんですかねえ」
「謝る為に渡すとは前代未聞じゃろうな」
「ですよね」
そうして渡された物がこちら。
???の大盾 品質?? レア度??
???で作られた大盾
装備者を攻撃から守り続ける
防御+40
自己修復【特大】
ああ……。
大盾は長方形で下部一辺を引っ張り尖らせたような形状をしておりその大きさは俺の背丈と同じくらいか。
色は所々に使われている接合部や固定具の素材以外は真っ白である。
これもまた表面がうっすら脈打っている。
「じゃあ装備しますね」
「うむ、気をしっかり持て」
「良い物になると良いわね!」
「能力解放しなくても凄い物なんですけど……」
昨日のチャットで受け取らないと言っていたにも関わらず受け取ってしまったなあ。
この現状を見たらアイツは何て言うだろうか。
それに先生まだ正座してるし。
中身を知っていると驚くしかないよなあ。
軽く現実から目を逸らしながらも大盾を装備する。
これも普通に装備出来た。
「さて今度は何が起きるのか」
「凄い事が起こると思うわよ?」
「ですよね」
大盾の色が変化する。
全体が白から青く変化し白を残したまま緑色赤色黄色金色など様々な色が流れ出でて流水を描いていく。
次に桜を基本とした花びらが描かれて行き最後に動きが止まればその表面は絵画のよう。
今度の変化は色だけではなかった。
まず盾の表面にびっしりと文様が光ながら浮かび上がり盾が二枚分の分厚さになり。
それに合わせて手元にレバーの機構が浮かび上がり固定される。
それに加えて盾の下部一辺の部分が尖っていたのが長方形に戻る。
その変化が終わると文様は消えて行き裏側に何かの幾何学図の様な物を残していった。
「おお、綺麗ですね」
「見事なもんじゃの」
「スキルはどうなったかな~?」
そして通知の音。
≪加護所持者の為情報が新規開示されます≫
≪加護所持者の為能力が新規解放されます≫
≪大盾の『両手盾』専用スキルが解放されました≫
≪スキル【地足根張】を取得≫
≪スキル【シールドチェンジ】の機能が新規解放されます≫
予想は出来てた。
でもここまで来ると乾いた笑いが出て来ます。
今度はスキルが変化しましたかそうですか。
でも見ないと行けませんよね。
耐性系じゃ無いとすればどんな風になるんだろうか?
古代龍の大盾【両手盾】 品質XX レア度XX
古代龍の骨と鱗と血から作られた大盾
装備者を攻撃から守り続け誰もを守る
防御+40
自己修復【特大】
new!両手盾専用スキル【地足根張】を取得する
new!内部機構を展開する事により砦盾となり防御力が+60される
new!砦盾展開時装備者の防御力を基礎として20%の防御力をPTメンバーに付与する
new!ステータスの防御力にシールドチェンジで追加された特殊枠内の盾の防御力が加算される様になる
new!カウンター発動時に全状態異常を付与し反射する
new!両手盾職が装備時両手盾扱いとなりカウンター発動可能
【地足根張】
地面に根を生やした大樹の如くその場から動けなくなる
攻撃に対してのカウンターに1.1倍の補正が掛かる
両手盾専用スキル
【シールドチェンジ】
現在使用の盾を特殊枠の物と入れ替えられる
スキルレベル上昇に従い枠の数が増える
new!ステータスの防御力にシールドチェンジで追加された
特殊枠内の盾の防御力が加算される
……。
…………。
うわぁ。
何コレキモイ。
いや凄い。
とりあえず確認していこう。
【地足根張】、これは動けなくなる代わりにカウンターに火力補正が掛かるのか?
挑発を取れば結構使えそう。
砦盾はこのレバーを引けば良いのかな?+60って凄い筈なのに霞んでる。
展開するとパーティーメンバーに俺の防御力の5分の1の数値を付与するっぽい?
シールドチェンジの特別枠内の盾もステータスに追加されます。
えっと元々は特別枠はスキルで追加されてて一々装備変更しなくてもスキルで一発交換が出来る
でも防御力は加算されて無かったのを加算されるようになったと。
防御40の盾を持ってて防御40の盾が特別枠内にあったら合計80プラスになる、と。
最後。この盾でカウンター発動したら状態異常のおまけ付きで反射します。
何この盾!
纏めの時間だ!
四の字固めを食らって気絶した
美人に土下座され謝罪に大盾を貰った
スキルが解放されて超絶頑丈になった
カウンターで状態異常確率ウッハウハ
何がなんだかわからんな!
え、これ一体何が起こったの?
ケミカル反応?
加護と素材が反応しちゃったの?
もうお腹一杯です!
「今度は何を引いたんでしょうな」
「良い物だとは思うけどね?」
「良い物過ぎて困る者も中には居るのですよ」
「そうなんだ。人って面白いね!」
「もう少し自重してくだされ……」
「やだ!」
「……忍び込むのを禁止しましょうか?」
「ごめんなさい!」
迂闊に発動できないスキルと装備が増えました。
えらいもん渡されました(パート3
ルーネなりの渡す為の切っ掛け作り。




