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2-37 芯入り

空は未だ爆砕時の噴煙収まらぬ中。

瓦礫が結界の上を都市外に流れ落ちて行く様を視界に収めつつ。

自分とヨミ達は闘技場の土の上に転がっていた。


そして上の方から魔族がしてやったりと煽りつつ爆笑している声が聞こえる。


ただ。

先生はなんか爆笑してる気がする。

師匠は呆れ顔で溜息吐いてる気がする。


気がする。


「前に落下した時は地面だったからクレーターになったけど上向きだとこうなるかあ」


上を向きつつぼんやり呟いてみると少しして。

視界の下の方から腕が伸びたかと思うと胸倉を掴まれガクガク揺さぶられ始める。


「アンタねぇ……っ!先に言っときなさい!」

「ぐぇ、ぐぉ、うぉ、うぇ」

「地面を転げまわっただけで何人か落ちそうになったんだけど!?」

「ぐぅ、ぐご、ぐげ、ご、」

「あ、流石に話せないか。ごめんごめん」

「ぐえっ」


ぱっと手を離され再び地面に落ちた後周りを見渡しつつ起き上がる。

一名以外は皆地面を転がったようで大体土に汚れてみすぼらしくなっていた。

そんな中でも普通に立っている大型新人。


「ツルギさんの前の地面だけなんか抉れてるんだけど」

「爆風にイラっと来たから斬ってみたら上手くいったわ」

「斬れるんだ……」

「おかげで直剣一本消し飛んだけど」

「戦う前からその消耗アリなの?」

「ナシに決まってるじゃない」

「ご、ごめんなさい」


まあ予備はたくさんあるけどね、と言いつつ給弾ベルトの如くナイフが並んだ革ベルトを装備しだすツルギさん。なんかニコニコしてるけどあからさまにキレている感じがするんですが。

よく見ると汚れほどではないものの若干土煙を被ってしまったのか見た目が少し土色になってる。

な、なるほどぉ……。


「なんで自分の女性の知り合いは皆物騒なんだ……」

「アンタ喧嘩売ってる?」

「滅相もない!」


つい呟いてしまった所でヨミに睨まれつつ、再び空を仰いでみればそろそろ噴煙が闘技場外に流れ、また再び発動陣が見えるようになって来ていた。





『馬鹿なぁーっ!?むむむ無傷!?無傷だとぉー!?』


何処からか聞こえてくる魔族の声。

確かに被害は建物の倒壊などで出てはいるもののまあ規模としてはほぼ無傷だろう。

自分が先ほど失敗していた場合大変な事態になっていた筈だろうし。


『いったい誰が邪魔を……、そうか!報告にあった弟子とやらだな!』


一部だけです。


あれこれ文句を言いつつも更に魔族は声を投げてくる。


『あの結界だけならば砕ける算段だったものを……、しかし即座の二発目ともなれば結界の準備も流石に間に合う筈もないだろう!』

『しかも一発目で大体の強度は知れた、聖女と言っても次は耐えられんだろう!』

『絶望に沈みながら大地が割れるのを見ていくがいい!』


『あーっはっはっはっはっは!』


高笑いが響き渡ると同時。

空にあった発動陣が更に上空に遠ざかり。


視界の中に全て収まるようになっていた。


『まずはこれだ』


そして発動陣の中心が光り始める。


『そして発動まで……ふむ、やや掛かるか。まあいい』


おそらくと言うか確定事項だろうが光が端まで辿り着けば降ってくるに違いない。


『おっと、これはおまけだが、なに、もしもの事もあるからな』


更に発動陣の前にやや小さい複数枚の発動陣が設置された。


『更に勢いを足してやれば流石にどうしようもないだろう』


しかも今度は莫大量の加速を伴った上でだ。

厄災が降ってくる。



ただまあ。

上から声が届く。


「タテヤくーん!ちょっと上に来てもらえるー!?」

「なんですか先生ー!」

「作戦会議するよー!」

「わかりましたあー!」


なんとかなる気がするのもまた事実。





VIP席。


「まあ殴ってもらう事には変わりないんだけどね?」

「あ、自分が壊す事には変わりないんですね」

「いやー、それが次のは壊すとこの辺一帯が汚染されちゃうのよねえ」

「えー……?」


先生が言うには先程の一発目の吹き飛び方を見て口があんぐり開いていたVIP席の面々だったが、魔族の少女が気を取り直した所で説明していなかった部分を思い出し、慌てて二発目に降ってくる岩について説明をしてくれたらしい。

成分は大半が岩と言うか岩山なのだが内部が加工されており、中に針状に加工した物体が仕込まれているようで、外側を破壊した所で中身が出てくるだけ、と言った仕様になっているらしい。

先ほどの岩塊はただ落としてきただけなのでああ言った対処法になったものの、次の場合は芯になっている素材が問題になった。


「簡単に言うと魔結晶の塊が芯になっちゃっててね?」

「ええ……?」

「しかも破壊された場合時間差で爆発するよう加工されてるみたいでね?」

「えええ……」

「まあ外側だけなら私でも綺麗に砕けるんだけど内側までそれをやっちゃうとね?」

「やっちゃうと?」

「土壌が汚染された上で魔素濃度が上がり過ぎて不毛の大地になっちゃうの」

「なるほど」


なるほど。


「ハタ迷惑ですね?」

「迷惑よねー」


なので自分は若干ややこしい事をやる事になった。


「まず外側は師匠他トドロキ達で落ちてくる間に削っておいて、その後芯が見えるまで先生が削ってそれから自分が殴って芯を無傷で受け止める、と」

「流石に地形に倒れこんだだけじゃ傷もつかない硬度だから安心してやっちゃって☆」

「それはまあ良いんですけど……」

「ん?何か説明し忘れた事とかあったっけ?」


いやまあなんとなく思った事なんですけど。


「受け止めた後一番先に潰されるのって自分なのでは?」

「その辺はダンに調整させるから大丈夫!」

「師匠が?」


ダンガロフ師匠に視線を向けると驚愕の表情。


「ルーネ師匠!?流石にあのサイズの芯となると塔クラスの重量に……」

「前に一回城壁受け止めた事あったじゃないの、大丈夫大丈夫!」

「いやあれは単なる石壁……、魔結晶となれば密度と重量が桁違いに違うんですが!?」

「ダンには倒す方向の誘導をして欲しいのよねー」

「あ、ああ、誘導ですか……」


自分が勢いを止めるのは前提として、そうした所で都市の一部は潰れるので重要施設を巻き込まないように師匠が調整をしないといけないらしい。


「流石に止めた直後のタテヤ君は潰れてると思うし」

「先生!?」

「師匠!?」

「あ、じゃあこれも修行にしよっか。生き残りなさい」

「先生ー!?」


その後師匠と一緒に先生と暫く言い合いをして。


結果。

周りの偉い人達から畏怖と憐憫と同情の視線と一緒に、解決したら色々便宜を図ってもらえる事になった。

魔族の少女はドン引きしていた。


ちなみに自分が少しでも打ち消しに失敗すると闘技場の周辺が更地になるので偉い人達は師匠と先生がガッチリ守るらしいが自分に関してはやや放っておかれるらしい。



す、スパルタ……。

ちょっとコロナに掛かって暫くぐったりしてました。

投稿の方も何週かに一回程度でお見逃し下さい。


今は元気になりました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 一気に読んでしまいました、とても面白かったです 続きを楽しみに待ってます
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