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ORDER11【イサの覚醒】

ORDER11【イサの覚醒】


その後、セシルとレイスは、R.E.D.の正面玄関で、セネルたちと合流した。

セシルが目の前にいることに、セネルとヴェクセルは相当驚いていた。

「・・・セシル。こっちこれたんじゃんか!」

「ははは!さすがに私も死んだと思ったんですが、生きてましたね〜♪これじゃ私一生この未来にしがみついて生きてるかも!」

「気味の悪いこと言わないで!さっさと成仏しろ!!」

「ははは!セネル、黙りなさい。消しますよ?」

「うぐっ・・・」

親子の会話に立ち入れない他のメンバーは、ぼーっとして2人の様子をカフェテリアでなんとなく外を眺めている人のように、その辺に座って眺めていた。

「ねぇねー!!もうなんでセシルがいるのか説明してよーッ!!」

完全に出会い始めの頃と同じくらいのテンションに戻りきった様子でいるヴェクセルが、セシルに問う。

「あぁ、ごめんごめん。えっと・・・それが私にもよくわからないんですよ。」

「どうしてわからないの??」

怪訝そうにヴェクセルがセシルに問うと、セシルは覚えている所から説明した。

「確かに・・・朱雀事件の後、私は過去で死滅したはずなんですが・・・何故か生きていたんですよねぇ・・・なんでしょう、魂が吸い寄せられるというか・・・なんというか・・・?」

自分でもよく分かっていないのだろう。

それだけしか口から言葉は出てこなかった。

「でも・・・まあいいじゃんか!!」

「それもそうだね!」

子供みたいに笑って、レイスとヴェクセルはセシルに飛びついた。

セシルは2人を受け止めて、クスクスと笑う。

「おかえり!セシル!」

「ただいま・・・!」



皆がセシルと再開を喜んでいる頃、ホーリィはある人物と接触していた。

接触していた相手は、レイスのフリンジを分解した張本人・・・あのときの魔法使いだ。

かなり弱った様子だったが、ホーリィに接触したのは、何か成し遂げるためだろう。

「これ・・・を、貴方に持っていて欲しいんだ。」

ホーリィが渡されたのは、真っ白な紙と、彼自身の命である水晶玉だった。

「これは・・・?」

「終わりが終わりを呼ぶとき、始まりが終わりを告げて、始まりは消える。その時に、きっと必要になるものなんだ。どうしても・・・どうしても道に行き詰った時に、これを使ってください。私には・・・もう・・・そうするしかない。」

「あ・・・ちょっと待って!君は・・・?」

立ち去ろうとしてホーリィに背を向けた彼は、一度立ち止まって名前を名乗った。

「シウテクトリ。」

それだけ言うと、シウテクトリはさっさと立ち去った。

残されたホーリィの手の中には、受け渡された紙と水晶玉だけが残されていた。

「シウテクトリ・・・。」

ホーリィはあることを思い出していた。

そもそも、ホーリィもレイスと同じで、むこうの世界からきた人物の1人。

その頃のことが頭の隅にかすかに残っている。

戻ることができないまま、むこうの世界にいたころの記憶を失って完全に『ホーリィ』になってしまう狭間で、必死に思い出す。

(そういえばシウテクトリって聞いたことあるぞ・・・何か・・・神話とかそんなやつで載ってたな・・・神様一覧表みたいなのをみたような気がするんだけど・・・。)

頭を抱えながら、思い出そうとしていると、そこへ丁度エイトとカレンがやってきた。

「あ。ホーリィ!」

「久しぶりです。」

2人は、サンセット社独特の黒いスーツに身を包んでいた。

腕には、2〜3個つけているシルバーアクセサリーが光っている。

そもそも、『黒スーツを着る』こと以外は別に規制がない会社のため、別にアクセサリーしてようが、髪の毛をバカみたいに赤く染めたりしても構わないのだろう。

でも、それでも彼等は、他の社員と比べたら、地味なほうだ。

「やぁ・・・偶然だね。今日の仕事はもう終わったのか?」

「うん。今まで遠方長期任務だったからねー・・・これから長期休暇だよ!」

「そうなのか。ご苦労様!」

「うん。ところで・・・ホーリィは何をしていたの?」

「あぁ・・・ちょっと道を聞かれてな。あ、そうだ。2人ともセシルの店に来いよ。レイスが帰ってきてるんだぜ?」

「本当?!行く!」

ホーリィは、2人を引き連れて、立ち入り禁止区画にあるセシルの店へと向かった。



セシルの店に、ホーリィが2人を連れて訪れると、丁度レイス達も店の方へ帰ってきていた。

久しぶりに見た、レイスを見て、2人は大いに喜んだ。

セシルがいたことには、かなり驚いていたようだが。

「えへへ♪久しぶりに旧メンバーが揃ったね!」

「シオンとヘルとカイトとかもまだいたんだろうけど・・・あの三人は、今別の次元にいるしね?ちょっとそこのメンバーとかに会えないのが、寂しいね。」

「でも、再び揃えた奇跡に私はかなり感動してるんですけどね?」

仲間同士でクスクス笑いながら、少しだけ。世間話をした。

それからしばらくして、イサがあることに気がついた。

「・・・ホーリィさん。」

「ん?なんだい?イサ。」

「ポケットに入れている物・・・見せてくれませんか?」

「え?なんで分かったのかな?まぁいいけど♪」

ポケットに突っ込んでいた水晶玉と、真っ白な紙を取り出して、それをイサに渡した。

イサは、それをみて、一瞬固まった。

が、それを受け取ると、何かを確認するように、必死になって水晶玉をあらゆる方向からじっくりとみた。

「イサ?どうしたの?」

一心不乱に水晶玉の何かを確認し続けるイサに、レイスは声をかけた。

「これは・・・ヒスアリック語!」

「!」

「イサ、ヒスアリック語が分かるの?!」

神に仕えし神代行役。アバターにしか読み解くことはできないヒスアリック語。

それを、なぞるようにして、イサは読み解いた。

「ヴィ・キルト・ルフェル・ガイデュ・・・我、名を解き放つことなき霧風。」

イサがそう言葉を紡ぎ終わると同時に、イサの懐で何かが光り出した。

軽くイサの体が浮いて、すぐにガラスが割れる音がした。

「・・・う・・・そ・・・」

上着の中からガラスの破片がパラパラと床に落ちて、イサはそれを驚いた様子で見ていた。

「・・・・・・シウテクトリ・・・」

「え?イサ、なんで知ってるの?」

「やっぱり。これはシウテクトリから貰ったんですね・・・。」

イサは持っていた水晶玉を近くのテーブルにおいて、自分の服から零れ落ちたガラスの破片を集め始めた。

「シウテクトリっ・・・て?それに、今のヒスアリック語の意味は・・・?」

セネルがイサにそう質問すると、イサは言葉を紡いだ。

「・・・シウテクトリは、僕の古い友達。彼は、これをホーリィに渡した・・・そうだよね?ホーリィ?」

「あぁ。」

「この水晶玉は、シウテクトリの命そのものといえるものでもあるんだ。これにはシウテクトリの魔力の全てが詰め込まれている。これは、きっとシウテクトリが、いざって時に僕たちに使うように差し出したんだと思う。でも、この水晶玉を渡した目的はあと二つ別にある。」

イサはシウテクトリの水晶玉を手にして、ヒスアリック語で刻み込まれた場所を示して見せた。

「ここには二つの言葉が刻み込まれています。1つは『終わりが終わりを呼ぶとき、始まりが終わりを告げて、始まりは消える時』に使うもの。もう1つは、僕にかけられた制御を解除するもの。」

「イサにかけられた制御?」

そう聞くと、イサは頷いて先ほどの砕け散ったガラスのようなものの破片を見せた。


「この中に閉じ込められていたメインメモリー以外の全ての記憶と魔法の制御。」


イサは、薄く笑った。


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