2-24 四十二日目
≪賞金首特別ポイントについて≫
≪特別ポイントは予選参加者が賞金首に狩られた際に付与されます≫
≪付与された当人の獲得ポイントには加算されません≫
≪ポイントとして得るには付与された人物をPvPで倒す事で入手可能です≫
≪よって賞金首の方は積極的に特別ポイントを振り撒くようご活動下さい≫
要するに賞金首から返り討ちに遭ったら周りから狙われる様になります、と。
加えて昨日自分が狩り続けたので参加者間に大量に特別ポイントが溢れている。
と言う事から特別ポイントを奪い合い予選は加速して行っている様だ。
それはさておき。
鬼面を付けた鎧武者が見守る前、二人のプレイヤーがPvPモードで戦っている。
お互いに丁寧な試合運びをしながらも自分の方に目をやってはまた戻す。
幾度か繰り返している内に何となくロールプレイがしたくなった。
題目は勿論あれだ。
「まさかPvPの最中の所には乱入出来ないなんて……、悲しいと思いませんか?」
とても、とても残念そうな声音で話し掛ける。
その言葉の裏にはプレイヤーをキルしたいと言う思いが籠もっている。
適切に伝わったのかプレイヤー二人の顔が歪む。
「来ないで下さいお願いします!」
「俺らもう暫く掛かりますから!」
鍔迫り合いを続けている二人は悪寒を感じたのか声を上げる。
自分は嬉しそうにサムズアップをし、どうぞ待ちますと言った身振りを示す。
もちろん無言でだ。
「く、くそっ、もう試合時間が残ってない!」
「なんで他の奴等を襲ってくれないんだ!?」
何とかアイコンタクトにより引き伸ばし続けていた試合の終わりが迫り焦る二人に対して自分は大仰な身振り手振りでもって訴える。
「特別ポイント」
「あっ」
「まだ渡してないですよね」
「ああ……」
「だから渡そうと思ったんですよ!」
「「別の場所行ってくれませんかね!?」」
「あっはっは」
あえてこの場に留まる理由は一つ。
そっちの方が面白そうだから。
加えてギャラリーも多い為この後の動きが周知される事だろう。
PvP中は隠れられる鬼ごっこに巻き込まれる参加者の方々には申し訳ないがお互いに楽しんでやってる事なのでどうか目こぼしして欲しい。
ちなみに昨日の暴虐の後に運営から手配書とかけ離れた格好は遠慮して欲しいと言った注意が届いたので今後は鎧武者の状態でいつもの装備フルセットでお送りしたいと思います。
現在の告知間隔は三分。
数回分はこの場所で居るので仕掛けてくるならそろそろだろう。
来た。
「『鎧貫き』!」
突っ込んで来たのは昨日王都突入前の先頭で一番槍を司った人だった。
その直後に撫で斬りにした後で更に広場で殴り飛ばしたので大分恨まれている筈。
そして昨日とは違いスキル名を叫んで――?
こちらの喉に短剣が深々と刺さった。
ぐへぁ。
HPが6割近く消し飛んだ。
あっこれは防御貫通系ですね!
急いで短剣から一歩離れる。
「……」
「……」
何故か向こうも目を見開き驚愕したまま動かない。
どうしたのだろうか。
「お前、一体幾ら防御力があるんだ……?」
「?」
「幾らなんでも減りがおかしい、おかしいんだよ!」
どうやら防御力比例系だったらしい。
今の自分だと装備を含めて7000弱。
それに対してスキルやら諸々の補正が乗った上で弱点クリティカルでの攻撃。
今後もこの戦法取られたら結構不味いので今度初撃防ぐ系の装備を探そう。
「あー、まあレベル差も装備差もありますが一番の理由を言うなら」
「い、言うなら……?」
「『自分で手に入れたボーナスポイント』は全部防御力に突っ込んでます」
「は?」
大量の疑問が浮かんでいるだろう相手に対し数度頷いてみせる。
それからこちらもお返しにスキルを使う事にする。
そう言えば見た目にわかり易い様に使って無かったなと思いながら。
武器を持たず籠手を付けた腕を構える自分に対し警戒を見せたがもう遅い。
「『職務――」
「よ、『鎧貫き』!」
「投棄』!」
こちらの拳が振りぬかれる直前に焦った相手が放った短剣が喉に刺さったものの今度は数%も削れていない。
相手の顔が驚愕に歪む。
そのまま腹に拳がめり込み、相手が消し飛んだ。
これで三度目なので彼は嫌々ながら狙われる頻度が上がるだろう。
スキル名も叫んだので詳細がバレたかも知れないが、やる事はシンプルだ。
盾で殴れば何とかなる。
……ドヤ顔ダブルシールドだと叫んで居た自分は何処に行ったのだろう。
師匠達に会っていなかったらそのまま目指してた気はする。
まあその辺りはまた暇な時に考える事にして。
「お待たせしましたァ……」
「そのまま忘れて欲しかったなあ!」
「せっかく勝ったのに!余韻が!」
今はプレゼントをばら撒く事に専念したいと思います。
本戦までに何人を複数回狩れるかなあ?
ついでに言うと賞金首に狩られる回数が増える度に特別ポイントも増える。
是非生き残って欲しいと思います。
まあ狩るんですけど。




