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ORDER10【R.E.D.総務部捜査課3】

ORDER10【R.E.D.総務部捜査課3】


「イサ!」

倒れていたイサはセネルとヴェクセルに見つけられた。

激しい痛みのがまだ多少残ってはいるが、命に別状はなかった。

なんとか体を起こして、2人に状況を説明する。

「レイスが拉致されたんですか?!」

「うん・・・行き成り後ろから殴られて・・・顔みれなかったんだけど・・・あの声何処かで聞いたことがあるような気がして・・・。」

必死に思い出そうとしているイサだが、中々思い出せないでいるらしい。

そんな中、セネルはイサが倒れていた近くにある時計台の柱の下でキラキラと光る何かを見つけた。

それは、黒い手帳の中に金属で作られたバッチがついていた・・・。

「R.E.D.の手帳・・・コードネーム・・・『記憶の調べ』」

セネルが手帳を開いて社員証の表記されているページをみていると、そこには名前は明記されていないが、ショコラの写真が載っていた。

そして、その手帳の中には読めそうにもない、見たことないような言葉で何かをメモされた紙が一枚入っていた。

「それは?」

「ヒスアリック語でしょうね・・・。」

「ヒスアリック語?」

セネルが手にしているメモ紙を覗き込みながら、ヴェクセルが問いかける。

その質問にセネルは知っている限りで、答えた。

「僕も詳しくは知らないんだけど・・・ヒスアリック語っていうのは、アバターって呼ばれる神様代行みたいなことができる種族の人々が、他の人には解読できないように神様の言葉で書き表した文字だと聞きます。」

「神様代行・・・?つまりさ・・・この文字が書かれているということは・・・ショコラは神様代行をできる人ってこと?」

「かもしれませんね・・・。」

手帳のほかのページもぱらぱらと開いてみると、やはり、どれもヒスアリック語で書かれている。

「どうやら犯人はショコラ達のようですね。R.E.D.へ行きましょう。きっとそこにレイスはいるはず。」

セネル達は、急いでR.E.D.へ向かって走り出した。



「ふざけんなっ!!」

レイスは近くに転げ落ちていた何かについていたであろう棒を拾い上げて、2人に向けていた。

「神だとか、生命反応とか因子とか!!何意味わからないこと言ってるんだよ!!」

「無理無理。アバターに変化できない今の君には俺達に敵わないよ?」

ショコラがレイスの動きを封じようと棒を取り上げようと近づくと、レイスはショコラに向かって振り上げた。

「・・・ふぅん。本気なんだ?」

「・・・本気だ。」

「なら仕方ないな・・・」

ショコラは機械的な翼を広げて杖を構えた。

その先端には微粒子のようなものが集まり始めていた。

(なんだあれ・・・)

魔法とはまた違った感じがして、レイスはそれをじっとみていた。

「ならば消えてしまえ。」

そうショコラが口にした後、微粒子の集まりがレイスに向けて放たれた。

間一髪それをレイスは避けたのだが、次々とその微粒子の塊はレイスに向かって放たれ続け、レイスは攻撃をしかける暇がない。

避けるだけでもかなり疲れるもので、レイスは少しずつヘトヘトになっていた。

(畜生・・・前みたいに魔法が使えたらいいんだけど・・・何でか使えない・・・。魔法さえ使えれば、攻められるのに・・・。)

この状況を乗り越えるための術を考えているとき、足がもつれてしまった。

「うわっ!?」

うつ伏せにこけてしまって、背後を取られては不味いと思い、すぐに立ち上がろうとしたのだが、もう既に微粒子の塊は目の前まで飛んできていた。

(俺・・・負けるのか・・・ここで。)


―――負ける?笑わせないでください。私がそんなことさせない。―――


「・・・っセシル?!」

「?!」

ショコラとレイスの間に眩しい光が広がった。

2人の戦いを後ろで見ていたぷにぷにも、その瞬間何が起こったのかよくわからなかった。

ただ、眩しすぎる光がずっと続いていただけ。

それが、ゆっくりと治まり始めると、そこから人影が現れた。

その人物は、レイスがよく知っている彼だった。

「あ・・・!」

「大事無いですか?」

長い黄緑色の長髪の大道魔術師、セシルだ。

セシルをみて、ショコラ達はセシルを見て小さく微笑む。

「君も生命反応がないところを見ると、どうやら・・・レイスと同じようだね。」

「ふふ・・・手合わせするのは久しぶりなので手加減してくださいね?」

「いくぜっ!」

ショコラは雨のように微粒子の塊を降らせた。

しかし、それにセシルは動じることなく、いつの間にか手にしていたカードを手札から一枚引くと、その絵柄をショコラに見せるように向けて魔法を発動させた。

「サイレント・レイン!」

土砂降りなのだが、音もない雨が、降り出した。

その雨は、ショコラが放った微粒子を包むようにして消してしまった。

それを見て、ショコラは唖然としていた。

「嘘だろ・・・神の技が通用しないなんて・・・」

後ろで見ていたぷにぷにも驚いた様子で、嘘だとでもいいたげに、セシルを見ていた。

「貴方達。レイスのことを調べるつもりだけのはずだったのではないのですか?しかし、まさか本気で攻撃しようとは・・・許せませんね。」

微笑みながら話していたセシルの表情は、少しずつ笑わなくなり、冷たい瞳で2人を捕らえていた。

「待て、セシル!!」

「レイス・・・。」

「よくわかんないけど・・・精神崩壊させることしちゃだめだぜ!!」

レイスが必死になって、セシルが2人に再び魔法を出そうとして手札からカードを新たに引こうとした手を止めた。

なぜ、精神崩壊するのかは、セシルが手にしていた魔法カードに問題があったからだ。

彼が手にしていたカードは精神崩壊させるカード【マインド・ハック】。

どうしようかとセシルが困った様子でいると、突然ぷにぷにもアバター化して、ショコラと一緒に攻撃を仕掛けてきた。

2人分の攻撃などくらってしまったらたまったものじゃない。

咄嗟にセシルは魔法壁を作る。

「ちっ・・・どうしてこんなに魔法が強いのかなぁ。この人。」

「ごめんけど、2人とも返さないからね。」

さすがR.E.D.の社員と言うべきか・・・狙った獲物は逃がさないつもりらしい。

そして、逃げられないために四方をロックされた密室。

セシルとレイスはどのみち逃げることなどできないというわけだ。

「・・・困りましたね。」

「ごめん、セシル。俺にも魔法が使えたら・・・。」

「今なら・・・使えます。今の貴方にはセネルが出現したことによって自動的に交わされた契約は記憶が消された貴方には無効化状態にありますが、以前、私が貴方に交わした契約が、ここに私が再び存在したことによりその契約の効果は有効状態になっています。」

(あ。そうか・・・てことは・・・今なら前の状態での魔法が使えるってわけか。)

「ならセシル、俺も援護するぜ!でも、そのカードは使ったらだめだからな!」

そう言って、レイスも構えた。


蘇る。

あの頃の感覚が。

体の奥底から引き出すようなこの感覚。



「いくぜぇ・・・。」

レイスの周りに無数の画面が広がる。

これは、以前エイトを助けるときに使っていた技の1つだ。

魔法で画面とキーボードを出現させ、どこのデータベースにでさえ侵入できる。

いわば、魔法ハッキング。

この魔法はレイスが黒羽鈴守としての記憶をなくしていたときに開発した魔法のため、この魔法はレイス以外には使えない。

そのため、2人はレイスの魔法に驚いていた。

「その魔法は・・・」

「R.E.D.のデータベースに進入。四方のドアのロックを解除。おいおいなんだこれ!これがR.E.D.のセキュリティレベルってこんなに単純なのか?!笑わせるよ!!!」

レイスの発言に頭にきたのか、ぷにぷにが手にしていた大鎌を振る。

振ることによって、大鎌からは刃のような粒子が飛んできたが、レイスはソレを、魔法壁で弾き返す。

弾き返された粒子の刃は、ぷにぷにに向かって飛んでいく。

それを、ぷにぷには間一髪で避ける。

(なんだ・・・こいつも魔法で神の技を弾き返すだと?!)

弾き返された粒子の刃は、ぷにぷにの背後にあるデスクと壁をえぐっていた。

「よそ見してると危ないぜ!」

レイスは呆気にとられていたぷにぷにの周りに光の剣を出現させた。

光の剣は切っ先をぷにぷにに合わせると、容赦なく刺していく。

まぁ、本物の刃で刺されるわけではないので流血することはないのだが、魔法による痛みはある。

それを全てダイレクトに食らっているのだ、とてもじゃないが、ぷにぷには立ち上がれない。

「!!」

ぷにぷにが倒れていることに目を奪われていたショコラは、セシルに背後を奪われてしまう。

「戦いの最中に敵に背中を見せるなんて・・・それでもR.E.D.の社員ですかぁ?」

セシルが引いたカードは銀色に輝く狼の絵の描かれたカード。

「行け!シルバー・ウルフ!!」

カードからは銀色に輝く狼が飛び出し、ショコラへ向かって駆けていった。

シルバー・ウルフは、そのまま、ショコラの体を貫いた。

「うぐっ・・・!!」

ショコラも片足をついた。

「私とレイスがいる前では、2人は敵ではありませんよ。」

「なんか木っ端ずかしいなぁ・・・その台詞。」

ショコラの顎を持ち上げてニヤリと笑うセシルの後ろで、レイスはため息をついて頭を抱えている。

「ちっ・・・なんで貴方達には攻撃が津洋しないんだ・・・」

苦しそうに呼吸をしているショコラにセシルは、耳元で何かをささやいた。

しかし、それはレイスには聞こえることはなかった。

だから、どうしてその時、ショコラが驚いた表情でセシルとレイスを見ているのか、レイスには分かることはなかった。

「さぁ、帰りましょう。レイス。」

「え?あぁ・・・うん。」

そっとショコラに包帯と治療薬を渡して、レイスはセシルと共に部屋を出た。

その後ろ姿を、ショコラはずっと眺めていた。



『それはね・・・私達2人が・・・―――』



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