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2-1 街道上にて/彼が考えた距離の縮め方

展開に一か月程悩みましたがそれでも思いつけなかったのでのんびり書いていきます。

相も変わらず地の文が苦手です。


口調もあやふやになってます。

≪着信:御茶葉 分類:通話≫


『あら、御茶葉じゃない』

『あーやっと繋がった。もしもーし、ヨミちゃん元気ー?』

『学校でも毎日会ってるのに元気も何も無いと思うけれど』

『まあまあ挨拶だって。それで今どんな感じ?』

『暇過ぎて周りの景色を眺めてるわね』

『おおう、中々楽しんでるね』

『そんな感じで暇だから何か時間を潰せる話題頂戴』

『中々凄い事要求してくるねヨミちゃん』

『あら、じゃあ切っても良いのかしら』

『色々投げやりだね!?まあ聞きたい事あったから通話掛けたんだけど』

『何かしら』


『いやあ、彼とは何処まで進展したのかなあって』


『……』

『あれ?』

『……』

『おーい、ヨミちゃーん』

『……っ、あ。な、何かしら』

『もう質問したけど!?』

『あ、そう、そうだったわね』

『今までに一体何があったのか非常に気になる間があったよ!』

『えっと…、言わないとダメ?』

『すっごい気になるからね!』

『…そう、わかったわ』

『え、そんなに話しづらい事?』

『ええ、口には出しにくいわね』

『まあまあ、気楽に言っちゃいなって。笑わないからさ!』

『笑ったら斬りに行くけど』

『物騒過ぎる発言は聞かなかった事にしとくよ?』

『じゃあ言うわよ』

『待ってました!』

『その、ね』

『うん』

『て』

『て?』

『手を、ね?』

『手を?』

『手を繋いで歩ける様になったの』

『おお~』

『…それだけよ』

『あれ?』

『……』

『え?』

『……』

『え、その、え?』

『…なによ』

『えーっと、幾つか確認しても良いかな?』

『…なに』

『えっと、二人が付き合いだしてからそろそろ一ヶ月ぐらい経ってるよね?』

『経ってるわね』

『まさか超奥手な恋愛してるとか言わないよね?』

『…させてもらってると言った方が良いのかしらね』

『ええー……』

『これ以上傷を掘ってくるようなら斬りに行くわよ』

『ごめんヨミちゃん私が悪かった!』

『はぁ……、どうして素直になれないのかしらね』

『え?』

『その疑問符は何かしら?』

『いやいや何でもないよ!あ、ところで今そっちは何が見えてるのかな!?』

『露骨に逸らしに来たわね。まあどんな感じと言われれば見苦しい光景が目の前に広がってるけど』

『え、何それは。どんなの?』



『簡単に言うと幼女とメイドに対して街道のど真ん中で土下座してる男が目の前に』

『うわぁ……』



◇◇◇


約一ヶ月前。


色々な意味で衝撃的事実を連発された次の日。

流石にゲーム内で会ってしまうと気まずくなると言うのはわかっていたので前日はログインをせず、翌朝少し緊張しつつもいつも通りの時間に登校してみればヨミ、と言うか四方木さんが机に突っ伏していた。

何事?と思い周りに居る五条院さん、水橋さん、清水さん達の顔を伺ってみれば生暖かい視線を頂戴した。既に色々と聞いた後らしい。

その三人がこちらが顔を見れる様に隙間を開けてくれた所でこちらを向いたままの四方木さんと目が合った所で向こうがガバッと言う擬音がピッタリだと思う程勢いよく体を起こし、背筋をピンと伸ばした姿勢になった。

しばしの沈黙。


「おはよう、四方木さん」

「!? お、おはよう」

「それじゃ」

「え、ええ」


学校での彼女との距離の縮め方について色々と何を言うべきかで悩んでいた筈で、その為にあれこれ考えて来たのだがその時は口に出せず、ただ挨拶をして席に着いた。

席に着いてからしばらくして何年振りかに自分から学友に挨拶をした事に思い至る。

右隣ではしばらく困惑とともに何か躊躇いがちにこちらに声を掛けようとする動きが感じられたが結局は諦めたらしく再び机に突っ伏しているのが横目に見えた。

さて、まずは友達レベルにまで持って行かないと。


まあ夜にログインした後は質問攻めにあった事は言うまでもないだろう。



次の日。

「おはよう、四方木さん」

「おはよう……、桜川君」


次の日。

「おはよう、四方木」

「おはよう。でも呼び捨てはどうかと思うわよ」


次の日。

「おはよう、紅葉さん」

「おはよう、桜川君。まだ名前呼びを許した覚えはないけど」

「まだ?」

「……今のは無しで」

「あ、うん」


次の日。

「おはよう」

「ええ、おはよう。……今日は呼ばないのね」

「一瞬ヨミって言いそうになった……」

「あっ、ぶないわねホント……!」

「ごめんなさい」


数日後。

「おはようございます」

「おはよう、ってアンタ口調混ざってない?」

「あ、昨日師匠達にしごかれてたから間違えたかな」

「小声とはいえ気を付けなさいよ?」

「おう」

「そこは「うん」でしょう」

「外見的に?」

「ええ」


数日後。

「おはよう紅葉」

「おはよう純也」

「……驚かないんだね?」

「いえ、今にも顔を隠したいわね」

「そうは見えないけど」

「出さない様にしてるのよ」

「成る程。それで、口調はどっちが良い?」

「どっちも良い」

「おおう……」


数日後。

「あのさ」

「何かしら」

「今思ったらこれって口説きの類になるのかな」

「え?」

「いや、接点の無かった奴が話し掛けるってそれこそ一目惚れとかだなあと」

「……事実は逆なのよね」

「そう言えばそうだった」

「私、惚れた側。そっち、惚れられた側。OK?」

「あ、うん」

「それと最初は顔だけど今はちゃんと中身にも惚れてるから」

「おお~」

「随分反応が軽いわね」

「いや、体ごと背けられながら言われても……、ねえ?」

「察しなさい」


数日後。

「そろそろ友達ぐらいに見えて来たかなって色々聞いてみたんだけど」

「結果は?」

「夫婦漫才の様なバカップルの様な何かだから早くゴールインして諦めさせて下さいって言われた」

「それ女子に聞いたんじゃ無いでしょうね?」

「正解」


数日後。

「そろそろ首都に着くけど次はどっち行こうかね」

「モフりたいわね」

「今思い出したがおっさんアバターでの猫耳はインパクトがあったなあ」

「……まさか着けられるとは思ってなかったのよ」

「それで、ヨミは朝早くから一体何をしてるんだ?」

「課題の処理」

「ああ、効果的な時間の使い方だな……」

「そっちもやったら? 手伝わないけど」

「そこはキッチリしてるのな……」

「その辺はね」

「で、一つ聞きたい事があるんだけど」

「何かしら」

「こっちに目線向けないのって未だにこっちの顔見れないのが理由?」

「……悪い?」

「可愛い所もあるんだなあとは思ったけど不快には思ってないよ」

「……ありがと」

「うん」


数日後。

「なあ紅葉さん」

「何かしら純也君」

「そろそろ前髪を上げた状態にも慣れて欲しいんだけど……」

「ゲーム内だと平気なのにね……、ごめんなさい」

「いや、まあ、良いんだけど……」

「それと周りの歓声は気にしだすと帰って来れなくなると思うけど」

「気にしない様にするよ」

「賢明ね」


とまあ何か間違った方向性に進んだ感を拭えないままに二十数日が経ち。

気付けば公認カップルの様に扱われだしていた。

まずは友達からとは一体何だったのか。



そしてこの遅々として進まぬ恋愛にホッとしている自分が居る事を認めるべきか否か。

その答えを出すにはもう少し時間が掛かりそうだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] この主人公がゲーム内1ヶ月も話になるようなことが起こってないってマジ?天変地異の前触れか?
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