女性との食事って行ったことない男子の方が絶対多い。女性だぞ?女子じゃないからな?女子高生も認めないからね!
ぎりぎり今日投稿です!
成瀬とさかはメールをうっていた。
今日のノルマはほぼ達成して、残すところ1回の【開闢】。楽勝だったし、同時に暇でもあった。
上着のポケットからスマートフォンを取り出し、無料連絡アプリを起動する。30度をゆうに越える暑さだ、汗で滑って画面が押し辛い。汗が出ているのは暑いことだけが原因ではない気もした。なんのことはない、緊張しているのだ。手汗に悪戦苦闘しながらも、お気に入りに設定してある深川愛理のトーク欄をひらき、メッセージを送った。
「今日、夕食を食べに行きませんか?ボーナス入りそうなので、奢ります。」
成瀬の仕事は、はっきりいって給料が高い。命をかけて戦っているわけだから、当然といえば当然で、その金額はその人材の値段ということになる。実際の年収は、そこら辺の町医者の年収よりちょっと高いくらいだし、優秀な調律師であればあるほど、ボーナスを稼ぐことができた。ボーナスを貰える条件は、【開闢】により発生する【歪】の討伐数。
成瀬とさかは、去年の討伐総数が日本でトップ。世界でも4番目。ボーナスはうなぎのぼり、若干二十歳という煽り文句もついて、雑誌の取材、テレビ番組やコマーシャルの出演依頼がくるほどだった。
まあ、いろいろ事情があって全て断ったのだが。
(それに、有名になると妬む奴とか出てきそうだし。背中刺されそうな気がするし。)
成瀬は思う。というか独り言ちる。
「 俺って高収入、高身長、高学歴…とはいかないけど合格率1%以下の国家資格持ってるし、顔だって悪くないし、性格は……よくわからないけど、モテる要素の詰め合わせ的存在なんじゃないか?10代の頃は彼女とかできたことないし、まず女子の友達とか殆ど居なかったし。」
そう、成瀬とさかは恋愛に対して酷く奥手な青年だった。
可愛い同級生に話しかけられても気のきいた事など一つも言えず、バレンタインのチョコなんて貰った事がない。そもそも普通の学校にいっていたのが小学校卒業までだから、特別おませな子がいない限りバレンタインのチョコなど貰えるハズがない…と、成瀬は思っていた。実際は、当然ながら貰っている男子は貰っていたのだが…。
大切なのは、過去よりも今だと成瀬は思う。
女子と20年間まともに出かけた事がなかった男が、今、女子高生を食事に誘った。とてつもない進歩だ。
成瀬とさかという人物は確実に成長していた。
誘ったのは深川愛理17歳の高校2年生だ、女子高生だ。JKだ。年齢差約3年。一般ピーポーからは、年齢差よりも、もっと単純に「社会人が女子高生に手を出していいのかよ!」と怒られそうだ。
しかし、そこら辺は安心してもらってもかまわない。もとより、成瀬は深川愛理に手を出す気など毛頭ない。手を出す度胸もない。チキンだった。
(つーか手を出す勇気があったら違うとこで発揮しとるし発散もしてるわ!)
このチキンが現在気軽に連絡が取れる女性は、上司である江川咲と、昔馴染みの深川愛理だけだった。気軽と言っているが実際は、手汗が半端なくなりながらのメッセージ作成、送信だ。この2人と話すとき、表面上クールを装ってはいるのだが、内面はもうガタガタだった。それに最近は、表面上さえクールに出来ていない気がする。この2人と会話すると、心臓がバクバクするのだ。ちなみに、お気に入り女性キャスター、清水美香との妄想デートの方が心臓がバクバクしたりする。
まさに今、チキン成瀬が深川愛理をデートに誘った。
「こ、こ、これ、これはぁ!きたるべき将来に向けての練習、練習だから!!やましい気持ちとか一切、これっぽちもないから!!」
成瀬の独り言の呂律が上手く回っていない。
「ひゅぁぁ、断られたりしたらどうしよう?やばい、お兄さん号泣しちゃう!あ、でも、もしかして、もしかしてだけど、そういう雰囲気になってホテルとか?…赤飯炊かなきゃ!」
汗で顔がビショビショな成瀬から冷静な判断力が消えていた。 妄想が次々と浮かんでは消えていく。童貞を拗らせると陥る症状らしい。人間、こうはなりたくない。あーでもなくこーでもなく、成瀬は考え込み、1つの結論に達した。
「今日の深川とのデート?が上手く行ったら、明日は江川所長をデートにさそおう!」
成瀬はダメな人間だった。
明日も投稿します。