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120 『落下式クレーター作りのススメ』

※設定話二つを活動報告に移動。

本編側の物を数日以内に削除したいと思います。

二十四日目。


四方木さんの告白から数日。

今日も今日とて龍神様からの攻撃を防ぎ続ける事数時間。

ふと攻撃の手を止めた龍神様が口を開く。


「そろそろ終わりにしても良いかな」


その言葉を聞きこちらは思い切り安堵の息を吐きながら身体を休める。


「やっと解放されるんですね……」

「まだ続けても良いんだけどそろそろ次の所に行かないといけないからね」

「あれ、湯治が目的じゃ無かったんですか」

「君ねえ……。まあ9割はそっちが目的だったけどね」

「もう一割は?」


そう問えば目の前の少年の姿をしたモノは朗らかに笑いながら言葉を続ける。


「この地の龍脈の管理かな」

「世界の管理よりも風呂の方が大事なんですね……」

「まあしばらく留まって居れば良いからね、こういう風にもなるさ」

「成る程。それで、今回はどうして自分に稽古を付けてくれたんですか?」

「うーん、興味から、かな」

「興味を引く様な物が自分にあったとは思えないんですが」

「君自身が解っていないからこそ、だからだよ」

「そういう物ですか」

「そういう事だよ」


どうやらそう言う事、らしい。何がだ。


何はともあれ修行と言う名の割と瀕死になり続けていた戦いが終わった。

その後、ずっと暇を持て余していた一人と一匹に色々言われたり吹き飛ばされたり突き落とされたり掛けたりしながら荷物を纏めて行く。

その横で龍神様は風呂に向かって手を掲げると何やら呪文を唱え出し、そしてその言葉が終われば見ていた一瞬の内に露天風呂があった場所がただの台地に戻っていた。

一体何をどうしたらそんな事が起こるのか不思議に思ったが聞いた所で笑顔で流されるだろう。

その後、また岩山を降りるのかと若干うんざりしつつ眼下の岩肌を眺めていると足元に影が差す。

誰が後ろに居るのかと思い振り返ればいたずらを企んだ子供の様な笑顔の龍神様が立っていた。


「お疲れさま!」

「はい?ありがとうございました」


にじり寄って来る龍神様に少しの危機感を覚えつつも目を見て返す。

そしてそのせいで気付くのが遅れた。


「それじゃ、またね(・・・)!」

「え。   え?」


振り返ったこちらの身体の胸元に添えられた手によってこちらの身体が持ち上げる様に押されたかと思うと足元に地面の感覚は無く、龍神様から宙を舞いながら離れて行く中で目を丸くしているロンとライアの表情が見え、龍神様は笑顔で手を振っていて下さった。

ああ、落ちる間にどうにかしろって事なんですね。

見ればライアが伸ばそうとしているツタを切っている辺りこれはどうやらアレだ、獅子は子を崖に突き落とすと言うアレだ。

自分、子じゃないんですけど。


さて、そろそろ浮遊も止まり、重力に引かれだしたのが身体で分かりだす前に首を巡らせ景色を見やる。

即座に見える眼下の森は広く広大で、遠く転々と土色に丸く見えるは街か。

彼方には一際大きな尖塔が見え、その周囲には壁が巡らされているのが見える。

そして森の向こう、遥か遠くには巨大、遠大、超大とも言える大きさの巨木が立っており、その大きさは国が一つ上に乗る程である事が解る。

更に見やれば海が見え、その近くにもまた生物の存在を感じさせる建物が立っている事が解った。

それらを見て感慨や感想を考える間も無く身体が落下を始め、段々と速度が付いて来る。

落ち始めながら、遂に自分も死に戻りかなあとぼんやり考える。

落下ダメージはどれ程になるだろうか。



さて、あれから数十秒。

そろそろ目に当たる空気も痛くなって来た頃。

真下に地面が見えだした。

どうしようかと悩んで居てもどうにかしないと死に戻るのでとりあえず盾を構えてみる事にする。


「さて、と……。 ジャストガードっ!」


両手で盾を構え身体を垂直に立てる。

そして地面が、近づいて、近付いて、近付いて……。

もう少しで着弾すると言う所でカウンターを発動させたままだった事に気付いた。

結構な速度が出てるんだけどどうなるんだろう、コレ。

その問いに対する答えは一秒後に解る事となった。



轟音。



土煙が立ち込める中穴の底(・・・)で立ち上がり自分の状態を確認する。

とりあえずHPは無傷である。装備も損傷は特に無いようだ。

ただ、一つ問題が。


「これ、登るの大変だよなあ……」


自分が作ってしまった大穴は存外大きく、登るのに少し手間取りそうだと言うのが解る。

生き残れたのは嬉しいのだがここまで被害が大きいとそのまま叩き付けられていた方が周囲の被害は小さかったと言うのが解ってしまうので少し悩んだ。

しかしまあ、アレだ。


「落下ダメージが大きいのもあるけどダメージ増やした上に地面に返したのはマズいよな……」


4倍返し、いや確認してみれば五倍返しになっていた、のせいで250%の反射が可能になっていた。

恐らくは組手中に上がったのだろうがこんな形で確認する事になるとは思っていなかった。

龍神様、普通に落として来たんですけど自分がこうすると解っていたのだろうか。

何かしらの救済策はあったと思いたい。

考えながらも目は穴を登る為の取っ掛かりを探し続け、耳は周りの音を聞き続ける。

と、その耳が獣の足音を捉える。

同時に少女の声でこちらの名を呼ぶ声も聞こえて来るのでどうやら一人と一匹も到着した様だ。


「なんかでっかい穴が出来てるんだけど!」

『着弾地点もあの付近だが、奴は生きているのか?』

「不吉な事言わないでよ!」

『まあそこに居るのは解っているのだろう?』

「うん。それにしても生きてるとは思わなかったね!」

『……』


色々とツッコミ所はあるが心配されていたのは間違い無いようだ。

まあ自分でもなんで生きてんだと思う。カウンターって強いね。

再び地面に舞い戻ってから一人と一匹にそれを話してみると複雑な顔をされた。

何が引っ掛かったのだろうか。

あ、地面は小規模なクレーターになってました。



ともあれアルタ街へと再び向かう事に。

久々に街に降りると言う思考に陥っている辺り人里を離れている時間の方が長いと感じる。

と言うかプレイヤーと話した日数とNPCと話さない日の違いがあまり無い。

何故かヨミと遭遇するのはマズい気がするし明日は先生達に会いに行く事にしよう。

と、思っていたのだが。


「なぁんで、森に来てるんですかね……」

「経験値稼ぎとアンタ探し。そっちこそこの数日一体何処に居たのよ?」


街付近にてモンスターと戦っていたヨミと遭遇してしまった。

向こうも困惑しているようだがいつも通りの会話を取る事にした様だ。

ロンと戯れ続けるライアを横に置きつつヨミの戦闘を見守る。


「ずっと組手して貰ってた」

「連絡入れてたと思うんだけど」

「一切見てなかったなあ」

「数千件貯まってたりして」

「ははは、そんなまさか……。そのまさかだったわ」

「え、嘘でしょ?」

「まあ大体は流し読み案件なんだがこの絆システムってなんなんだ?」

「一言で言うと結婚システムね」

「ああ……。で、何故かそれに関する問い合わせが数千件ある訳だが」

「人気者は辛いわね」

「大体の人が指輪を要求して来てるんだが俺の手が見えなくなりそう」

「全部受ける必要は無いと思うけど……」

「ヨミからは届いて……、お。届いてた」

「ちょっ!」


大量の通知からフレンド登録者のみをリストアップしヨミからの大事な話があると言う内容が書かれたメッセージを見つけ出す。

中身は『そろそろ話しときたい事があるの』で始まっていた。

ただ日付が数日前であり、自分は今日に至るまで殆どメニューを開いていなかった為、タイミングを外してしまった事に気付いてしまえば気まずい空気になった。


「す、すまん」

「……明日、話すわ」

「お、おう」

「ホント、間が悪いわよね……」


ホントにな。

すまんヨミ、どうにもシリアスにはなれそうに無いらしい。



ロンが立てる欠伸の仕草がやけに印象に残った事を覚えている。

展開に悩んでいました。

今後も悩み続けると思います。


次回はネタバラシしたいと思います。

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