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Order9【完全廃墟地区エリア2】

武装集団に完全包囲されてしまったセネルたちだが、いくら魔法使いとはいえ、詠唱中に攻撃されたりしたらたまったものじゃない。

「こまりましたね・・・」

セネルが頭を抱えていると、イサが一歩前に出た。

「仕方ないね・・・これは僕の力というわけじゃないからあまり使う気はなかったんだけど・・・。」

そう言い、イサは魔法の力らしいもので重剣を取り出した。

重剣はとても大きなもので、長さは1mくらいだろうか?

透き通るような刃を宙で踊らせた。

「それは・・・」

「ウィアドの力の一部。彼が最も得意とした剣舞魔法を使用するときの剣だよ。僕が代わりにウィアドの代行をする。だから、セネルは後ろで詠唱していて。僕がサポートする。」

「わかりました。」

イサが剣で武装集団で立ち向かうと同時にセネルは背後で魔法を詠唱し始めた。

武装集団が発砲してきた弾丸をイサが剣で弾き返しながら、近づいてきた武装兵士を倒していく。

背後からセネルが炎攻撃を放ち、それは武装集団にクリティカルヒットする。

しかし、集団の後ろに隠れていた者たちが手榴弾を投げつけてくる。

なんとかそれを魔法壁で防いだが、幾度も投げつけられてくるのでセネルには防御するのが精一杯で魔法を詠唱する時間がない。

「っ・・・くっ・・・」

流石に長時間の魔法壁もセシルほどの魔力があるわけではないセネルには相当苦しいもので、精神力・体力・共に少しずつ削られていく。

それではただ無駄遣いしているだけにしか過ぎない。

どうするべきかと考えていると、セネルの背後から暖かい体温が感じられた。

「・・・・・・。」

「え?」

不思議に思い振り返ると

それまでセネルの横でぼーっとしていたレイスがセネルの手を覆うようにして、大きな魔法壁を生み出した。

まるで、セネルに防御している間に攻撃を仕掛けろとでもいうように。

「・・・・・・。」

彼はフリンジが戻らない限り何も喋らないし、自分達の声には反応も示してくれない。

無言の表現で常にセネルたちを見ている。

その視線は死んでいるはずなのに、その時セネルには微笑んでいるように見えた。

「ありがとう。よし!イサ、そこを退いて!!!」

高速で魔法を詠唱し、セネルはイサに叫んだ。

それまで攻撃を弾き返していたイサも、武装集団の前から飛び避けるように身を引いた。

そして、そこでセネルが魔法を放つ。

「墜ちろ!光の天罰・・・プリズムジャッジメント!!」

セネルがそう叫ぶと同時に、手の内から光の刃が幾多も飛び出し、武装集団に向かって飛んでいった。

光の刃が前衛の武装集団を貫くと、すぐに後衛の武装集団が姿を現す。

それに向かってイサが剣で次々に倒していく。

数名がセネルとレイスの方へ向かってやってきていたが、それはすぐにレイスが殴り倒した。

「とりあえず、片付いたみたいだね。お疲れ様、イサ、レイス。」

そう言ってセネルが微笑んだ。

すぐに駆け寄ってきたイサとレイスはセネルと一緒に先ほどのダンボールの中身を一部採取する。

もちろん、警官部隊としてしられているR.E.D.へ提出するための証拠品として。

「これでここの人たちはすぐにR.E.D.の方々によって逮捕されますね。これはなんとも面白い話だ。」

「セネルって妙なところで腹黒いって言うか・・・鬼畜だよね。」

「さて・・・あとは、そこの動力炉を落とそう。そしてショコラと落ち合いしなきゃ。きっとショコラも危険な目にあってる。」




「ふぅ〜・・・助かったぜぇ『ぷにぷに』」

「ぷにぷにって言わないで!ニブルって呼んでよ!本名がぷにぷにってなの一番最悪なことなんだよ!!今まで生き抜いてきた中で超最悪なんだよ!!!」

上のバー店内ではマスターとその他客役の武装兵士は完全に伸びきっていた。

倒したのはショコラとぷにぷにと呼ばれている自称『ニブル』と人物2人である。

ぷにぷには可愛らしい女物のような少しゴスロリ気味の洋服に身を包んでいる小柄な男性で、実はショコラの幼馴染みである。

何故ここにいるのかというと、ショコラがこの店内で戦闘中l、とてもじゃないが一人では手に負えないと思い、腕にしていたアクセサリーに仕込んでいた発信機でぷにぷにを呼び出したのだ。

そのため、すぐにぷにぷにが到着してショコラの援護に買って出たのだ。

「全く・・・なんでショコラはこんな隔離された場所にいるのさ。そもそもここが麻薬密売取引所であって危険な場所ってことくらいライキュートにいたなら分かるでしょ?アホじゃないの?死にたいの?ねぇ、死にたいの?」

「ちょ・・・怖いよぷにっち。ごめんって。俺にも色々理由があるんだって。確かに今日の仕事サボったのは悪かったって思ってるけどさぁぁぁ!!」

「はいはい。わかったわかった。今日の分はもちろん残業してもらうからね?覚悟しとけよ?」

可愛らしい微笑みに隠れる黒い微笑にショコラは一瞬身の危険を感じた。

(やっぱりぷにぷにには逆らえないな・・・。)

身震いしつつも、ショコラはぷにぷにを連れて、セネルたちと合流するために奥のドアから向かえに行こうとすると、丁度セネルたちがやってきた。

「やっほーショコラ。」

「いや〜死ぬかと思った。」

多少ボロボロになって帰ってきたセネルたちを見て、一瞬ショコラはびっくりした。

「もしかして敵そんなに多かった?」

「武装集団が蟻のようにうじゃうじゃうじゃうじゃ・・・あれ?そちらの方は?」

「あ、僕はニブルです」

「本名はぷにぷにな。」



「黙れこのカス野郎。」




「あ。でさ、動力炉落としてきたから、多分これでゲージは開くと思うよ。あと、ここでやっちゃいけないことやってたみたいだから、その証拠品を採取してきたんだ。これをR.E.D.に提出してここで密売させてやらないようにしてあげましょう。」

沈黙が続いていたが、それをまるで何事もなかったようにセネルがスルーして話を始めてくれたため、その場の空気はなんとか持ちこたえた。

そして片手に魔法結晶石でできた麻薬をちらつかせた。

それ見て、ショコラとぷにぷには一瞬目を細めた。

「ふぅん・・・ここもやっぱり不正行為働いていたわけだ・・・。」

「おや?まるで警備官のような発言をなさいますね?」

ニヤリと笑いながらセネルが2人にそう聞くと、2人もセネルのようにニヤリと笑って見せた。

「もう気がついてるんだろう?魔法使いさん。」

「さぁ?なんのことでしょう?」

更に怪しく笑っているセネルの様子をみると、どうやら2人がどんな存在か気がついているらしい。

「なんなの?」

よくわかっていない様子のイサがショコラとぷにぷにに問いかけると、2人は懐から黒い手帳を出だして、携帯開くようにして中を見せた。

そこには、金色の金属で作られた何かの紋章のバッチがついていた。

「やっぱり・・・R.E.D.の方だったんですね、その紋章はR.E.D.のものだと聞いています。」

「レッド?」

「えぇ。RevisionElementDiary・・・通称【R.E.D.】。会社の50階以下は普通のサラリーマンと聞いていますが、それより上の層にいる社員は、全員なんらかの特殊能力を持ち合わせた人々だと聞きます。昔は魔法使いも豊富にいたと聞いていますが、いまはいないでしょうね。」

セネルがそう2人に言うと、2人は頷いて魔法など使えないといった。

しかし、セネルにはそう思えなかった。

確かに彼等に魔法などが使えないというのは、彼等から感じ取ることができるのだが、魔法とは違う、何かもっと大きな力が感じ取れ、その力があまりにも強すぎて圧迫される気持ちだった。

「2人はどんな仕事してるの?」

それに気がつかないように、イサが2人に話しかける。

ぷにぷにはイサから目を離さないで話を続けるが、ショコラはセネルのほうを見ていた。

おそらく、察知されているのをショコラは感ずいているらしい。もちろん、ぷにぷにも感ずいているのだろうだが。

「僕達は警察予備軍みたいなものです。デスクワークもやりますが、危険な仕事に借り出される兵士って感じですかねー・・・。で、セネルさん、話代わりますが、その証拠品僕らに提出していただけますか?ここ一面、封鎖するようにして、パクリをしますんで。」

「えぇ、構いませんよ。それじゃあお2人はお仕事をがんばってくださいね。ショコラさん、今回はわざわざレイスのフリンジをお伝えいただきありがとうございました。では、イサ、レイス、行きましょう。」

そう言ってセネルたちはぷにぷにとショコラの元から離れて、レイスのフリンジを取りにゲージの前に向かった。

その後ろ姿を見送りながら、丁寧な言葉でさきほどまで話していたぷにぷにが、いきなり別人のように話し出した。

「なぁ・・・アイツ、なんで死人のくせして生きてやがってんだと思う?実体化する力でもあるというのか?」

「知るかよ。だが、俺たちが『アバター』になれるくらいだ。別に死人が実体化していても不思議じゃないんじゃねぇの?」

「・・・まぁそれもそうかもしれねぇな。だが、何か納得いかないぜ・・・。」

静かにそう言い、ぷにぷにはその場から足音もなく立ち去った。

続いて、ショコラもこのエリア内から立ち去った。



再びゲージの前に行くと、イサは早速レイスのフリンジを摘出した。

イサの持っているフリンジゲージには1つ分のフリンジがたまり、レイスに返すことができる状態になっていた。

「これでレイスのフリンジ、1つ分が返すことができる!」

「やりましたね!さ、早くレイスに。」

頷いて、イサはレイスの前に立って、フリンジゲージをレイスに向けて放った。

ゲージの中から1つ分のフリンジの光が出てきて、レイスの体の中に溶け込むように入っていく。

それと同時に、虚ろな瞳が一度閉じて、輝きを取り戻した瞳が開かれた。

「・・・うぁ〜〜〜っ・・・なんか凄い寝たぁ・・・」

呑気にそう言いながら、レイスは背伸びをして息を吐く。

「レイス!」

「ん?」

虚ろな瞳を消し、喋り出したレイスを見て、イサとセネルが嬉しそうにレイスにかけよる。

しかし、レイスは不思議そうな顔をして困っていた。

「レイス?」

「うーん・・・てか、お前誰だよ?それになんで俺の名前知ってんだ?どこの高校の生徒だよ、こんなコスプレしちゃって〜・・・」

どうやらレイスの記憶は本の中に来る前の黒羽鈴守として過ごした日々の記憶しかないらしい。

「・・・どうやらまだフリンジが足りないようですね。今回返すことができたのは『声』『視覚』『以前の記憶』だけのようですね。」

「そっかぁ、じゃあまだまだ集める必要があるんだね・・・」

「なんなんだ?」

今、どうゆう状況に置かれているのかわからないレイスに二人はのちに説明することにして、とりあえず今はこのエリアから出て行くことにした。

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