2-13 ゲーム内にて。三十八日目
今日も今日とてログイン。
ルーネ先生の笑顔がトラウマになりかけてるけど今日も頑張ります。
成長してるんですけどね。なんででしょう?
昨日の修行でプレイヤーレベルが2、職業が3上がりました。
手加減がほんの少し緩んだだけですがレベルアップのペースがおかしい気がします。
と言う訳で現在のステータス。
名前 タテヤ Lv194→196
職業『両手盾』Lv67→70
攻撃 0
防御 2435 +800
俊敏 20 +400
精神 20 +400
知力 20 +400
生命力 20 +400
残BP 0(+10)(+60)
残SP 1980(+10)(+60)
キャラクタースキル
錬金術師Lv2→4 解体Lv24 鑑定Lv17
識別Lv25 発見Lv17 言語学Lv9 看破Lv27
盾Lv87→90 回避Lv73→76 受けLv65→67 精密操作Lv48→50
火魔法Lv5 水魔法Lv5 風魔法Lv5 土魔法Lv13
耐寒Lv4 登攀Lv3 持久力Lv17→20 ダッシュLv29→31
身体強化Lv27→29
とうとうスキルポイントが大台の2000に到達。
そしてとあるスキルが取得可能になっている事に気付く。
明らかに誰かの陰謀を感じるスキル。
スキル 龍化 必要SP2000
頂へと至る道筋の一つ
……ピンポイント過ぎる。
怪しい。とても怪しい。
怪し過ぎてうっかり取得しかける程度には怪しいです。
他に竜化も存在し、そちらは必要SPが500だった。
師匠達はこのスキルの存在を知っているんだろうか。
一回聞いてみよう。
聞く前に取得しかける程度には自分の心が弱いのを自覚します。
自分の現在地は王城の中と言う事で他プレイヤーは見かけない。
とは言え城下及び周辺には既に来ているそうで色々動き出している模様。
打倒盾の魔王と声高に叫んでいる集団が居るとの情報が役人さんから。
すみません、なんと言うか、すみません。
この世界に現在は魔王は居ないらしいので一安心。
ただプレイヤーへの聞き込み前は魔王が復活したのかと一時騒然となったらしい。
それを聞いた時の自分の反応を見て何かを察してくれた様子。
僭称する場合は気を付けてね、と言われました。
ごめんなさい。
ところ変わって練兵場。
先生は少し遅れて来るらしい。
柔軟体操をしつつダンガロフ師匠に聞いてみる事に。
「師匠、龍化ってなんなんでしょうか」
「……タテヤよ、ルーネ師匠の血を何度浴びたか憶えておるか」
「えっと、たくさん、でしょうか?」
「何度死に掛けた?」
「数え切れない程度には」
実際にはHPが9割9分減らされた回数ですが。
手加減とは。
「まさかとは思ったが血が混じったか……」
「えっ、ちょっと待って下さい師匠、自分はポーションを浴びただけでは」
「普通のポーションはな。しかしそれが血であれば稀に回復時に混じる事もある」
「普通の場合だと混じったら何が起こるんですか」
「良くて廃人、悪くて死ぬと聞いたの」
「は!?」
ルーネ先生の龍の血ポーションは普通に数度使う分には良いらしいが身体に染み込む勢いで使い続けると時たま極稀に極めて低い確率で他の種族の血と混じるらしい。
自分の場合は確率なんぞ何のそのな回数使われていた為可能性としてはあった様で。
加えて拒絶反応も起こる方が普通らしい。起こった場合は……、はい。
「竜化と言うのもありました」
「それが発現するだけでも常人では稀なんじゃが」
「えっと、どうしましょう」
「しかし、のう、うむむむむ……!」
自分のせいで悩む羽目になったダンガロフ師匠の唸り声が練兵場に響く。
その身から発される威圧感で他に訓練していた人達が臨戦態勢に。
それを見て少し冷静になった師匠が少し悩みながら諦めの目をこちらに向ける。
「……お前が竜化を得たとする」
「はい」
「ルーネ師匠はまずは喜ぶじゃろう」
「はい」
「じゃがシゴキはキツくなる」
「え?」
「龍化を得るまではな」
え?
「龍化を得たとする」
「……はい」
「ルーネ師匠はとても喜ぶじゃろう」
「そうですね」
「じゃがシゴキはキツくなる」
「え?」
「力を扱いこなせるまではな」
「ええ……」
えーっと。
「あの師匠?両方得なかった場合はどうなるんでしょうか」
「……強く生きろ」
「師匠!?」
「まあ、ルーネ師匠達からの贈り物と考えておけ。主なら出来よう」
「はあ」
「ではやってみよ」
「わ、わかりました」
……取るしかないのかこのスキル。
仕方ない。
今までの平穏と取れた筈の諸々のスキル達に別れを告げて取りましょう。
決して先生の圧力に屈したとかでは無いんです。
嘘です。
取得出来る事になってワクワクしてます。
現時点で自分だけのスキルとか憧れてました。
とは言え感謝の気持ちを忘れたら消し炭にされる気がします。
龍の怒りで。
ともあれ残りSPが50になりました。
一度使うと数分の各種ステータス超強化後、再使用まで24時間掛かるらしい。
今回は何か変化は起こるかな?
≪スキル【龍化】を取得しました≫
≪スキル【龍化】の取得に伴い称号を獲得しました≫
≪称号【頂を仰ぐ者】を獲得≫
うん。称号の内容はなんとなく予想してました。
仰ぐって事はいつかは見下ろせるんでしょうか。
≪称号及び加護を参照……スキル【龍化】に適合、クールタイムが半減します≫
≪スキル【龍化】のクールタイムは【古代龍エターナル・ネフィリム】【緑龍アンベール・ガーデン】の監視下に置かれ続ける場合にのみ無制限解放となります≫
半減は強過ぎる気が。
でも先生達との繋がりが実感できて嬉しい。
それに無限に龍化の修行が出来る事になったのかあ。
……先生達の手加減はあと何段階残ってるのかな。
ログは此処で終わりかと思っていればまだ続く模様。
なんだろうか。
≪介入が発生しました≫
≪???【???の観察対象】によりスキル【龍化】のクールタイムが撤廃されます≫
は?
いやいやちょっと待って欲しいと言う前に更に続くらしい。
何が起こってる?
何かが起こってる。
見る事しか出来ません。
≪介入が発生しました≫
≪???【???の見張り番】を取得≫
≪全ステータスに個別変動が確率で発生する可能性が誕生します≫
≪職業『両手盾』につき攻撃力は変動しません≫
思わず噴き出した。
師匠がびっくりしてますね。
ちょっと今は許して下さい。
≪介入が発生しました≫
≪???【???の見張り番】によりスキル【龍化】のクールタイムが設定されます≫
≪スキル【龍化】のクールタイムは12時間となります≫
おお、見張り番さんがクールタイムを戻してくれた。
良かったのか?
ログは続く。
≪介入が発生しました≫
≪???【???の観察対象】が???【???の見張り番】に抗議中≫
≪???【???の見張り番】が???【???の観察対象】を説得中≫
どうやら中の人が居る模様。
いや、うーん、まあ、嬉しかったんだけどね?
どうにもズルをした気分に一瞬なったんですよ。
小心者ですね。
≪審議中≫
≪審議中≫
≪審議中≫
さておきログは流れ、最新の方で三文字から文章に発展。
決着は着いたんですかね?
≪スキル【龍化】の効果時間を二倍にすることで同意≫
≪スキル【龍化】の効果時間が二倍となります≫
……これは受け入れて良いのだろうか。
悩む。
悩んでいると更にログが動き出す。
≪介入が発生しました≫
≪???【???の目付け役】を取得≫
≪全ステータスに個別変動が確率で発生する可能性が誕生します≫
≪職業『両手盾』につき攻撃力は変動しません≫
は!?
≪介入が発生しました≫
≪???【???の目付け役】により一定期間???【???の観察対象】が無力化≫
≪???【???の見張り番】、???【???の目付け役】による監視が開始≫
≪一定期間???【???の観察対象】からの介入が阻止されます≫
ゴッフゥ!
「どうした!?」
「いえ、あの、すみません、色々と驚く事が起こりました」
「まあ龍化なんぞを憶えたならそうなるかの」
「整理する時間が欲しいんですが……」
「なるほど。では後でかの」
「はい、では休んできます」
「うむ」
師匠、すみません。
少し休んでから色々話したいと思います。
そもそもこれ人に話して良いのか悩む事案なんですけど。
そうだ、ヨミに話そう。
きっとツッコミを入れてくれるに違いない。
……ともあれ凄いスキルを手に入れた。
その他は気にしない。
気にしないったら気にしない。
今日はこの後直ぐにでもチャットで話さないとなあ。
そうしよう。




