宝島
ザブン、ザブン ザブン、ザブン
イルカは大海を泳いでいた
ザブン、ザブン ザブン、ザブン
「本当に宝はあるの?」
「太陽さん、本当にあるの?」
ピカピカ、ピカピカ
「あぁ、あるよ」
「宝島は存在する」
ザブン、ザブン ザブン、ザブン
「どっちの方角に行けばいいの?」
ピカピカ、ピカピカ
「ここから南南西の方角に泳げばいいよ」
ザブン、ザブン ザブン、ザブン
「ありがとう、太陽さん」
ザブン、ザブン ザブン、ザブン
ザブ、ザブ ザブ、ザブ
「やぁ、イルカさん。まだ、宝なんて探しているのかい?」
ザブン、ザブン ザブン、ザブン
「どうも、シャチさん。宝を探しちゃいけないの?」
ザブ、ザブ ザブ、ザブ
「宝島なんて存在しない」
「太陽は噓つきだ」
ザブン、ザブン ザブン、ザブン
「何でそんなことを言うの?」
「シャチさんはつまらない生き物ね」
ザブ、ザブ ザブ、ザブ
「俺は忠告してあげただけ」
「後のことは知らないよ」
ザブ、ザブ ザブ、ザブ
ザブ、ザブ ザブ、ザブ
ザブ、ザブ ザブ、ザブ
……
ザブン、ザブン ザブン、ザブン
「シャチさん、どっかに行っちゃった」
「ねぇ、太陽さん、宝は存在するんだよね」
ピカピカ、ピカピカ
「あぁ、存在するよ」
ザブン、ザブン ザブン、ザブン
「私は太陽さんを信じるよ」
ザブン、ザブン ザブン、ザブン
ザブン、ザブン ザブン、ザブン
ザブン、ザブン ザブン、ザブン
……
イルカはたどり着いた
宝島へたどり着いた
しかし、島には何も無かった
「ねぇ、太陽さん、宝がどこにも無いよ」
「いいや、宝は存在する」
「だって、島には何も無いの」
「いいや、存在する」
「やっぱり、太陽さんは嘘つきだ」
ザブ、ザブ ザブ、ザブ
「ほら、言わんこっちゃない」
「太陽を信じるからだよ」
オギャー、オギャー オギャー、オギャー
泣き叫ぶ、イルカの赤ちゃん
双子の、イルカの赤ちゃん
太陽のもとまで、泣き叫ぶ
「まぁ、イルカの赤ちゃん」
「イルカさんにお願いがあるんだ」
「なに、太陽さん?」
「彼らの母親になってくれないかな?」
「まぁ、なんてこと」
ザブ、ザブ ザブ、ザブ
「ほら、言わんこっちゃない」
「宝なんてろくでもない」
「俺は知らないから」
ザブ、ザブ ザブ、ザブ
ザブ、ザブ ザブ、ザブ
ザブ、ザブ ザブ、ザブ
……
「太陽さん、私は母親になれるかしら?」
「だいじょうぶ、ぼくが君たちを照らすから」
「私たちを見捨てないわよね?」
「あぁ、ぼくが最後まで照らし続けるよ」
「まぁ、なんてこと」
「君はもうひとりじゃない」
「もしかして、宝って…」
「あぁ、ぼくらだよ」
森ひとつない宝島
動物もいない宝島
島にいるのは赤ん坊
たった2頭の赤ん坊
私が君を育てるから
ぼくが君を照らすから




