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Order4【何処から生まれ、何処へ辿り着くのか】

Order4【何処から生まれ、何処へ辿り着くのか】


人生に迷子になっているイサさん。

何気に皆と仲良くなれました。

でも、やっぱ相変わらず俺のことを時々『ウィアド』って呼ぶ。

俺はそのウィアドにそんなに似ているのか?

「ところでイサ。」

「ん?」

皆が仕事へ出たり、セネルは街へ買い物に出かけて店に二人だけになっていたとき俺はイサに声を掛けた。

質問が1つあったからだ。

「どうしてイサは、あんな場所にいたんだ?」

「・・・それは、多分・・・あの魔法使いのせいだと思うけど・・・名前が思い出せない。」

「誰かに連れられてあの場所に閉じ込められたのか?」

「まぁ・・・そんなとこ。」

イサの表情は明らかに動揺している。

おそらく、本当は何もかも知っているはずだ。ウィアドとかいう奴以外のことは。

「・・・まぁ、話せるときになんか言ってよ。俺、イサのことちゃんと知りたいからさ。」

「なんで?」

「そりゃぁ仲間のことはよく知っとかないと!!友達に仲間自慢できないだろ?」

そういうと、イサはクスクス笑って見せた。

こうゆうところは正直だと思う。

やっぱり、まだまだ子どもなんだろうな。

「さぁて・・・じゃあ最後の仲間に会いに行きますか。」

「最後の仲間?」

「イサが会ったホーリィ、ヴェクセル、セネル、俺以外にもあともう一人いる。きっとイサのこと喜んでくれてるよ。」

「?」

そういい、俺はイサの腕を引っ張って街へと出た。



俺が連れてきたのはセシルの墓。

もう今は亡き仲間の一人だ。

「・・・これは」

「セシルっていう大道魔術師だった人なんだよ。優しくて、ちょっと時々毒舌で突っ込んだりするけど、困ってる俺を助けてくれたし、皆を大切に思ってくれてた。」

そう。俺は最初この世界に来たときセシルに助けられた。

本当は俺がこの世界の住人じゃないという真実を教えてもらい、現実の記憶を取り戻し、現実へ帰るまで。

本当はセシルが俺を呼び寄せたというけど、今でもよく分かっていないんだ。

「・・・セシル・・・僕・・・ここに来たことがある。」

「え?」

イサの発言に俺は振り向いた。

するとイサはゆっくりとセシルの墓へ近づき、言葉を紡ぎ出した。

「ここであの魔法使いに監視されていた。そしてお互いに知っている何かがあった。」

「お互いに?」

「そう・・・お互いに知っている何かを感知し、僕らは何故かここへやってきた。そして・・・何かを話された気がする。」



『じゃあ・・・アンタはあれを完成させたとき、ウィアドの存在はどうする?』

『・・・俺には関係ないさ。消滅しようが、記憶が失せようが・・・あれが存在する限りはこの世界は保たれる。』

『でも・・・それの管理者は・・・――――』



「おい、イサ?」

「え?あ・・・あぁ・・・」

イサが何か考えに耽っていたようだけど・・・何かあったのか?

でも、聞かないほうがいいだろう。

「セシルさん、いい人だったんだなぁって。」

そういい、イサは微笑みながら立ち上がった。

俺も続いて立ち上がり、イサの後をついて行こうとした。

しかし、何故か突然グラァっとするような感覚に陥った。

まるで貧血のような・・・でもそれとは少し違うような。

振り返ったイサの表情が何か強張っている。

どうしてそんなに誰かが打ちのめされた時のような表情をしているの?



僕の背後でレイスの声が微かに聞こえた。

まるでうめき声のようで、何なのかと思って振り返ると、レイスの体を何かが貫いていた。

後ろに倒れていくレイスに僕は驚いて・・・突然すぎるその状況が信じられなくて。

ただ悲鳴を上げる一歩手前あたりでずっとレイスをみていた。

意識が薄れていっていると思うレイスは瞳を瞑る前に微かに微笑みながら

『なんて顔してんだよ』って俺に言った。



「レイス・・・?」

別に多量出血なんかしていない。

刺されたわけでもない。魔法攻撃でもない。

何かよくわからないものがレイスを貫いた。

倒れこんで、レイスは虚ろな瞳で何処か遠くを見ている。

そちらに僕が目をやると、そこには不覚にも名前を忘れてしまった魔法使いがいた。

魔法使いはニヤリと笑い、姿を消してしまった。

深追いするのは止めて僕はレイスを起こして状態を確認する。

虚ろな瞳は視点が合わないのか宙を泳いでいる。

呼びかけても返事がない。

まるで・・・ただの人形のようだった。

「どうして・・・どうしてアンタはいつもこんなことをするんだ・・・。自分のためなら手段を選ばない?・・・馬鹿げてる。」

瞳から涙が零れた。

それに反応したのか、レイスがそっと僕の頬に手を伸ばしてくる。

視点も合わず、言葉も発さないけれど、きっとこれはレイス自身の心に反応しているのだと思う。

「・・・ごめん。」



「ごめんなさい。」



「貴方の時間を奪ってごめんなさい。」






『泣かないでよ。大丈夫だから。』





ついにレイスはんが狂いました。

(゜∀。){KURUTTA!!)


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