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異世界の神と最強娘  作者: 格闘王
第一章 出会い
13/18

神から生まれたもの

今回は長いです。ギャグがようやく入りました。

荒野に人影が二つ物凄い速さで移動している。一人は動きやすさを追求した鎧。一人はローブ姿だ。鎧を着ているのは男で背中には、男より少し小さい先ほど仕留めた四足歩行の獅子が乗っている。ローブを着ているものは男の腰程度しか身長がなく少女だった。少女は魔法を用い身体能力を飛躍させ男の速さに付いて行っている。


「フム、もうここの獲物はシャオだけでも十分仕留められそうだな。」

「・・・ぱ、パパ無理だよ。さっきだってパパが最後の一撃決めたじゃない。」

「でも、大体の(やから)は倒せるよな。」

「うん!」


二人は荒野で今日の食料を調達していた。パパと呼ばれた男は武神修羅。神である。もう一人の少女は彼の義理娘シャオである。


「今日もいい獲物を獲ったな。」

「うん。血抜きも内蔵の処理も終わったしね。」

「これで、一人で食料調達も出来るな?」

「うん!・・・でも一人では不安だよ。せめてもう一人はいて欲しいな。」


「パパとか」とシャオは小さな声で呟いた。


「ん?なんか言ったか?」

「な、なんでもない!は、早く帰らないと師匠飢え死にしちゃうよ!」

「そうなのか?では急ごう。」


「ちょ、パパ」とシャオが言い出す前に修羅はあっという間に見えなくなってしまった。

「パパ、早すぎだよぅ。」


修羅とシャオが出会ってちょうど2年。師匠こと荒野の魔女『ミガルデ』の小屋に来て1年シャオはみっちり魔法の修行をしミガルデに褒められるほどの実力を付けた。まだちょっぴり泣き虫ではあるが、見た目は9、10歳で膨らむべき所は少しづつ成長している。当初修羅がいないとシャオが泣き出すので修羅はミガルデの小屋にシャオと居候していた。魔法の基本は「我の眼前」という言葉で相手の位置を決め、「焼き払え」で炎を想像し魔力で形にする。半年程で魔法の基礎が一通り終わり様々な応用の講義に移行した。先ずは魔力の不可視化、次にイメージだけの魔法の発動。基本の言葉での発動をせずイメージだけで魔法を発動する。だが、上位の魔術師でも発動は難しく発動しても基本の発動の方が強力だったりする。その為、使う魔術師は(まれ)だ。シャオが魔法の応用が出来るようになるのはまだ難しく簡単な魔法しかできなかった。できずによく泣いていた。それを見かねたかは定かではないが、修羅が気分転換と称し魔法の修行と並行して獲物の狩り方、調理の仕方、毒を持っているものの見分け方等教しえた。食料調達と荒野の散策をかね何度かサバイバルを行なった。実戦経験の乏しいシャオに打って付けだった為、思いのほか魔法よりそちらを重視してしまった。今日はミガルデの小屋に戻る日だ。



「・・フム、歩いて半日の所にあるのか。」

「はい。でもどうされたんです?急に魔族の民家など。」

「いや、もうその時期になったなと思ってな。」

「はい?」


小屋に戻ったらパパと師匠が話をしていた。何の話だろう?あっ、そうだ師匠に挨拶しないと。


「師匠!」

「っ、シャオ!」


二人の周りに魔法陣が次々と現れ、火、水、土、雷、氷の順に拳が作り出され相殺されていく。そして


「我が魔法は!」

「世界の母よ!」

「全身浸透!」

天覇驚愕(てんぱきょうがく)!」

「「見よ!魔導(まどう)は世界を照らして行く!!」」


今日も師匠との挨拶は完璧。でも最後はなぜか拳と拳を合わせないといけないのは(いま)だに理解出来ないよ。


小屋でミガルデとシャオが楽しく食事をしている。先ほど持って帰った獅子を今日食べる分だけを使い他は干して保存食にする。今日は獅子を使ったスープだ。修羅も一緒に食べている。神は食べなくても神生活に問題は無いが、当初シャオが食べないと泣きじゃくり自分も食べようとしないので一緒に食べるのが当たり前になってしまった。


シャオが完全に食べ終えたのを確認し


「・・・では、行くか。」

「えっ、もう行かれるのですか?」

「ああ、随分と世話になったな。たまにシャオが来るだろうから相手をしてやってくれ。」

「滅相もない。良い弟子ですからうかうかしてると、こっちが相手をしてもらうハメになってしまいます。」

「し、師匠。そ、そんなことは・・・でも、師匠に言われるなんてちょっと嬉しいです。」

謙遜(けんそん)はよして。本当に貴女は良い弟子です。あまり自分を過小評価しないで、足元すくわれるわよ。それに貴女はこの世界を変えるかもしれないわ。」

「私が?」

「そう、私の直感。よく当たるのよ。」

「分かりました。師匠の名に恥じないよう日々精進します。」

「では、行くぞシャオ。」

「はい、パパ。」



 二人の小さくなる背を見つめた私は大きな不安を抱いていた。修羅様が言った「シャオが来るだろうから相手をしてやってくれ。」との言葉。自分はここにもう来ないのか、あるいは来れないのか。そしてシャオが帰ってくる前に聞かれた「夫婦で荒野に住んでいる魔族」。まさかとは思うが、無いとは言い切れない。修羅様の考えが私の考えているものではないことを祈ります。




「フム、この家か。」


修羅とシャオは荒野に佇む一件の家の前に立っていた。


「パパ、この家何?」

「ああ、今からシャオが世話になる家だ。」

「え゛」


シャオの顔が引きつっているのに気付かず「ごめんください」と修羅は家のドアを叩いた。


「はい、どなたさんで。」


シャオと同じような銀髪で肌白い男が出てきた。


「この子シャオを養子にしてやってくれ。」

「「は?」」


シャオと男の声が驚く程綺麗に重なった。


「こいつは俺の血の繋がった娘じゃない。同じ魔族のあんたにシャオを頼みたい。なに、この荒野でも生きていけるように教えてある。問題ない。」

「ぱ、パパ?」

「じゃ、頼んだ。」

「お、おい。」


シャオは目に涙をいっぱい溜め今にも泣き出しそうだ。しかし、修羅は振り向こうともせず来た方向に歩いている。シャオに「無責任な奴」と思わせこれ以上関わらせない為に修羅は歩いて去ろうと決めていた。


「ぱ、パパ!ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!!!!」


ついにシャオは泣き出してしまった。


「あんた、どうしたんだい?子供の鳴き声が聞こえるんだけど。」


家の奥から男の嫁だろう女性が出てきた。


「い、いやあいつが急に来てこの子を置いていっちまった。」

「はぁ?それは本当かい!!」

「あ、ああ。」


女性の剣幕(けんまく)に押され男は少し引きながら答えた。シャオはあれからずっと泣いている。


「・・・あのガキね!まてぇーーー!」


「ん?」と修羅が振り向いたらさっきの家から物凄い剣幕の女性が走ってくる。そして、何処から現れたのかその右隣に物凄い形相のミスラが一緒に走ってきていた。


「何故ミスラがここに?」


ミスラと女性はお互い一瞬「はっ」としていたが、頷き


「「このボケがぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!!!」」


と事前に練習をしていたかのような綺麗なドロップキックを修羅の腹に叩き込んだ。無論ミスラは神力を使っている。


「ぐは!!」


修羅は後ろに吹っ飛び背中から地面に落ちた。


俺の中で何かが音を立て生まれた。

 

「てめぇ!ミスラ何しやがる!!」


俺は()った。


「貴方何考えてるの!シャオちゃんを勝手に置いていって!!」

「そうよ!見なさいあの子泣きじゃくっているわ!!」

「泣くのはいつものことだ!それに俺はシャオの実の父親じゃねぇ。魔族のお前らが育てたほうが良いに決まってる!」

「私たちに押し付けないで!それにあの子がそれが良いって言ったの?」


女は修羅が行った事がどうしても許せず怒鳴り聞き返した。


「いや、俺がそうしようと決めていただけだ。」

「っ、ならあの子にそれを押し付けないで!あの子にも私たちにとっても迷惑よ!!」



私は最初何が何だか分からなかった。パパが私を知らない人に「養子にしてくれ」って言って、その後私を置いて歩いて帰ろうとしている。私は急に悲しくなって泣いた。思いっきり泣いた。パパが振り向いてくれるかもしれないから泣いた。パパが止まってくれるかもしれないから泣いた。でも振り向いてくれない、止まってくれない。そんな時後ろから女の人がパパに向かって走っていった。私には何も分からなかった。横から急にミスラお姉ちゃんが一緒に女の人とパパに向かって走っていた。私は泣いていた。何も出来ずにただ泣いていた。ふとパパを見たらミスラお姉ちゃんと女の人がパパを蹴り?飛ばしていた。・・・私がパパを守らないと!!




「パパをい゛し゛め゛る゛な゛!!」


気づけば修羅とミスラ、魔族の女性の間にシャオが涙を流しながら両手を横いっぱいに伸ばし立っていた。


「ぱ、パパをいじめないで!っひっく!」

「い、いじめないでって。」


魔族の女性は困惑した顔をしていた。


「シャオちゃん。」


ミスラは何故かニコニコしていて慈愛の表情になっていた。


「シャオ、俺に関わる・・」


「な」と言おうとしたが俺は言葉を飲み込んだ。今俺は()っていた。


「これが怒る。くっ、あっははははははははははは。これが面白いか!」


シャオと魔族の女がビックリして修羅を見た。ミスラは相変わらずニコニコしている。


「どう?それが『感情』。貴方がシャオちゃんにしようとした事はその感情を踏みにじる事。」

ミスラは淡々とした口調で言った。

「フム、これが感情か。なかなか興味深いなこれは。」


シャオが少し落ち着きを戻し、魔族の男が合流したとき、凛とした声でミスラから言葉が放たれた。


「我れ世界の最高神『ミスラ』から武神『修羅』へ告げる!この世界の娘『シャオ』と共にこの世界を旅し世界を見よ!!」


私はビックリした。今まで見たこともない凛としたミスラお姉ちゃんがパパと私で世界を旅しろって言った。そして私にウインクしてくれた。


「ああその(めい)(うけたまわ)った!そこの魔族の二人悪かったな。」


修羅は二人に向き直ると頭を下げた。二人は呆気にとられていたがようやく神々のやり取りだと気づくと土下座をし


「め、め滅相もない、武神修羅様とは知らず無礼の数々。どうぞ我らの命をもって!!」

「いや、気にするなおかげでいい感情(もん)もらった。それに悪かったなシャオ。」


修羅はシャオにも頭を下げた。


「ううん。いいよ。今パパが(あった)かく感じるようになったもん!!」


二人を優しくミスラは見つめていたが意を決した顔で修羅に話しだした。


「武神修羅よ。太古からの友としてお願いしたい。異世界の勇者をこの世界から出してくれ。この世界の神々では手が出せんし、目に余る所業をこの2年してきた。あの者をこのまま放置することは出来ない。嫌ならいい。これはお願いだ。」

「我が友ミスラよその願い受けた。」

「すまぬ。」

「だが、旅をしながらその所業を俺も見る。いや『俺達』がだ。見て驚異がなければ俺達は干渉しない。しかし、この世界を破壊しそうな(やから)は捨てておけん。ことあらば、滅す。」

「・・・貴女に任せるわ。ありがとう受けてくれて。」


ミスラは肩の荷が降りたのかようやく普段の口調に戻った。


「気にするな。『友』だろ。」

「ありがとう」

「さぁ!シャオ旅をするぞ!!支度に帰るか!」

「うん!!」


修羅とシャオは笑顔(・・)のまま修羅の(やしろ)に向けて歩いて行った。二人仲良く。この日初めて神は笑い、少女は修羅との旅と云う夢が叶った。

ありがとうございました。

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