11 ルーネさんとお気に入り
『ご褒美はこれくらいで良いかな?』
『【龍の友】をまさか自分が授かるとは』
『いやあ、ね?本当は最初の一発を耐えられたら【龍の知己】でも渡そうと思ったんだけど』
『何か理由が?』
『その、つい、ね?どれだけ耐えられるんだろうかって思っちゃって』
『は? つまりさっきまでの地獄は好奇心からだと?』
『そうなるね!』
『……その好奇心でオレの愛剣と高級ポーションと鎧一式が役目を終えたんですが』
『そのう、それは……。あ、装備類もあげるよ!』
『おお、期待して良いので!?』
『知り合いが人用に作ってくれたんだよ!はい!』
『おお、これはこれは……。 …これは一体?』
『道着と籠手と両手盾!守るの上手かったし!』
『オレは騎士です!鎧と剣は無いんですか!?』
『あるけど今渡したの以下の性能しかないけど要る?』
『……今渡された物を貰います』
『よし。私相手に使えるようにこれから鍛えるからね!』
『え、旅の途中に立ち寄ったのでそろそろ去りますよ?』
『えっ、もう行っちゃうの…?』
『ああ、村の者には上手くとりなしておきますので騒がしくはならないかと』
『そっかー……。あ、そうだ!お願いがあるんだけど!』
『はっ、龍殿の頼みとあらば出来る事ならなんなりと』
『私も一緒に行きたい!』
『は?』
『今の世界なら私でも大丈夫だと思うの!』
『は、はあ……。人前ではバレ無い様にして下さいよ?』
『はーい!』
『どうしたもんか……』
その後断る訳にも行かず押し切られなし崩しに二人で旅する事になったらしい。
村には自分が責任を持って保護すると伝え、その時に名前を付けたそうだ。
ダンガロフ師匠が適当にルーネと名付けたらしいが笑顔で受け入れられ不安になった。
その後本名と言うか人に付けられた本名を聞き血の気が引いたらしい。
古代龍『エターナル・ネフィリム』直訳で不滅の巨人、と言う事になるのだろうか。
その時はてっきりダンガロフ師匠が自分の本名を知っていて付けてくれたと思っていたらしく、
後日それが適当だと言われ怒り心頭のルーネさんに殺されかけたらしい。
ひたすら避けて受けて体捌きを鍛えさせられ格闘戦もやらされたそうな。
師匠……。
「その後はどうやって受けるかをルーネ師匠に教わりながらの旅じゃった」
「いやー、色々あったわね~」
「主に師匠との戦いが一番辛かったですな」
「他にも色々あったじゃない」
「魔物との戦争、モンスターの大侵攻、魔族の生き残り、大災害、隣国との戦争などもありましたな」
「私が出向けば早かったんだけど止められちゃってね?」
「気軽に大陸を消し飛ばそうとしなければ頼んだんですがのう」
「先生……」
「だって活躍すれば良いと思って…」
「ルーネ師匠がこれだから回復魔法だけに留めてもらったんじゃ」
「あ、先生魔法使えるんですか」
「全属性使えるから覚えたいなら言ってね?」
「しかしまあ使わせたら恐ろしい回復量でな。聖女と呼ばれるようになった」
「チマチマするのが面倒だったんだもん…」
「それでも都市一つを丸ごと一回で全回復はやらないで欲しかったですのう」
「やろうと思えば国一つ行けるわよ?」
「やめてくだされ…」
振り回されて来たんだろうな、師匠。
諦観の域である。
それにしても、だ。
「それにしてもルーネ先生はどうしてそこまで、ええと、その、」
「ん?怒らないから言ってみなさい」
「先生を恐れる事もある人族が好きなのでしょうか?」
「……どうしてそう思ったのかな?」
「話を聞く内になんとなく、ですが」
「なんとなくかあ、ねえ、私って怖いかな?」
「怖いのは力の強さでルーネ先生は怖くないです」
「本当かの?」
「ここで嘘吐いた所で後々バレるんじゃ無いですかね」
「ふむ。…ルーネ師匠」
「うん。そっかぁ……。大丈夫かあ……」
「この弟子なら大丈夫と言ったでしょう?」
「うん。ありがとうねタテヤ君!」
「は、はあ」
「だから良い物あげるね!」
「え」
「ルーネ師匠、今度は何を…?」
そしてまた手をかざされる。
あっ……。
≪加護【ルーネのお気に入り】を授けられました≫
あああああああああ!
またかよ!
今度は何をやった!?
昔話を聞いた。
師匠に同情しルーネさんが色々はっちゃけた事を聞いた。
それで何となくやり過ぎて恐れられたんだろうなーって思った。
怖い?って聞かれたから怖くないって言ったら加護を貰った。
つまり?
よくわからんが気に入られた。
訳がわからないよ!
「えっと、これは一体…」
「良い子だからね!」
「師匠!説明お願いします!」
「気に入られたのう。良かったな」
「目を逸らされながら言われましても!」
「まあまあ、今は混乱しててもきっと役立つからさ!モンスター狩りとか!」
「確かに兎に負けますが…」
「そう言えばまだ兎しか倒しておらんかったの」
「自分としては平和に修行の日々だと思ってました」
「何よー、私が悪いの?」
「開始三日で古代龍からごっそり色んな物貰うとか思ってないですからね?」
「ルーネ師匠……」
苦笑する師匠。
似た者師弟なのだろうか。
「あーもうわかったわよ私が悪かったわよー!」
「師匠、この後俺はどうすれば良いんでしょうか」
「兎を二匹に増やしてみるかのう」
「うげぇ…」
「長く話し過ぎてそろそろ夕方じゃしの。多少は耐えろ」
「はい…」
「あ、私が回復してあげるね?」
「……はい」
「頑張ったらまたご褒美あげるから!」
「えっ」
「ルーネ師匠、抑えて下さいよ?」
「はーい!」
「頑張ります……」
三日目。
大量に色んな物を貰った。
ルーネさんが先生になった。
明日からは兎三匹らしい。
生き残りてえなあ……。
次回は友人とのチャットです。
どう説明したものやら。