Order6【生命反応感知器】
Order6【生命反応感知器】
今、ヴェクセルとイサがルイン中央公園にて頭を抱えてベンチに座っている。
その原因は今から数時間前のヴェクセルの店の裏にあるガーデンにて起こった。
イサがフリンジゲージでレイスのフリンジを集めることをホーリィとヴェクセルにも伝え、加勢してもらうように話をしにきたのだが、当時ホーリィは教会側とは別の仕事で王国フィルアガルドに向かっていたので話すことはできなかった。
「でもさ、その・・・フリンジだっけ?それはどうやって見つけるの?」
「・・・・・・それは・・・痛いところを突いたね・・・」
結局のところ、イサ自体もフリンジをどうやって見つけるまでは考えていなかったのだ。
そのため、今、二人はこうして頭を抱えているのだ。
「うぅぅぅ・・・・どうすればいいんだぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!」
「落ち着こうよイサ。」
「ヴェクセルはこうゆう時もう少し焦るべきなんだろうな・・・」
「焦ってもしょうがないですって。」
ヴェクセルは立ち上がると、一人歩み始めた
「何処へ行くの?」
イサが不思議そうに聞くと、ヴェクセルは「着いて来ればわかりますよ。」と言ってイサに背を向けて再び歩み出した。
しばらく歩いて着いた先は、ギルド事務所だった。
ギルド事務所とは、この世界で魔物退治をしたり、企業の中で遠方任務へ出る忙しい彼らのためにある仕事依頼・情報交換場のような場所だ。
「ギルド事務所ッて・・・でもリミナリア免許書とか、スウィーパー免許・ギルドエンブレムとかがないと利用できないんじゃあ・・・。」
不安そうに聞くとヴェクセルが怪しく(黒く)笑った。
イサはその笑顔に多少引きつったような気がするが、軽くスルーされた。
「これな〜んだ?」
そう言いヴェクセルが懐から引き出したのは黒いカード。
それはギルドの証明の光に反射している。
まわりの人はヴェクセルのカードを見て驚いているのか叫び声のような歓声のような声をあげている。
しかし、イサはそれがなんなのかわからないようで首をかしげるだけだ。
「このカードはねぇ・・・特別なカードでね?一般より素早く話を通してくれる不思議な不思議なカードなんですよ。」
訳すると、『このカードは最上級者カードなので、国家領域までいけるかもしれないという代物』である。
それを使ってヴェクセルは受付で受付嬢と手続きをし始めた。
受付嬢が席を立ち、何処かへ電話をかけると、すぐに受話器をヴェクセルへと渡した。
ヴェクセルはソレを受け取り、何か短く話して電話を切って戻ってきた。
「上層部に行きますよ!」
「うえ?」
先を行くヴェクセルの後をイサは慌てて追いかけた。
昇降機に乗り込み、ヴェクセルは69階のボタンを押した。
かなり時間がかかるだろうと思われていたのだが、意外にも昇降機の上昇速度は早く、あっという間についてしまった。
昇降機のドアが開かれてイサの目に飛び込んできたのはネオンの光に包まれた暗闇の中の会議室と思われる場所。
そこには大きなテーブルがあり、かなり歳をとった男性達がずらりと並んでいた。
「やぁ、ヴェクセルくん。久しいな。」
そう言い、一番奥の席から蒼い髪の毛の男性が近寄ってくる。
差し出された手を握り返したヴェクセルは、微笑んで単刀直入に話題に入る。
「ところでフリンジについてなんだけど。」
「ふむ・・・私もフリンジがどういったものかはよく分からない。だが、それが生命反応と似たものであるというのなら、不可能ではないと考えている。最も、レイス自体の生命反応を見極める技術がなければならないがな。」
「だからアンタのところに来たんだ。わざわざアポまで取って。」
「そうだったな・・・まぁ古い仲だ。お前のような腐れ縁でもない限り私はお前のような奴には手伝わんがな。」
「はっ・・・酷いな。」
「お互いだろ?それじゃあ皆、すまないが私は席を外す。後は皆で決めていってくれ、私は彼に用事がある。」
そう男性が言うとヴェクセルに着いて来いといい、会議室から出て行った。
その後をイサとヴェクセルが追うと、導かれたのはセキュリティーの厳重な扉の向こう側に広がる実験室と思われる場所で、多くの機械が並べられていた。
「みたまえ。これが生命反応を感知するライフレーダーだ。」
そう言って男性が指を指したのは、丸い卵のようなポッドだった。
ガラスで作られているのか、外見は透明で、中では何か光る発光体がうごめいている。
「この中に浮き出ている街のフォログラフィー地図の上に発光体がみえるだろう?これが君達のいうフリンジ・・・つまり人の魂とかそういうものだ。これで、何処に誰かのフリンジがあるというのが分かる。しかし、まだ未完全なのでな、一人一人の魂を探すことはできない。だから、一応ソルトに頼んでみようと思っているのだが・・・」
「呼びました?」
暗闇の中から一人の男性の影が現れた。
白衣を纏い、そ白を反転したような黒い髪の毛がとても印象的であった。
「ソルト、いたのか。ならば話が早い。これを完全に仕上げてくれないか?」
「その代わり残業はなしだぞー。」
「・・・まぁいいだろう。」
「よっし!!じゃあやったげる☆」
ソルトは急いで工具を取りに向かった。
「すまないな、また、後日来てくれないか?流石に一日では完成できないのでな。」
「うーん・・・いい?イサ?」
「あ・・・うん。別に構いません。」
その日はそこで話は終わり、二人は研究室を後にして店へと帰っていった。
ドウモ( ・∀・)っ旦